研究課題/領域番号 |
23K22569
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補助金の研究課題番号 |
22H01298 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
寺尾 徹 香川大学, 教育学部, 教授 (30303910)
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研究分担者 |
山根 悠介 常葉大学, 教育学部, 准教授 (10467433)
木口 雅司 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 上席研究員 (30422918)
上米良 秀行 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 水・土砂防災研究部門, 契約研究員 (50470125)
村田 文絵 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 准教授 (60399326)
福島 あずさ 神戸学院大学, 人文学部, 准教授 (40634209)
林 泰一 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携教授 (10111981)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
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キーワード | 夏季アジアモンスーン / モンスーンオンセット / 高湿潤静的エネルギー大気 / 陸面大気カップリング / オンセット |
研究開始時の研究の概要 |
夏季アジアモンスーンオンセット時の大気下層の加熱プロセスを明らかにするため、インド亜大陸北東部のモンスーンオンセット期の大気の特別観測を行う。上空の大気場を直接観測できる高層気象観測を通常より高頻度で実施して日変化を解像する。また、上空の水蒸気量や地表への日射や赤外線の入射を高精度に測定する観測を展開する。これらの観測と陸面モデル、メソ気象モデルを組み合わせ、日変化を伴う当該地域の大気下層の加熱プロセスと、高湿潤静的エネルギー大気の生成および大気上層への輸送を解析し、アジアモンスーンオンセットにおける役割を評価する。
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研究実績の概要 |
2024年実施予定の、高湿潤静的エネルギー大気質量の動態を明らかにするための集中強化観測の準備を進めた。特に、3地点に導入予定の統合観測プラットフォームの観測を以下の3項目で準備を進めだ。①高層気象観測については、インド側及びバングラデシュ側の気象局で使われているラジオゾンデシステムを調査のうえ、2023年度中のテスト観測に必要な消耗品を入手した。インド気象局及びバングラデシュ気象局と2024年度の本観測及び2023年度のテスト観測の実施について合意を得た。②GPS可降水量観測については、インド気象局により観測されているGPSレシーバーのデータを活用することについてインド気象局と合意がえられるなど、予想以上の進展が得られた。バングラデシュについては、GPSレシーバーをバングラデシュ気象局に設置する協議を行い、同意が得られた。③自動気象観測装置については、測器のインストールに関する打ち合わせがほぼ終わり、必要な測器の選定及び購入を行った。 その他の諸準備も進んだ。レーダーデータの活用について2023年2-3月に協議を行い、インド気象局及びバングラデシュ気象局と合意した。メソモデル計算方法について検討を進め、2023年度から実施に入る準備ができた。陸面モデル計算については、共同研究成果を論文として発表するなど協議を進めた。データの共有と解析も進めた。 初期的な研究成果をとりまとめ、査読付きジャーナル等に出版した。研究成果を多くの国際学会で発表した。今後の研究プランを深め、研究交流を進めるための国際ワークショップを日本と現地で2回開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2024年度の集中強化観測に向けて、2022年度中に計画をしていた必要な機材の準備が以下の通り予定通り完了した。インド及びバングラデシュについて、現地気象局による高層気象観測の実施体制や使用機材の現状について確認でき、2023年度のテスト観測に必要な消耗品が入手できた。2024年度に向けたインド及びバングラデシュにおける高層気象観測の実施体制について協議し合意を得た。また、自動気象観測装置の機種選定及び調達が完了した。GPSレシーバーによる可降水量連続観測に関しては、インド気象局が北東インドに持っているGPSレシーバーのデータを解析に活用することについてインド気象局との合意ができるなど、予想以上の大きな進展があった。一方、新型コロナウイルス禍に伴う渡航の困難も要因となって、設置場所の最終確認等に必要な情報の入手が遅れたことなどから、輸送先の確定が2023年度の課題として残されるなど、この点では遅れもある。しかし、2024年度実施の集中強化観測プロジェクトに関しては総合的に十分な達成が得られ、おおむね順調に進展していると言える。 モンスーンオンセット期における下層の高湿潤静的エネルギー大気質量の動態に関する解析結果を国際学会にて発表したが、論文化は2023年度の課題となった。一方で、国際共同観測の推進にかかわる国際共著論文など、研究成果を査読付き論文として発表することができた。アジアモンスーンの降水パターンやその変動、観測に関する論文も発表している。この点でもおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
インドGuwahati及びバングラデシュDhakaとSylhetにおける高層気象観測の実施に関しては、テスト観測の実施に向けて確立してきた合意に基づいて消耗品の輸送と現地における最終的な打ち合わせを行い、2023年中のできるだけ早い時期にテスト観測を実施する。2024年度の観測の実施上の課題を明らかにし、必要な対策を取る。2024年の観測に必要な消耗品の調達を行う。 自動気象観測装置の設置先を確定し、インド及びバングラデシュに輸送する。2023年中のできるだけ早い時期に自動気象観測装置をインストールし、2024年2-3月期に動作確認とデータ収集を行う。課題があれば必要な対策を取り、2024年度の集中強化観測に備える。バングラデシュDhakaおよびSylhetにGPSレシーバーをインストールし、稼働させる。インド気象局のGPSレシーバーデータを入手し、テスト解析を実施する。 2024年度の集中観測に向けて、インド気象局及びバングラデシュ気象局と、レーダーデータをはじめとする現地気象局の観測データを入手するより具体的な取り決めを交わす。 メソ気象モデル及び陸面モデルによる計算をテスト実施する。 現在入手可能なデータに基づいて、モンスーンオンセット期における下層の高湿潤静的エネルギー大気質量の動態に関する解析にもとづく全面的な論文成果を出版する。
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