研究課題/領域番号 |
23K22491
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補助金の研究課題番号 |
22H01220 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
早田 次郎 神戸大学, 理学研究科, 教授 (00222076)
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研究分担者 |
吉野 裕高 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (20377972)
野海 俊文 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (30709308)
菅野 優美 九州大学, 理学研究院, 准教授 (70827427)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2025年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 高周波重力波 / 原始ブラックホール / アクシオン / マグノン / 原始重力波 |
研究開始時の研究の概要 |
天文学の歴史が示すように、観測できる電磁波の周波数を拡げていくことで新たな宇宙の描像が明らかになっていった。重力波の観測は人類に新たな眼をもたらしたが、LIGO-VIRGO-KAGRAの観測できる周波数帯は10Hzから100Hzという非常に狭い領域にしかない。将来的には、観測衛星LISAやパルサータイミングによる観測で、nHzとmHzの周辺が観測されるが、高周波数領域には本質的な進歩がないのが現状である。この困難を打開するために、物性系を用いた高周波重力波観測原理を見いだすことが本研究の目的である。同時に高周波重力波源の研究も行い必要な検出感度を明らかにする。
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研究実績の概要 |
現在、干渉計で観測できる重力波は10Hz から1kHz くらいの狭い周波数帯域に限られている。今後、宇宙空間へ干渉計を打ち上げることで1mHz まで周波数帯を低周波側に伸ばす計画はあるが、電磁波を用いた天文学に比べるとまだ十分とは言えない。10kHz から10THz までの周波数帯へ観測領域を広げることで新たな重力波源が見えてくるはずである。本研究計画では、申請者らのマグノンを用いたGHz 重力波検出原理をさらに発展させ高周波重力波物理学を開拓すること、この周波数帯の重要な重力波源として太陽質量より軽い原始ブラックホールを研究すること、重力波を用いてQCDアクシオンを探索することを目的としている。 代表の早田は、イットリウム鉄ガーネット(YIG)強磁性体球を用いた重力波検出可能性を検討し、フェルミ正規座標系を拡張することで格段に精度が向上することを明らかにした。これは将来の高周波重力波検出器をデザインするうえで重要な成果である。分担者の野海は、positivity boundを用いて、暗黒物質の候補であるである暗黒光子のパラメータに対して下限を与えた。これは、実験で得られている上限と組み合わせて暗黒物質解明に重要な示唆を与えている。分担者の菅野は、インフレーション中に発生する重力波が原始磁場によってうける影響を明らかにした。これは高周波重力波観測にとって重要な結果である。分担者の吉野は、回転ブラックホールの周りのアクシオンの不安定性を解析し、ボーズノヴァが起こる可能性があることを示した。このことから、原始ブラックホールからの高周波重力波発生が期待できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
正規座標系を用いることで、マグノンを用いた検出器の感度が6桁も上がることがわかったことは大きな成果と言える。分担者もそれぞれ目的に向かって着実に成果を上げており、さらに予想外の結果も出している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、マグノン以外の物性系が、重力波検出に対してどの程度の感度を持つのかを系統的に調べていく。また、分担者の成果を効果的に結び付けてるため、連携を強化していきたい。研究員を雇用できたので、研究員と共に精力的に研究を行っていく。
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