研究課題/領域番号 |
23K22478
|
補助金の研究課題番号 |
22H01207 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分14020:核融合学関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
片山 一成 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (90380708)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
|
キーワード | トリチウム / 土壌 / 植物 / 有機結合型トリチウム / 光合成 / OBT / 環境保全 |
研究開始時の研究の概要 |
公衆へ影響を及ぼしうる環境中トリチウム挙動は、社会的に注目されており、科学的根拠を背景としたトリチウム動態の理解と挙動予測が求められている。本研究ではこれまでの研究を発展させて、土壌から植物へのトリチウム移行挙動を対象とする。トリチウムを安全に管理した植物育成環境を整備し、土壌から植物へのトリチウム移行実験を実施する。特に、植物内に蓄積される有機結合型トリチウムに注目し、育成環境と植物中トリチウム存在状態との関係を明らかにする。実験データに基づき、トリチウム移行モデルを提案し、数値計算コードに集約することで、トリチウム水漏洩事故時の土壌から植物に至るトリチウム挙動シミュレーションを可能にする。
|
研究実績の概要 |
土壌から植物へのトリチウム移行モデルの構築を目指し、特に有機結合型トリチウムに注目した研究を実施している。2023年度は、下記の内容で実施した。 (1)土壌トリチウム移行に関する実験:有機系土壌である泥炭土、無機系土壌であるバーミキュライトをトリチウム水に浸漬し、同位体交換容量を測定したところ、水分保持量および有機物含有量が多い泥炭土の交換容量が多いことを明らかにした。浸漬後の土壌を室温乾燥後、800℃まで加熱し、トリチウム脱離挙動を観測した。泥炭土からは、50℃付近と250℃で水分脱離が観測され、それぞれ有機成分、無機成分に捕捉されていたトリチウムの脱離と考えられる。バーミキュライトからは、100℃付近のみに水分脱離が観測され、吸着水として保持されていたトリチウムと考えられる。泥炭土、バーミキュライト、及びこれらの混合充填層へのトリチウム水透水実験を行った。泥炭土に比べて、空隙の多いバーミキュライトの透水速度が速いことが確認された。いずれの条件でも、入口トリチウム濃度よりも出口トリチウム濃度は減少しており、透水過程においてトリチウムが選択的に土壌に捕捉されることを明らかにした。 (2)土壌-植物トリチウム移行に関する実験:安全性を考慮して、まずは重水を用いた実験を行った。土壌容器の受け皿に重水を注ぎ、マイクロトマトを育成した。採取した部位に対して、真空乾燥法、同位体交換反応法、燃焼法を用いて植物内に移行した重水量を測定した。燃焼で放出された非同位体交換型有機結合型重水素は、全保持量の約1%であった。 (3)土壌-植物トリチウム移行のモデル化:トリチウム水透水実験で得られたトリチウムバランスを提案する物質収支式で解析し、透水トリチウムが泥炭土に捕捉される際の物質移動係数を定量した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、代表的な有機系土壌、無機系土壌に対するトリチウム水浸漬実験、トリチウム水透水実験を実施し、重水を用いた植物実験や重水素測定手法の開発も進めることができた。トリチウムを用いた植物実験も開始するなど、順調に研究が進展した。
|
今後の研究の推進方策 |
トリチウム含有土壌での植物の育成など、難しい実験に挑戦し、土壌から植物へのトリチウム移行量の具体的な数値を明示することを目指す。また、これらの成果を整理・モデル化し、土壌から植物へのトリチウム移行シミュレーションの実現を目指す。
|