• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

火山近傍の活断層の発達と長期相互作用の解明―布田川断層と阿蘇火山における研究―

研究課題

研究課題/領域番号 23K22576
補助金の研究課題番号 22H01305 (2022-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2022-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分17030:地球人間圏科学関連
研究機関東北大学

研究代表者

遠田 晋次  東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (80313047)

研究分担者 石村 大輔  東京都立大学, 都市環境科学研究科, 助教 (00736225)
川口 允孝  東京大学, 地震研究所, 特任研究員 (20943608)
鳥井 真之  熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 特任准教授 (40711908)
奥野 充  大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (50309887)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2024年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2023年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2022年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
キーワード活断層 / 布田川断層 / 熊本地震 / 阿蘇カルデラ / 地表地震断層
研究開始時の研究の概要

活断層による内陸大地震と火山噴火が短期的に連鎖する事例は多い.分布や構造発達,長期活動についても活断層と火山とには密接な関連性が指摘されている.本研究では,2016年熊本地震を引き起こした布田川断層帯と阿蘇火山の活動に着目し,断層活動史と噴火史の相互関係と火山地域での断層発達過程の解明を目指す.そのために,熊本地震後の復旧工事にともなう露頭データの整理や保存試料の年代測定,詳細地形解析,新期火山堆積物被覆域でのトレンチ・ボーリング調査,試料分析などを系統的に展開する.これにより,阿蘇火山北西の噴火史,それらの噴出物と切断・被覆関係にある布田川断層の活動から,両者の時空間の関連性を解明する.

研究実績の概要

1)熊本地震後の復旧工事露頭データの総括:2016年熊本地震直後から現在までの間に調査を行った工事露頭についてデータ整理を行い,共通する年代を絞り込んだ.阿蘇カルデラ周辺の布田川断層についても,平均活動間隔が2000-3000年程度,最新活動が約2000年前に生じていたことを突き止めた.また,阿蘇大橋近傍での崩壊地修復工事など,新たなデータを加え,阿蘇黒川を横断する布田川断層とその累積変位量を確認するなど,新規の露頭データも加えた.
2)航空レーザ計測データなどによる断層変位地形の再検討:高精度航空レーザ計測データによって断層変位地形の抽出箇所を行い,2016年の断層変位の識別を進めた.特に,昨年度実施した阿蘇九州東海大学周辺の地質調査とのクロスチェックを進め,複雑な断層分布,特に地震断層末端,不連続部に関する断層構造を明らかにした.また,2.7万年前に噴出した沢津野溶岩上での未成熟な断層分布を抽出した.
3)熊本地震の地震断層のトレンチ調査:本年度はカルデラ内のサイト選定において掘削許可が得られなかったため,カルデラ外の益城町田中地区でトレンチ調査を実施した.このサイトは平成8年に熊本県,平成18年に産業技術総合研究所がトレンチを実施したサイトで,当時の断層が2016年熊本地震時に約40-50cm右横ずれを生じていたことを明らかにした.産総研サイトの再検討などから,多先行する地震イベントは約2000年前前後で,カルデラ内の布田川断層の活動と同時期であることも確認した.
4)地震断層未表出区間の火山噴出物の層厚・性状確認のためのボーリング調査:今年度は南阿蘇村黒川地区で20m深さのボーリング調査を実施し,約3万年前の草千里ヶ浜降下軽石を深度5m,深度11m以深に高野尾羽根溶岩を確認した.浅部のアカホヤ火山灰(7300年前)以降の堆積物については現在分析中である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

既往の復旧工事の露頭データについては,当所の想定よりも膨大な量になっており,学術論文や学会発表においても,工事関係者の許可が必要な部分もあり,その部分に手間取りやや遅れ気味である.断層変位地形の解析については順調であるが,手法の新規性について各種の解析手法を模索している部分もある.上記の南阿蘇村での復旧工事に伴う有用な断層露頭が期間中に露出し,レーザ計測から抽出された断層変位地形や熊本地震時の地表変状との関係性については順調に分析が進んでいる.一方で,火山地形・新期の火山噴出物と布田川断層の活動の関連性をさぐるために実施する予定のカルデラ内でのトレンチ調査・ボーリング調査は一部遅れている.その理由は,熊本地震震災ミュージアム建設や周辺整備に伴って地層露頭が露出すると同時に,用地交渉や掘削業者選定に想定以上に時間を要することになったためである.

今後の研究の推進方策

今年度は3ヵ年の最終年度であり,新たに調査を実施するだけではなく,研究課題全体の成果をとりまとめて,学術論文等で公表する予定である.特に,熊本地震から8年が経過し,布田川断層の活動性に関して,当研究課題でのデータの取りまとめは当然ながら,他の研究機関等による調査結果もほぼ出揃ったと思われる.これらのことから,熊本地震で活動した区間,特に当課題で重点的に調査を行った阿蘇カルデラ内での活動履歴について,総合的なレビュー論文をまとめる予定である.また,過去2年間で未実施の地震断層未表出区間の杵島岳・往生岳・米塚噴出物(過去4000年間の噴出物)の層厚・性状確認のためのボーリング調査,さらにより新期の阿蘇火山の噴出物を切る断層活動を確認するためのトレンチ調査を実施し,上記布田川断層の活動履歴との関係性を明らかにし,両者の時空間の関連性を解明する予定である.

報告書

(2件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)

  • [学会発表] 布田川断層田中地区における熊本地震前トレンチの再掘削調査2023

    • 著者名/発表者名
      遠田晋次・鳥井真之・山根悠輝・原 勇貴・ 石村大輔・高橋直也・奥野 充・福田泰英
    • 学会等名
      日本活断層学会2023年秋季学術大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 布田川断層田中地区における熊本地震前トレンチの再掘削:熊本地震による 壁面変化について2023

    • 著者名/発表者名
      山根悠輝・原 勇貴・鳥井真之・遠田晋次・ 石村大輔・高橋直也・奥野 充・福田泰英
    • 学会等名
      日本活断層学会2023年秋季学術大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 内陸地震による地表断層変位の複雑性とその予測2023

    • 著者名/発表者名
      遠田晋次
    • 学会等名
      日本地震工学シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 地質・地形・地震活動情報からの震源断層パラメータの事前予測:2016年熊本地震を例に2023

    • 著者名/発表者名
      遠田晋次
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2023年大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 熊本県震災ミュージアムアクセス道路法面で確認された断層露頭2022

    • 著者名/発表者名
      吉見瑶子・遠田晋次・鳥井真之・川口允孝・高橋直也・ 石澤尭史・青塚稜平・市川八州夫・藤井正博・井田貴史・ 吉田拓海・櫻井麻衣人・原 勇貴・釘宮康郎・松山尚典・ 阿部恒平・照沢秀司・奥野 充
    • 学会等名
      日本活断層学会2022年秋季学術大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi