研究課題/領域番号 |
23K22484
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補助金の研究課題番号 |
22H01213 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分14030:プラズマ応用科学関連
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
伊藤 昌文 名城大学, 理工学部, 教授 (10232472)
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研究分担者 |
志水 元亨 名城大学, 農学部, 准教授 (20423535)
西川 泰弘 名城大学, 薬学部, 准教授 (20633580)
加藤 雅士 名城大学, 農学部, 教授 (70242849)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2022年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
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キーワード | 大気圧プラズマ / バイオリファイナリー / 安定同位体 / バイオエタノール / 反応速度 / 酸素ラジカル / 多糖 / セルロース / フェノール / 酸素同位体 / 反応生成物 |
研究開始時の研究の概要 |
昨年度までにプラズマ中の電気的に中性な酸素系のラジカルで特に基底状態の酸素原子O・が液中の有機分子と直接反応し酸化することを同位体酸素を用いることで見出した。またOH・は水溶液から蒸発する水分子とプラズマ中の電子衝突により効果的に液中に生成されることを見出した。さらに、O・は有機分子のベンゼン環などは開環反応には寄与せず、官能基を選択的に酸化することが分かった。一方OH・はベンゼン環も開環し、低分子であるシュウ酸等の分子まで高効率に酸化分解することが明らかとなった。本年度は、リグニンのモデル化合物等を用いて、分解酵素やバイオ燃料の生成効率を向上させる知見を得るためのデータベースを構築する。
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研究実績の概要 |
本研究では、プラズマからの様々な活性種とバイオマス資源との相互作用について酸素や窒素や重水などの同位体を用いて反応経路や反応速度を調査し、酵素分解効率やバイオ燃料の生成効率を向上させる知見を得るためのデータベースを構築することを目的としている。 バイオマスとの反応を見る前に、純水中のフェノールとプラズマから選択的に生成した酸素ラジカルとの反応について酸素の安定同位体を用いて調査した。その結果、フェノールの六員環のC=C ボンドと酸素原子又は励起状態の酸素分子が選択的に反応することが確認できた。また多糖類の分子は質量が大きいため糖の二量体であるセロビオースと空気-液体グロープラズマとの反応生成物について薄層クロマトグラフィーとGC/MSにより分析した結果、質量数の小さな分子に分解されていることが判明したが、非常に多種類の分子が生成されており、照射時間が長くなるにつれてグルコースを経て酢酸やシュウ酸まで分解されていることが判明した。 また、木質バイオマスの構成成分の一つであるリグニン構成分子の二量体であるguaiacylglycerol-β-guaiacyl ether(GGE)を上記空気-液体グロープラズマで分解することを試みた。これらの反応生成物も非常に多種類の分子に変換されるが、HPLCで分離できた主要成分の一つについて質量分析と2次元NMR解析をした結果、GGEの二量体が生成されていることが判明した。この分子はさらにプラズマ処理すると分解されて消滅することも判明した。 以上のように、糖の二量体、リグニンの二量体と空気―液体グロープラズマの反応プロセスについて解析し、多糖を分解するための重要な知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
成果を多くの国際会議に発表し、第一段階の成果を論文としてまとめる準備段階にあるため。
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今後の研究の推進方策 |
反応生成物の同定と反応パスの推定を引き続き進める。さらにプラズマから生成する酸素ラジカル、OHラジカル、NOラジカルなどと糖のどの部分と選択的に反応し、どのような生成物ができるかを同位体を用いて調査する。各ラジカルを定量的に照射量し、これら反応生成物の量についても調査を行い、各ラジカルと糖分子との反応速度について調査を進める。これらの知見を基に多糖類の高効率分解を実現するラジカル組成を検討し、実用化の指針を得る。
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