研究課題/領域番号 |
23K22522
|
補助金の研究課題番号 |
22H01251 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
|
研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
山崎 了 青山学院大学, 理工学部, 教授 (40420509)
|
研究分担者 |
森田 太智 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (30726401)
竹崎 太智 富山大学, 学術研究部工学系, 助教 (90824326)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2025年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
|
キーワード | 宇宙線 / 超新星残骸 / 無衝突衝撃波 / 実験室宇宙物理学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、2つの比較的新しい研究手法、即ち、高強度レーザーを用いた磁化プラズマ中を伝播する無衝突衝撃波の生成実験と、可視光帯域での超低面輝度の宇宙線加速天体観測を用いて宇宙線加速過程の解明に直結するデータを取得する。これにより、超新星残骸などの宇宙空間に存在する無衝突衝撃波での宇宙線加速過程、宇宙線の起源などの未解決問題の解明を目指す。
|
研究実績の概要 |
無衝突衝撃波生成実験では、2022年度は7月に1週間、大阪大学レーザー科学研究所に滞在し、合計24ショット行った。希薄(1 Torr)窒素ガス中でイオンを十分に磁化できる強度(3.9 T)の外部磁場を印加し、磁化した窒素プラズマを生成し、アルミ・ターゲット由来の高速プラズマとの相互作用の様子を計測した。外部磁場発生コイルに流す電流の向きを変えて磁場の極性を変化させ(アルミ・プラズマ流れるx方向、鉛直z方向に対し、外部磁場を+y方向3ショット、-y方向11ショット)、外部磁場印加なしの場合(8ショット)の結果も合わせ、実験結果を比較した。計測としては、協同トムソン散乱計測、プラズマ自発光計測、磁気プローブを用いた磁場計測などを行い、得られたデータの解析を行った。特に、アルミ・プラズマと窒素プラズマの境界面の不安定性による波打ち構造の位置が磁場の極性がとともに反転することがわかり、さらに、磁場計測では衝撃波の伝播に伴う窒素プラズマ中の波動を捉えた。
可視光望遠鏡による超新星残骸観測については、これまでの準備研究で用いてきたCCDカメラが主に湿気が原因で故障した。これらは既に製造が中止されており、修理代も高額になるため、比較的安価に入手できる現行品のCMOSカメラに交換した。CMOSカメラの性能評価を行い、我々の科学目標達成のために必要な視野、空間分解能、感度を達成できることを確認した。また、自動観測・追尾システムの調整を行い、さらに、大量に取得した画像データをフラット・ダーク処理をして重ね合わせるストレージシステムの整理とソフトウェアの開発に着手した。
また、本研究に広く関連する衝撃波の存在する現象の理論・観測研究も行い、超新星残骸のガンマ線放射、レーザーを用いた磁気リコネクション実験、ガンマ線バーストの超高エネルギーガンマ線放射に対する知見を得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大阪大学レーザー科学研究所にて無衝突衝撃波生成実験を行い、磁場測定やトムソン散乱計測などの良質のデータを得ることができた。レーザー実験による磁化プラズマ中を伝播する無衝突衝撃波の生成過程の理解や、衝撃波散逸などの物理過程を理解するために、現段階でまずは十分と思える豊富なデータを取得することができた。
可視光望遠鏡はCCDカメラが損傷したため、急遽CMOSカメラを導入したが、その準備も順調に進めることができ、超新星残骸Tychoのテスト観測を行うことができた。故障の原因となった湿度についても、対策を講じることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度の無衝突衝撃波生成実験で取得したデータの詳細な解析を進める。協同トムソン散乱計測のイオン項のダブルピークの非対称性の起源、境界面の波打ち構造の起源、磁場計測で捉えた波動の起源について、1次元電磁粒子シミュレーションや多次元磁気流体シミュレーションの結果と比較しながら考察する。追加データが必要ならば2024年度の実験提案を行う。
イオンのダイナミクスや高周波の磁気波動をより詳細に分析するために、磁気プローブでの周波数・波数分解した電磁波動の検出のための計測器開発を進める。
可視光望遠鏡による超新星残骸観測では、CMOSカメラ2台を用いた同時観測の体制を構築する。広がった天体の試験観測を行い望遠鏡の感度を確認し、8月上旬から11月上旬の超新星残骸Tychoの観測を行う。観測で取得したデータの画像解析のソフトウェア開発を進めることが肝要であると考えている。望遠鏡周りの湿気対策も行ったが、長期的に見て対策が効果的であるか確認中である。
|