研究課題/領域番号 |
23K22581
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補助金の研究課題番号 |
22H01310 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17030:地球人間圏科学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
黒崎 泰典 鳥取大学, 国際乾燥地研究教育機構, 教授 (40420202)
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研究分担者 |
石塚 正秀 香川大学, 創造工学部, 教授 (50324992)
関山 剛 気象庁気象研究所, 全球大気海洋研究部, 主任研究官 (90354498)
大黒 俊哉 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (70354024)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | ダスト / 風食 / 砂塵嵐 / 砂漠化 / 草原生態系 / 枯れ草 / 黄砂 / ゴビ砂漠 |
研究開始時の研究の概要 |
ダスト(黄砂)は発生域では砂塵嵐という自然災害であり、日本等の風下域においても健康被害をもたらす。しかしながら、砂塵嵐の発生や黄砂飛来を予測するためのダスト数値モデルの精度は十分でない。精度向上できない原因のひとつとして、ゴビ砂漠スケールの広域を対象とした枯れ草量の信頼できる推定ができていないことを挙げられるが、近年、衛星観測で得られるSoil Tillage Index (STI)によって、枯れ草の定量的推定の可能性が見えてきた。本研究では、ゴビ砂漠における枯れ草量測定を行い、この測定データを用いたSTIによる枯れ草量推定法を確立することで、ダスト発生モデルの精度向上を実現する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、(1)ゴビ砂漠における枯れ草量測定を行い、(2)この測定データを用いたSoil Tillage Index (STI, 衛星観測データを用いた土壌耕起指数)による枯れ草量推定法を確立することで、(3)「枯れ草仮説」の定量的検証と(4)ダスト発生モデルの精度向上を実現することである。 コロナ禍においては、モンゴル気象水文環境情報研究所(IRIMHE)の共同研究者の協力で、現地気象台職員等によって植生調査を行ってきたが、2023年度は春(4~5月)と夏(8~9月)の2回、植生調査を行った。春は昨年度用意した気象測器を用いた飛砂、風速、粗度長などの調査を行った。植生調査の内容はSTIの元データとなるMODISプロダクトのピクセル領域を参考にした、1m×1mコドラートの写真撮影、地上部バイオマス測定である。MODISは衛星センサーの名称である。 枯れ草のダスト発生への影響には、枯れ草が土壌を覆う効果(被覆効果)と粗度物質として乱流に影響する効果(粗度効果)の2つが存在する。被覆効果については、これまでに取得した写真データの画像解析結果(植被率)と衛星データの比較を行っている。本研究ではSTIと植被率の比較のみを計画していたが、過去文献を参考にして、STIとNDVI(正規化植生指数)の組み合わせによる植被率推定の精度向上を試みている。粗度効果については、飛砂、風速等のデータ解析を進めている。これらの解析から「枯れ草仮説」の定量的検証を進めていく。 ダスト発生モデルの精度向上については、予備調査データで得られたSTIを用いた枯れ草被覆率の推定式(Wu et al. 2021)をダスト数値モデルに導入した実験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、(1)ゴビ砂漠における枯れ草量測定を行い、(2)この測定データを用いたSoil Tillage Index (STI, 衛星観測データを用いた土壌耕起指数)による枯れ草量推定法を確立することで、(3)「枯れ草仮説」の定量的検証と(4)ダスト発生モデルの精度向上を実現することである。 初年度(2022年度)は新型コロナの影響があったが、IRIMHEの共同研究者の協力で規模を縮小しながらも現地調査を実施出来た。2023年度は春(4~5月)と夏(8~9月)に植生調査を実施した。春は昨年度用意した気象測器を用いた飛砂、風速、粗度長などの調査を行った。3月はIRIMHEの協力で翌年度4~5月の観測に向けた観測環境の確認、測定インターバルの変更、測定機材の電池交換といった準備を実施した。これまでに得られた現地植生写真データの画像解析を進めている。このように、目的(1)(2)は実現に向かって進捗している。また、4~5月の飛砂、風速、粗度長などの調査と植生調査の結果を組み合わせることで、(3)「枯れ草仮説」の定量的検証を進めている。(4)ダスト発生モデルの精度向上については、予備調査データで得られたSTIを用いた枯れ草被覆率の推定式(Wu et al. 2021)をダスト数値モデルに導入した実験を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は今年度(2023)と同様にダスト発生の季節(4~5月)及びNDVIが年最大値になる(植物が最も繁茂した状態と期待できる)8~9月に現地調査を実施する。植生調査と昨年度(2022年度)に輸送した測器による飛砂、気象観測を今年度から実施しており、これらのデータを用いることで、Soil Tillage Index (STI, 土壌耕起指数)による枯れ草量推定法を確立及び「枯れ草仮説」の定量的検証のための解析を進める。今年度4~5月は極端に植生量の少ない年であったため、2024年度は昨年度よりも枯れ草の評価をしやすいデータが取れることが期待できる。 これまでSTIによる枯れ草被覆率推定の精度向上を目指してきたが、STIとNDVIの組み合わせによる精度向上も試みる。一方、ダスト数値モデル精度向上においては、STIとNDVIの組み合わせた手法の導入は本科研期間では間に合わないため、Wu et al. (2021)等のSTIのみによる枯れ草被覆率推定式を数値モデルに導入し、数値実験を行う。
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