研究課題/領域番号 |
23K22537
|
補助金の研究課題番号 |
22H01266 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
|
研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
鳥羽 儀樹 国立天文台, ハワイ観測所, 特任助教 (40825957)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
|
キーワード | 超巨大ブラックホール / eROSITA衛星 / すばる望遠鏡 / Euclid衛星 / せいめい望遠鏡 / 銀河団 / 環境効果 / 活動銀河核母銀河 / 銀河合体 |
研究開始時の研究の概要 |
宇宙誕生後20億年後から現在に至るまでの超巨大ブラックホールとその母銀河の共進化史を解明するために、 (1) 成長全盛期の共進化システム(超巨大ブラックホールとその母銀河)の探査 、(2) 超巨大ブラックホールの質量関数および質量降着率分布関数の調査、 (3) 母銀河の星質量関数および星生成率密度関数の調査、および (4) 超巨大ブラックホールと母銀河を行き来する電離ガス・分子ガスの流れの調査 を実施する。これらの研究を通じて、超巨大ブラックホールとその母銀河の間でのガスの運動(流入・流出)と、質量ごとのブラックホールおよび母銀河の成長率が時間の関数として明らかになる。
|
研究実績の概要 |
銀河と超巨大ブラックホールの共進化史に迫るため本年度は下記に示すような研究成果を得た。
1. HSCで見つかった銀河団における活動銀河核(AGN)の "number" fraction:すばる望遠鏡 Hyper Suprime-Cam (HSC) で見つかった銀河群・銀河団 (CAMIRA銀河団)に所属する100万天体以上のメンバー銀河におけるAGNの発現について統計的な調査を行った。赤外線・電波・X線カタログを併用することにより無バイアスなAGNサンプルを構築し、CAMIRA銀河団中のメンバー銀河の中でAGNを持つ天体の割合 (AGN number fraction)を見積もり、AGN number fraction の (i) 赤方偏移依存性および (ii)銀河団中心からの距離依存性 を調べた。その結果、AGN fraciton は高赤方偏移ほど増加し、銀河団中心ほど多くなることが分かった (Hashiguchi, Toba et al. 2023, PASJ, 75, 1246)。
2. HSCで見つかった銀河団における活動銀河核(AGN)の "energy" fraction: 1. で実施した研究ではAGNの個数に着目していたが、ここでは energy fraction (全赤外線光度に対するAGNの寄与率)をAGNの活動度の指標として採用することで、活動度の低いAGNも含めた調査を実施した。100万天体近くのメンバー銀河全てに対してスペクトルエネルギー分布(SED)解析を実施し、AGNの発現と環境の関係を調査した。その結果、特に銀河団同士の合体が銀河団外縁部のメンバー銀河のAGN活動を促すことが分かった (Toba et al. 2024, ApJ, 受理済み、印刷中)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、昨年度に今後の方針として検討していた2つの研究を査読論文として発表した他、幾つかの研究成果をあげることができた。 具体的には、すばるHSCを用いた銀河団と活動銀河核(AGN)活動の関連性の調査を2つの視点(AGN number fraction および energy fraction) から調べた研究 (Hashiguchi, Toba et al. 2023, PASJ, 75, 1246; Toba et al. 2024, ApJ, in press.)をはじめ、計21本の査読論文を出版できた。 また、eFEDSで見つかった極超高光度赤外線銀河の可視光線分光追観測結果も投稿済みである。 さらに、今年度打ち上げられたEuclid衛星のサイエンスチームの一員として、銀河形態に関する論文(Euclid Collaboration 2024, A&A, 査読中)にも貢献できた。
以上のことからおおむね順調に進んでいると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
特に来年度は超巨大ブラックホールの活動性とその環境依存性に着目して研究を進めていく。
1. eROSITA衛星で見つかった超高光度赤外線銀河 (HyLIRGs) 候補の追観測:eROSITAの1回目の全天探査データ(eRASS1)が公開された。これまで研究対象としてきたeFEDS領域にある天体も含めた系統的なHyLIRGs探査を実施する。特にブラックホールへの質量降着率やボロメトリック光度を多波長追観測を通じて調査する。 2. 銀河合体とAGNの発現の環境依存性の調査: すばるHSCが持つ高い画質(解像度)を活かして、これまでSDSSなどでは見落とされてきたような銀河合体の兆候を示す銀河を発見し、それらとAGNや(密度)環境を統計的な手法を用いて調査する。 さらに、Euclid衛星のチーム内データを用いたサイエンスにも着手したい。
|