研究課題/領域番号 |
23K22560
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補助金の研究課題番号 |
22H01289 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17010:宇宙惑星科学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
鈴木 秀彦 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (40582002)
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研究分担者 |
加藤 恵輔 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (10611915)
石井 智士 立教大学, 理学部, 助教 (10981706)
冨川 喜弘 国立極地研究所, 先端研究推進系, 准教授 (20435499)
高田 拓 東京都立産業技術高等専門学校, ものづくり工学科, 准教授 (80455469)
津田 卓雄 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (90444421)
穂積 裕太 国立研究開発法人情報通信研究機構, 電磁波研究所電磁波伝搬研究センター, 研究員 (50803889)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
2025年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | 夜光雲 / 中間圏 / 超高層大気 / 小型気球 / 係留気球 / 中間圏界面 |
研究開始時の研究の概要 |
地球上でもっとも高い高度(~85km付近)に発生する雲「極中間圏雲(又は夜光雲)」は通常、極域の夏季に出現する現象である。夜光雲の出現動態は全球的な地球環境変動を可視化するバロメータである。一方、現行の夜光雲観測手法では、地球環境変動の進行を捉える上で重要な夜光雲出現領域の下限緯度における動態が不明である。本研究では、これまでにない船舶からの小型係留気球観測により夜光雲観測を実施し、その全球動態解明のカギとなる空白観測域(中緯度帯)における夜光雲出現特性を解明する。
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研究実績の概要 |
初年度は南極域での係留気球観測を実現させるための開発を推進した。開発項目は搭載カメラの姿勢安定用の軽量スタビライザー、LoRa通信による安定した位置、気象要素データ送受信モジュール、係留索に負荷をかけない巻き上げ機構である。上記の開発要素を統合した飛揚試験を関係各所との調整の上、2022年9月に茨城県大洗海岸にて実施し、9月13日の午後には200 gのゴム気球と約300 gのペイロード(カメラ+スタビライザー)を高度1,950 mまで77分間で往復させることに成功した。これらの実験によりスタビライザーの効果による係留索回りのカメラの回転が抑えられ、上空で夜光雲を検出するために必要な姿勢安定度を達成可能であることを示すことができた。一方、気球飛揚高度の風速に短時間での緩急がある場合、つり合い高度が変動することによりカメラに係留索と直交する軸まわりの回転が生じ姿勢安定度に影響することが判明した。この問題についてはスタビライザーの改良またはペイロードの吊り下げ方法の工夫により解決する必要がある。以上の試験観測成果については、国内シンポジウム等にて成果報告を行った。また、気球観測を補足する地上カメラネットワークシステムの制御フローの改修も行い、より安定した観測が実現可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度進捗として順調に推移したのは、簡易スタビライザーおよび気球係留索の巻き取りおよび巻き上げ機構部分の開発である。国内試験において、風速が安定した環境下において77分間という短時間で高度約2km高度までの往復飛揚を達成したことは、今後実地の観測計画を立案するうえで重要な実績となる。一方、国内試験観測においてシステムの評価が困難な要素は極域海上という低温および強風条件下でのシステムの挙動である。当初、2年目に南極海上での船上観測を計画していたが、南極海上は特に強風が吹き、係留索が傾いた場合、船舶の構造物等に接触する可能性がある。このようなケースでは飛揚を中止する手順を想定しているが、低温下でそのような手順が安全かつ速やかに実施できるかという点は慎重に評価する必要があると考えた。そこで、2年目は極域陸上において試験を行い、強風低温下での飛揚における知見を得ることを目標に掲げる。
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今後の研究の推進方策 |
極域海上の船上において係留気球観測を実施することが本研究の目標であるが、極域の強力な風と低温環境下での装置の挙動を評価するために、まずは極域陸上での観測実現を目指す方針とした。昭和基地にて係留気球観測を実施し、低温強風環境下での係留気球の振る舞いの把握と、安全かつ正確な観測手順を確立することを目指す。そして、これらの知見に基づき3年目に船上での係留気球観測の実現を達成する計画である。
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