研究課題/領域番号 |
23K22503
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補助金の研究課題番号 |
22H01232 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山中 隆志 九州大学, 基幹教育院, 助教 (90632357)
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研究分担者 |
Patrick Strasser 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 講師 (20342834)
西村 昇一郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特別助教 (20836431)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
12,220千円 (直接経費: 9,400千円、間接経費: 2,820千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | ミュオン / ミュオニックヘリウム / ラビ振動分光 / CPT定理 / シリコンストリップ検出器 / CPT対称性 / 読み出し回路基板 / 信号読み出し用集積回路 / 負ミュオン質量 / ミュオニックヘリウム超微細構造 |
研究開始時の研究の概要 |
高磁場下でゼーマン分裂するミュオニックヘリウム原子の超微細構造の2つの遷移周波数を測定することで負ミュオン質量を50 ppbの精度で決定し、ミュオン質量のCPT対称性を精密検証する実験が計画されている。本研究はこの測定において、ラビ振動分光という新手法を適用し、2つの遷移周波数を同時測定することで25 ppbの精度で負ミュオン質量を決定することを目指す。ラビ振動分光で必要となる高時間分解能のデータを取得するため、これまでに開発を進めてきた190 μmピッチのシリコンストリップセンサーとその信号を5 nsのサンプリング周期で読み出す回路を用いた検出器を製作し測定に用いる。
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研究実績の概要 |
本年度は、これまでJ-PARCミュオンg-2/EDM実験に向けて開発を進めてきたシリコンストリップ検出器部品を組み立て、稼働する検出器モジュールを1台製作し、その動作試験および性能評価を実験室レベルで行った。検出器の組み立てには、今後のモジュールの量産を見据えて高位置精度でのセンサー接着、アライメント機構を備えた組み立て治具を使用し、作業効率を確保しつつ、組み立て中の部品損傷を起こさずに安定して組み立てるための手法の確認も行った。しかし、この組み立て工程において、読み出し回路基板の反りが大きく、接着後にもフレームの反りを生じセンサーの位置精度の悪化を招くことが分かった。また、読み出し回路の動作試験にて動作不良を起こす回路が多く見られ、製作した基板の内、比較的動作不良の少ない基板を選定する必要があった。組み立て後の検出器では、正常動作する基板については目標とする性能が確認できた。 これと並行して、検出器量産に向けて量産済みの信号読み出し用集積回路の品質検査を行った。プローブカードと呼ばれる回路基板を用いることでベアチップの状態の集積回路の動作試験が可能であり、実装前に不良品を除くことが可能となる。年度内には約2000チップの検査を終え、本研究に使用する上では十分な枚数を確保した。 また、物理測定に向けてGeant4を用いた詳細なシミュレーションツールの整備も開始し、実験時に想定されるビームラインとミュオニックヘリウム生成領域の磁場分布の実装を終えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
試作検出器を製作して、その試作検出器の性能評価を行ったものの、検出器に使用する信号読み出し回路基板の反りが想定より大きく、検出器組み立て時の接着工程において支障をきたすことが分かった。また、回路基板を少量生産したものの、動作不良が多発し、正常に動作する回路の歩留まりが要求仕様を満たさないことが判明した。これらの改善のため、回路基板の一部設計変更による再試作が必要となり、これらにより検出器量産の予定を遅らせる必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
信号読み出し回路基板を再試作し、再度試作検出器の製作を行う。その性能評価を踏まえて本実験での要求仕様を満たすかの確認を行う。基板の反りについては基板に部品実装する際に1枚単位に基板を切り出してから両端を抑えつつ実装することにより低減が可能と見積もられている。また、回路基板の動作不良は配線の断線が原因であることが分かったため、配線を太く設計し直すことで断線を回避する。 再製作した検出器を用いて性能評価として実験室での基本的な測定を行った後に、物理測定時に想定される高磁場環境および加速器施設での環境下でのノイズレベルの測定を行う。
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