研究課題/領域番号 |
23K22457
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補助金の研究課題番号 |
22H01186 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13040:生物物理、化学物理およびソフトマターの物理関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
川勝 年洋 東北大学, 理学研究科, 教授 (20214596)
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研究分担者 |
今井 正幸 東北大学, 理学研究科, 教授 (60251485)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2022年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
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キーワード | 高分子 / 界面活性剤 / マルチスケールシミュレーション / 流体粒子(SPH)法 / 超分子構造 / 粘弾性 / SPH法 / べシクル |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者らは、複雑流体の流動現象に関して、マルチスケールモデルに立脚したシミュレーションを行うために一般的なプラットフォームであるMSSP(Multi-Scale Simulation Platform for complex flows)を開発してきた。本研究課題では、複雑流体中に浮遊するベシクルなどの膜構造の変形と物質拡散を効率よくシミュレートできるように、境界層理論を組み込んだMSSPを開発し、界面活性剤による界面張力の低下が駆動する対流現象であるマランゴニ効果をターゲットとして、MSSPの実行性能を評価し、対応する実施系との比較を行う。
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研究実績の概要 |
前年度に続き、高分子と界面活性剤の混合溶液における液滴や膜構造の動力学を、我々のグループで独自に開発したMultiScale Simulation Platform for complex flows(MSSP)を用いて大規模にシミュレーションを行うことで解析した。 MSSPを用いてマクロな流動とミクロな分子シミュレーションを同時に実行する階層シミュレーションの内、マクロ流動のパートに関しては水と油に相当する2種の流体粒子(SPH粒子)を用意する一方で、個々の流体粒子にはミセルをモデル化した非線形ダンベルを多数内包させることでミクロな分子シミュレーションを行った。ここで、ダンベルは、球状ミセルの変形や絡み合った紐状ミセルのストランドを表現するための非線形粘弾性要素を表している。シミュレーションボックスの中央に置かれた液滴に対して、その周囲の領域にミセル化した界面活性剤を配置した状態からシミュレーションを実行したところ、界面領域に存在する流体粒子への界面活性剤の拡散による界面張力の低下が生じ、その結果球状の液滴形状が不安定化するというマランゴニ効果が観測された。さらに、液滴の変形とともに、周囲のミセル溶液中のミセルが変形し、粘弾性特性を生じているさまも観測された。この計算のためにMSSPを反応拡散系に拡張したプログラムを開発し、理研「富岳」及び物性研スーパーコンピュータセンターの「システムB ohtaka」を使用し、ミセル1000万粒子系の階層並列計算をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に従ってMSSPの反応拡散系への拡張と検証が進んおり、2023年度に計画していた開発課題である3課題と、追加で生じた1課題の合わせて4課題について、以下のように成果が得られるかあるいは対応を行った。 1.流動下で生じる反応拡散過程が引き起こす流体粒子間での物質の交換の過程を自動的に計算に取り入れる一般的な仕組みをMSSPに追加することで、界面におけるマランゴニ対流のような複雑な流動拡散現象をシミュレートする方法を確立することに成功した。 2.膜の表面(界面)での移動境界問題において、粒子解像度の影響が大きく出ることが判明したため、境界層の理論を用いた補正法を新たに考案して実装した。 3.流体粒子が内包するミクロ粒子(ダンベル)の集団の状態の記述を、fullの分子シミュレーションと、それを近似した構成方程式のモデルとの間で切り替えることで並列計算を高速化する方法論は、従来、拡散を伴わない場合について確立していたが、拡散を伴う場合については未実装であった。この方法の実装に当たり、膜の境界条件の問題が新たに生じたため、そちらの対応を優先することで、本課題は2024年度へ繰り延べることとした。 4.具体的な膜系における相分離と流動がカップルした系のシミュレーションを、今井らの実験と比較する課題については、3.の解決後に実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
当初想定していなかった幾つかの困難は生じたが、それらも解決することができ、研究はおおむね順調に進展している。2024年度も、当初の目的に沿ってMSSPの開発を行う。 最終年度の2024年度は、2023年度までに開発した移動境界条件の下で物質拡散を含めた複雑流動をシミュレートできる枠組みを用いて、界面活性剤膜の流動と変形の過程をシミュレートし、マランゴニ効果などの非定常・非線形現象に対する数値的な成果を得るとともに、現実系の実験と比較を行う。
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