研究課題/領域番号 |
23K22479
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補助金の研究課題番号 |
22H01208 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分14020:核融合学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
利根川 昭 東海大学, 理学部, 教授 (90197905)
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研究分担者 |
津守 克嘉 核融合科学研究所, 研究部, 教授 (50236949)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 核融合 / 負イオン源 / 非セシウム型 / シートプラズマ / 大電流 / 非セシウム型負イオン源 / 核融合加熱用負イオン源 / 体積生成法 / 振動励起分子 / 解離性付着 / 核融合プラズマ / 中性粒子ビーム加熱 / 大電流負イオンビーム / 随伴電子電流 / 連続運転 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、高密度シートプラズマを用いて、①核融合装置(ITER)用Cs型負イオン源の1/2程度の負イオンビーム電流密度、②引き出し電流の大電流化、③連続運転、長寿命・メンテナンスの容易な原型炉用非Cs型負イオン源(TPDsheet-NIS)の基盤技術を確立することである。 従来までに、引出し電圧10kVで水素負イオンビーム電流密度8mA/cm2、随伴電子電流と負イオン電流比0.5~2.0程度が得られている。本研究では、この成果を更に発展させ、非Cs型負イオン源のプロトタイプ(TPDsheet-NIS)を開発し、核融合装置(DEMO)用負イオン源としての可能性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
大電流・長時間運転・メンテナンスの容易な負イオン源の開発は、核融合炉の実用化にとって最も重要な課題である。しかし、現在、開発が進んでいるセシウムを用いた負イオン源では、これらの課題を根本的に解決することは困難であり、将来の実用化に向けた新たな負イオン源の開発が急務となっている。 本申請で提案している高密度シートプラズマは、急激な温度・密度勾配を有しており、中心付近の高エネルギー電子により生成された振動励起分子が拡散・損失することなく、周辺の低エネルギー電子と解離性付着反応を起こすため、セシウムを用いず体積生成法で効率よく負イオンを生成できる。 本研究の内容は、(イ)プラズマ周辺部に電子エミッターを設置し、(ロ)軟磁性体を用いた磁気フィルターによる随伴電子電流を低減させ、(ハ)幅6cmの第2陽極を用いて、プラズマ周辺の電子密度を独立に制御することにより、負イオンビームの電流値を増加させ、かつ随伴電子電流を低減させる手法を開発する。 本研究の最終的な目標は、①負イオンビームの高電流密度化(ITER用実機の1/2程度、目標値:15mA/cm2(水素))②引き出し電流の大電流化(目標値:2.0A(水素))③連続1時間運転(目標値:1時間)である。これらの研究成果から、原型炉級の負イオン源として、大面積化・大電流化・連続運転のスケーリングとメンテナンスレス化への可能性を明らかにする。今年度の研究実績は、発表件数5件である。 本申請で提案している高密度シートプラズマを用いた非セシウム型負イオン源の研究開発は、東海大学独自の独創的な技術であり、日本独自の技術として確立すると同時に核融合発電の実用化にとって大きな意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度(2年目)の進捗状況は、既存の装置TPDsheet-Uを用いた①水素負イオンビーム電流密度の向上、②随伴電子電流の抑制、更には③引出し電極の大面積化のための新型負イオン源TPDsheet-NISの真空容器等の製作・組立を実施した。 具体的な推進状況は、負イオンビーム電流密度の向上(目標①)、非セシウム型大電流負イオン源TPDsheet-NISの組み立て、多孔電極での大電流化実験(目標②③実現準備、目標:全電流値0.9A(水素))である。以下に実施した研究内容を記載する。 1)既存の装置TPDsheet-Uの単孔引き出し電極(φ4)において、電子エミッター法、第2陽極バイアス法、Ar添加法の3つの方法を実施し、随伴電子電流を1.0以下に抑制し、水素負イオンビーム電流値5.3mA/cm^2が得られた。2)電子エミッター法、第2陽極バイアス法、Ar添加法の3つの方法において、プローブ法による電子密度・温度、及びVUV分光法による水素分子の振動温度を用いた衝突輻射モデルによりシートプラズマ内での負イオン生成機構を解明した。3)大電流化のため、既存の2枚多孔電極EG、PG電極(5x23孔、φ10、面積:90cm2)を用いて非セシウム型大電流負イオン源TPDsheet-NISの組み立て準備を完了した(面積は、TPDsheet-Uの既存多孔電極の18倍)。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方法は、負イオンビーム電流密度の向上(目標①)、非セシウム型大電流負イオン源TPDsheet-NISの組み立て、多孔電極での大電流化実験(目標②③実現準備、目標:全電流値0.9A(水素))である。以下に具体的な研究方策を記載する。 1)既存の装置TPDsheet-Uの単孔引き出し電極(φ4)において、第2陽極バイアス法、Taシートバイアス法の2つの方法により、水素負イオンビーム引き出し実験を行う( 目標値:電流密度15mA/cm^2))。2)電子エミッター法、第2陽極バイアス法、Ar添加法の3つの方法において、プローブ法による電子密度・温度、及びVUV分光法による水素分子の振動温度を用いた衝突輻射モデルによりシートプラズマ内での負イオン生成機構を解明する。3)独自に開発した軟鉄磁性体による磁気フィルターにより、負イオンビームとともに引き出される随伴電子電流比1.0以下に低減させ、PG電極の熱負荷を低減させ、連続運転1時間以上の負イオンビーム連続運転を実現する。4)大電流化のため、既存の2枚多孔電極EG、PG電極(5x23孔、φ10、面積:90cm2)を用いて非セシウム型大電流負イオン源TPDsheet-NISを組み立てる(面積は、TPDsheet-Uの既存多孔電極の18倍)。5)新たに組み立てたTPDsheet-NISを用いてシートプラズマを生成し、負イオンビーム引き出し実験を実現し、核融合加熱用負イオン源としてのスケーリングを示す(目標値:電流密度10mA/cm^2、全電流値900mA(水素))。
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