研究課題/領域番号 |
23K22443
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補助金の研究課題番号 |
22H01172 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
勝藤 拓郎 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00272386)
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研究分担者 |
鈴木 健士 東邦大学, 理学部, 講師 (80564947)
溝川 貴司 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90251397)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
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キーワード | 磁気伝導 / 軌道自由度 / トポロジカルバンド / 金属絶縁体転移 / d軌道 |
研究開始時の研究の概要 |
固体中の磁気伝導、すなわち電子伝導の振舞が磁場によって変化する振舞について、スピンと電荷の自由度だけでなく、軌道自由度やトポロジカルなバンドなど、複数の自由度の寄与がある現象について、新しい物質の開発、磁気輸送特性の測定によるエキゾチックな現象の探索、そのメカニズムの解明を一貫して行う。
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研究実績の概要 |
(1) Ba3Ta5O15について、Baを様々な希土類Rで置換したBa3-xRxNb5O15単結晶を作製し、その物性を調べた。その結果、R=Euの場合は2価、それ以外のRでは基本的に3価となるが、R=Ybの場合は、xが小さいときは非磁性の2価となり、xが大きくなると磁性を持つ3価となることを磁化率の測定より見出した。また、低温で電気抵抗率が増大し、ホール係数の結果より、低温でキャリア数がNb1個あたり0.001個程度まで減少していることも明らかになった。さらに、磁気抵抗効果について、R=Euの場合は大きな負の磁気抵抗、それ以外のRでは小さな正の磁気抵抗が観測されるが、Ybの場合は低磁場で抵抗率がいったん増加してから高磁場で減少する特異な振る舞いを示すことが分かった。これらの結果はYbの4f準位がTaの5d軌道に近く、4f軌道がフェルミ面にかかっている価数揺動の状態となっていることを示唆している。 (2) Ba3-xEuxNb5O15において,Nbの4d電子とEuの4fスピンの結合に伴う巨大な負の磁気抵抗を見出しているが、この物質群の硬x線光電子分光を測定した結果、Euの4f軌道がフェルミ面から2eVの位置にあり、Nbの4d電子とEuの4fスピンの強い結合のもととなっていることを明らかにした。また、Nb3d軌道のスペクトルの解析から、xが小さいところでは遮蔽効果が大きいが、xが大きいところでは遮蔽効果が小さく、xの増加に伴う金属絶縁体転移と矛盾しないことを明らかにした。 (3) MnTi2-xVxO4の多結晶試料を作製して磁気抵抗を測定した結果、正の磁気抵抗は横磁気抵抗のみで発生し、負の磁気抵抗は縦磁気抵抗でも発生すること、したがって前者は軌道磁気抵抗であり、後者はスピン磁気抵抗であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Ba3-xYbxTa5O15においてYbの価数揺動に伴う新奇な磁気抵抗を見出すなど,当初の予定通りに物質開発が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 新たに見出したBa3-xYbxTa5O15に関して,Ybの価数揺動の様子を光電子分光や比熱測定、熱起電力測定など、様々な実験手法を用いて明らかにする。 (3) MnTi2-xVxO4の単結晶試料を作製し、スピンシングレット絶縁体が基底状態の物質へのドーピングに由来する特異な磁気抵抗の詳細を明らかにする。 (2) La5Mo4O16系へのドーピング効果について,より系統的に研究を進めて,新奇な磁気抵抗効果の探索と物性の解明を目指す。
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