研究課題/領域番号 |
23K22502
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補助金の研究課題番号 |
22H01231 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
嶋 達志 大阪大学, 核物理研究センター, 准教授 (10222035)
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研究分担者 |
三島 賢二 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究所, 特任准教授 (20392136)
吉岡 瑞樹 九州大学, 先端素粒子物理研究センター, 准教授 (20401317)
北口 雅暁 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究所, 准教授 (90397571)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
15,210千円 (直接経費: 11,700千円、間接経費: 3,510千円)
2025年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
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キーワード | 中性子小角散乱 / 重力 / 未知相互作用 / ナノ粒子 / 水素吸蔵金属 / バナジウム / 水素吸蔵 / 逆二乗則 / 余剰次元 / 水素吸蔵合金 / 重力の逆二乗則 |
研究開始時の研究の概要 |
重力は、弱い重力場の近似では逆二乗則にしたがうと考えられているが、数ミクロン以下の距離ではコンパクト化された余剰次元の効果により、逆二乗則からのずれが生じ、重力様の未知相互作用として現れ得る。そのような未知相互作用は、約100nm以上の領域では ねじり秤等を用いて精密な探索が行われているが、100nm以下では分子間力が深刻なバックグラウンドとなる。 本研究は、分子間力の影響を受けない中性子小角散乱を用い、さらに標的物質の核散乱長を測定中にリアルタイムで精密に制御することで、核力の影響をも極限まで低減する。これによって100nm以下での感度を3~5桁改善し、未踏の領域での未知相互作用探索を行う。
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研究実績の概要 |
バナジウムナノ粒子を試料として、水素ガスの吸蔵率測定を行った。その結果、1気圧の水素ガス中での吸蔵比 4.5%という結果が得られた。これは、本研究が目標としている吸蔵比20%に達していないが、一般に酸化被膜が酸素の透過を阻害することが知られており、使用した試料は6.2%程度の酸素を含有していることが判明したため、富山大学・水素同位体科学研究センターで以前おこなわれた研究結果に基づき、450℃および700℃の高温条件下での脱酸素処理を実施した。その結果、酸素の含有率を1.0%にまで抑制することに成功した。これによって、1.66%の比率で重水素を吸蔵させれば核散乱をほぼゼロに抑圧できることがわかった。また、これまでの試験測定の結果から、主要なバックグラウンドおよび系統誤差が、中性子検出膜(LiF含有ZnS膜)を通り抜けてその後ろのガラス層に入ってから散乱を起こすようなイベントによるものであることが判明しており、その種のイベントを低減するため、中性子検出膜の厚さを増やし、ガラス層に届く中性子の量を減らすことを検討中である。高温処理済みの試料およびバックグラウンド対策を採用し、令和6年7月にJ-PARC物質・生命科学実験施設において水素吸蔵ナノ粒子標的による中性子小角散乱測定を行うことを予定している。これによって、従来の未知相互作用に対する制限を塗り替えることができる見込みである。また、別の系統誤差の原因として、吸蔵された水素がナノ粒子内で均一に分布せず、局在した場合の影響が考えられるが、水素の分布は中性子回折法で調べられる可能性があるため、7月の測定では運動量移行の大きい領域の測定も行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
懸案であった、バナジウムナノ粒子中の不純物酸素が、高温処理によって劇的に除去できることがわかった。これによって、水素吸蔵ナノ粒子を標的として用いた中性子小角散乱測定実施に向けての目処がつけられた。実際の小角散乱測定を令和6年7月に予定しており、これはほぼ当初の研究計画のスケジュールどおりの進捗状況である。
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今後の研究の推進方策 |
高温処理により酸素を除去した試料を用いて、中性子小角散乱の本番測定を令和6年7月に実施する。吸蔵前の散乱長が -0.111fmと負の値であるため、水素ではなく重水素を吸蔵させる必要がある。必要な吸蔵量はモル比で1.66%である。この比の前後で様々な比率で重水素を吸蔵させた標的試料の中性子小角散乱の系統的測定を行い、核散乱が最小になる比率でのデータを取得する。そのデータを用いて、シミュレーションとの比較により未知相互作用の結合定数に対する制限を導き出す。また、これまでの試験測定の結果から、中性子検出器の前面に用いられているガラス中での中性子散乱が主要なバックグラウンドと系統誤差を発生していることが判明しているため、中性子検出膜の厚さを増やす等の改良によって、ガラス層に届く中性子量を減少させ、バックグラウンドを抑制することでさらなる感度向上を図る。また、最終年度に行う予定の磁気散乱の影響の調査に向けて、標的セルに磁場を発生させるためのコイルの設計・製作に着手する。
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