研究課題/領域番号 |
23K22510
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補助金の研究課題番号 |
22H01239 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
早川 岳人 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光量子科学研究所 光量子ビーム科学研究部, 上席研究員 (70343944)
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研究分担者 |
余語 覚文 大阪大学, レーザー科学研究所, 教授 (50421441)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 12,090千円 (直接経費: 9,300千円、間接経費: 2,790千円)
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キーワード | レーザー / 中性子 / 宇宙核物理 / ガンマ線 / レーザー中性子 / レーザー核物理 / s過程 |
研究開始時の研究の概要 |
太陽系に存在する鉄より重い元素は、主に遅い中性子捕獲反応(s過程)と急速な中性子捕獲反応過程(r過程)で生成されたと考えられているが、未解明な点も多い。従来の加速器を用いた実験には制限がある。一方、近年発達しているレーザー駆動粒子は、連続エネルギー、短パルスなどの宇宙における粒子スペクトルに近似している。本研究では、大強度レーザーを用いて、恒星内のエネルギー分布を模擬したレーザー駆動中性子を生成し、そのエネルギースペクトルを計測すると同時に既知の試料の放射化実験で確認することをも目的とする。
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研究実績の概要 |
鉄より重い元素は遅い中性子捕獲反応と急速な中性子捕獲反応過程で生成された。しかし、励起状態で核反応が発生する。またr過程では不安定核の中性子捕獲反応断面積が必要である。そのため、励起状態の原子核や、不安定核の中性子捕獲反応断面積の計測が求められている。近年、急速に発達しているレーザー駆動粒子では、フェムト秒からナノ秒の時間幅で高輝度かつ、連続エネルギーのパルスを生成できる。これらを用いて中性子による宇宙核物理研究をすすめる。大阪大学のレーザー科学研究所のLFEXレーザーを用いて中性子生成実験を行った。LFEXから供給された大強度レーザーを約10^18W/cm^2の非常に強い集光強度で、水素を重水素に置換した固体ポリエチレンターゲットの表面に集光しプラズマを生成した。レーザーパルスによってポンデロモティーブ力等による粒子加速機構によって、電子がプラズマ中で加速され放出された。加速された電子がターゲットから飛び出した瞬間に、マイナスの電荷の電子とプラスの電荷のプラズマの間に極めて強い静電場が形成され、この静電場によって陽子及び重陽子の正イオンが陽子については約30MeV/u、重陽子については約10MeV/uまで加速された。このポリエチレンターゲットの直後にベリリウムターゲットを設置し、p+Be反応やd+Be反応で中性子を生成した。生成された中性子のエネルギーは約8mの距離に設置した液体シンチレーション検出器を用いて飛行時間計測法で計測した。中性子のエネルギーは約1MeV前後にピークがあり、中性子エネルギーが増加するにつれて減衰した。また、低エネルギーの中性子を生成するためにモデレーターをベリリウムターゲットの背後に設置し中性子の減速を行った。その直後に試料を設置し、照射後に試料を鉛と銅で遮蔽した測定箇所においてGe半導体検出器でガンマ線の計測を行い中性子量の評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大阪大学レーザー科学研究所のLFEXレーザーを用いてレーザー中性子生成実験の最初の実験を行っており、次年度以降の実験の見通しが立っているためである。これらの実験では、実際にレーザーによる中性子生成及び、中性子のエネルギー計測を行っており、また、中性子入射反応が発生したことをガンマ線計測で確認している。また、今年度、導入した検出器も実験で試験している。Ge半導体検出器の電気冷凍機を導入し、阪大のレーザー実験には納品が間に合わなかったため、関西光科学研究所のJ-KAREN-Pレーザーによるイオン加速実験に用いた。加速した陽子及び炭素イオンによる核反応による生成物を10以上の計測に用いて、安定性が十分あることを確認した。そのため、レーザー中性子実験にも問題なく使えると期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
大阪大学レーザー科学研究所のLFEXレーザーを用いてレーザー駆動中性子の生成を行い、最適化したモデレーターを用いて中性子のエネルギー分布を宇宙核物理学で重要なエネルギー分布に調整する。遅い中性子捕獲反応過程(s過程)は、主に低質量(太陽質量の0.6~3倍)の漸近巨大分枝星で発生するが、質量が大きい巨大質量星の進化の過程でも、弱いs過程が発生する。前者では、平均温度(エネルギー)が8~30keVであるが、後者では最大100keVに達する。また、近年の隕石分析によって高エネルギー宇宙線の核破砕反応で生成された中性子による核反応の痕跡が見つかっている。これらを再現するために、通常の水素を多量に含む物質ではなく、ホウ素や炭素を主な物質として減速材を最適化する。そのため、現在すすめているシミュレーション計算をさらにすすめ、より優れた形状を求める。そのモデレーターを中性子発生のためのベリリウムターゲットの後段に導入し、生成した高エネルギー中性子(平均エネルギー1MeV程度)の減速を行い、上記の宇宙核物理学で重要な平均エネルギーを有する連続分布にスペクトルを調整する。中性子のエネルギー計測は、高エネルギー中性子については液体シンチレーション検出器を用いた飛行時間計測法による測定を行う。低エネルギー部分については、Li-6グラスシンチレーター検出器による飛行時間計測法を行う。さらに、金などの標準的に用いられる物質に中性子を照射し、中性子捕獲反応及び、高エネルギー中性子の(n,2n)反応で生成された不安定同位体のベータ崩壊にともなうガンマ線計測を行いエネルギースペクトルの検証を行う。半減期の2倍程度の測定を行う。長時間の計測については、既に導入し試験した電気冷凍機で冷却したGe半導体検出器を用いて測定を行う。
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