研究課題/領域番号 |
23K22580
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補助金の研究課題番号 |
22H01309 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17030:地球人間圏科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
土井 一生 京都大学, 防災研究所, 准教授 (00572976)
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研究分担者 |
岡本 隆 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (30353626)
大澤 光 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (70839703)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2026年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2025年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | 地震地すべり / 斜面安定計算 / 地震波散乱 / 不均質構造 / 地形 / 地すべり / 地震波 / 間隙水圧 / 変位 / 地震時地すべり |
研究開始時の研究の概要 |
全国で巨大地震の発生が危惧される中、地震による斜面災害の防災・減災のためのハザード予測は喫緊の課題となっている。地震時の斜面の安定計算に関する現行の手法では崩壊斜面内部の強い不均質構造や斜面の複雑な地形に起因する地震波の複雑な伝播が反映されていない。本研究課題では、これらに由来する地震動の時空間的な多様性が斜面崩壊に与える影響について検討する。斜面において、地震動・変位・間隙水圧などの高密度、高サンプリング周波数での観測を実施し、特に地震波の周期ごとに変位や間隙水圧がどのように応答するか明らかにする。その結果に基づき理論的なモデルを構築し、地震時の斜面崩壊メカニズムについての理解を深める。
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研究実績の概要 |
北海道の海岸地すべりにおいて昨年度に設置した短周期速度計や高周波数で観測可能な伸縮計の設置、水文状態の入力条件となる気象観測装置などの計器について連続観測を継続した。さらに、今年度は新たに15点程度の短周期地震計を追加設置し、観測点間隔 5 m 程度の超稠密地震観測アレイを構築し、連続地震観測を開始した。また、研究代表者らがこれまで地震観測を実施していた高知県の岩盤斜面においても観測点間隔 5-10 m の地震計の線形アレイを構築し、連続地震観測を実施した。 これらの地震観測記録に対して、今年度は観測点ごとにS波部分の振幅スペクトルを比較する解析を実施した。観測点間の振幅スペクトル比を計算したところ、北海道、高知県ともに、いずれの観測点間低周波側で振幅比がほぼ1となり、高周波側ではスペクトル比がばらついた。振幅比がほぼ1となる周波数帯は、概して観測点間距離が短いほど広く、長くなると狭くなった。このことは、地震波の波長と比較した際に、観測点間距離よりも地震波の波長が長い場合に両観測点での振幅スペクトル比がほぼ1となり、地震波波長や地形の複雑さ、斜面内部の不均質構造に観測される振幅スペクトルが依存することを示唆した。北海道の海岸地すべりの場合は、地すべりブロックの境界を挟む観測点間で振幅スペクトルが他の観測点間に比べ大きく異なった。 同じ地すべり内であっても地震動の多様性を考慮することで地震時の斜面安定解析を高度化できる可能性があることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定よりも多くの観測機材を利用できる機会に恵まれたため、充実した地震観測網を構築し、連続観測を開始することができた。次年度以降、こうした観測によって得られたデータの解析を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
今年度大幅に拡充された地震観測アレイにおける観測を継続するとともに、得られた地震波形記録の解析を進める。また、地形や斜面の内部構造の調査を実施し、解析によって導かれる地震波形記録の特徴と比較し、地すべり内部での地震動の多様性がどのように解釈されるか議論する。さらに、得られた知見の普遍性について検討するため、研究代表者らがこれまでに観測を実施してきた斜面でのデータの再解釈や追加観測を実施する。 また、強震時の斜面の変位や過剰間隙水圧の生成・消散についてのデータを取得するための観測も継続し、強震時の記録が取得された場合には、地震動と斜面の変位や間隙水圧の生成・消散の記録を比較し、強震時の斜面の振る舞いについての知見を得る。 最後にこれらの知見を通じて斜面の安定計算手法を高度化する方策について検討する。
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