研究課題/領域番号 |
23K22543
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補助金の研究課題番号 |
22H01272 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
町田 真美 国立天文台, 科学研究部, 准教授 (50455200)
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研究分担者 |
山田 真也 立教大学, 理学部, 准教授 (40612073)
大村 匠 東京大学, 宇宙線研究所, 特任研究員 (50907524)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2025年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 数値シミュレーション / X線観測 / X線連星 / MHDシミュレーション / 電波観測 / 粒子加速 / 電波星雲 / 磁気流体シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
電波星雲W50の中心に位置するX線連星SS433は、銀河系内のマイクロクェーサーであり、ブラックホールとA型超巨星の連星系であると考えらえれている。このSS433は、2018年にジェット軸上やW50シェルの近傍でガンマ線放射が検出され、宇宙線加速サイトとして脚光を浴びている。2024年のHESSの観測結果の兆候から、ガンマ線放射は、X線放射領域で生じた加速電子が起源と考えられている。本研究計画では、磁気流体数値計算、電波観測、可視光観測、X線観測を組み合わせ、X線連星ジェットと観測されたガンマ線放射の関係を明らかにし、放射機構を特定することを目的としている。
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研究実績の概要 |
X線連星SS433は、電波星雲W50の中心に位置するマイクロクエーサーである。W50/SS433系には多くの未解決問題があるが、その中の一つに、W50の全体構造の形成にX線連星SS433がどのように関わっているかという問題がある。W50の概形はSS433を中心とするシェル構造とSS433ジェット軸に沿った方向に伸びたear構造となっている。SS433までの距離を5.5kpcとすると、シェルの半径はおおよそ50pc、SS433中心からearの端までのジェットの長さは120pcと推定される。シェルはSS433の母天体であるコンパクト星が超新星爆発をした際に形成された超新星残骸、earは間欠的なジェット噴出で引き伸ばされた構造と考えられている。しかし、推定年齢が10万年未満で、半径50pcの超新星爆発シェルが、シンクロトロン放射で輝く状況は、大きさ、年齢、光度、において単一の超新星爆発で説明するにはエネルギーが大きすぎるという問題がある。我々は、SS433からのジェット噴出が数万年続くと仮定し、水素の再結合による冷却を考慮したジェット噴出の3次元磁気流体シミュレーションを行った。その結果、シェル構造とear構造は、SS433からのジェットのバックフローによって形成できること、ジェットによって圧縮された星間ガスは冷却により中性水素となり全体を取り巻く構造となることがわかった。この結果を擬似観測すると、W50の表面で強い電波放射をすることも示した(大村ら、投稿準備中)。また、分子雲の観測により、ear先端に衝撃波と接触した兆候のある分子雲を発見した(酒見ら2023)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
W50の全体構造をSS433ジェットのみによって説明できるか、を命題に冷却を考慮した3次元磁気流体数値計算を行った。その結果、ジェットと星間ガスの密度比や磁場強度にも依存するが、電波連続波で観測される形状を再現できることを示した。この計算では、SS433ジェットの接触不連続面に冷却によって密度が上昇した中性水素が取り巻く形になる。また、同時に磁場も凍結したまま冷却するため、境界領域に方位角方向に巻き付いた強い方位角磁場が卓越する。冷却されたガス密度と磁場を用いた擬似観測では、接触不連続面状に強い電波放射が卓越する。実際の観測と比べると強く電波放射しているため、シンクロトロン放射の起源である非熱的電子分布をより正確に解く必要があることがわかった。 東側ear領域の電波連続波の解析も進めており、数値計算から推測される巻き付いた磁場構造がある。 野辺山宇宙電波望遠鏡を用いて東側earのジェット軸上の分子雲の観測も進めている。これは、SS433ジェット軸近傍にガンマ線放射が報告された事を受け、ハドロニックプロセスでγ線が放出した場合の対応する分子雲が無いかを探査している。これは、西側のジェット軸上には、ジェットと直接相関していると推測できる分子雲があったためである。その結果、非常に密度は低いが相関がありそうな分子雲がある事を発見した。 我々のグループが主催するW50/SS433の勉強会を約10回程度行い、観測から理論まで幅広く情報共有を行う機会を提供した。この勉強会を通して、新たな共同研究が立ち上がり、観測提案の提出につながっている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、W50領域で観測されているガンマ線の起源を明らかにすることに向けた研究を進める。数値計算は、昨年度行った、冷却を考慮した3次元磁気流体シミュレーションの解析を進め、論文化する。ジェット伝搬に関しては、SS433近傍では、電波連続波観測によってらせん状の構造をしていることが知られている。一方で、earで光るジェットはX線のみが明るく電波放射はほとんどない。本年は、らせん状のジェット構造がどこまで維持できるのか、何故、遠方では電波放射が弱くなるのかを明かにするための数値計算を行う予定である。 観測的には、ガンマ線放射の起源として、ジェットによって加速された非熱的電子とW50を取り巻く中性水素/分子雲というモデルが成り立つかを明らかにするための観測を行う。中性水素輝線観測は既に昨年度終了しているため、本年度はその結果の解析および論文の執筆を行う。また、野辺山宇宙電波観測所で得た分子雲観測の結果は、分解能が不足していたため、ALMA望遠鏡に観測提案を出し、その追観測を行うことを目指している。 W50/SS433をキーワードに関連する観測・理論を集めた国内研究会を開催する予定である。
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