研究課題/領域番号 |
23K22582
|
補助金の研究課題番号 |
22H01311 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17030:地球人間圏科学関連
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
竹中 博士 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (30253397)
|
研究分担者 |
岡元 太郎 東京工業大学, 理学院, 講師 (40270920)
山田 伸之 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 教授 (80334522)
中村 武史 一般財団法人電力中央研究所, サステナブルシステム研究本部, 主任研究員 (40435847)
豊国 源知 東北大学, 理学研究科, 助教 (90626871)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
|
キーワード | 地震動 / 南西諸島 / 地下構造モデル |
研究開始時の研究の概要 |
本土に比べて立ち遅れている南西諸島域の強震動予測の高度化を図るため、地盤を含む高精度の海陸統合地下構造モデルを自然地震と常時微動の波形記録の解析から以下のように構築する。地震の記録に全波形トモグラフィーを適用し、震源-観測点間領域の高分解能の速度構造を推定する。常時微動は,陸上地点の微動アレイ探査記録と島の観測点間の速度構造をターゲットにした広帯域の長期連続記録を用いる。後者には地震波干渉法を適用し、いずれも表面波の情報を抽出して速度構造を得る。それらの速度モデルを整合して海陸統合地下構造モデルを構築する。それを用いて短周期の波形再現性を向上させる。
|
研究実績の概要 |
本課題は、全体の研究を「1.FAMT(CMT)解析」、「2.全波形トモグラフィー」、「3.微動アレイデータの再解析」、「4.地震波干渉法」、「5.モデルの統合と検証」の5つの実施ユニットに分けて実施する。そのうち、令和4年度は「5.」を除く4つについて研究を実施した。以下その成果の概要である。 1.FAMT解析:当初トカラ列島を中心とする北部地域の地震を対象に、FAMT解析を行う予定であったため、まず同地域の暫定3次元構造モデルに基づくグリーン関数を計算した。しかし、観測記録の量と質を十分に確保できないイベントが多いことがわかったため、次年度以降実施予定であった沖縄本島沖のイベントの解析を先行させることとし、Mj4.5~5.8の10個の地震について高精度震源及びメカニズムを得た。 2.全波形トモグラフィー:全波形トモグラフィーに使用する初期モデルの作成のため、暫定モデル構築に使っていない論文・資料に基づいて、南西諸島域における地殻の厚さとモホ面深度を検討した。その結果、沖縄本島沖では沈み込む海洋地殻が標準よりもやや厚くなっている可能性があることがわかった。また、沖縄本島沖の地震波速度が、海洋地殻では実際よりもやや遅め、マントルではやや速めになっている可能性があることがわかった。 3.微動アレイデータの再解析:北部地域(奄美・トカラ・屋久島)について、過去に実施した陸域の微動アレイ観測データの再解析を実施し、観測地点における1次元地盤速度構造の推定(見直し・追加)をした。その結果は、学会誌に投稿中である。 4.地震波干渉法:南西諸島において防災科学技術研究所(F-net)の7観測点と地震予知総合研究振興会の5観測点で得られた2017年1年間の常時微動の広帯域連続波形記録3成分を用いて観測点ペアの相互相関処理を行い、観測点間のグリーン関数を抽出して表面波を同定した。 以上
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度に研究を開始した1~4の実施ユニットについて以下のような個別の進捗状況の評価をした。それを踏まえて、本課題研究全体の総合的な進捗状況を「(2) おおむね順調に進展している」と判断した。 1.FAMT解析:当初予定の北部地域の解析を中断し、次年度以降実施予定であった中部地域の沖縄本島沖のイベントの解析を先行させたが、沖縄本島沖のイベントの解析結果について学会誌に投稿することができたので、「おおむね順調に進展」と評価した。 2.全波形トモグラフィー:まだ初期モデルの作成にまでは至っていないが、基となる暫定3次元構造モデルの改善すべき点を明らかにできたので、評価は「やや遅れ」程度である。 3.微動アレイデータの再解析:当初の予定通り、北部地域の再解析を実施することができた。その上、結果をまとめて学会誌に投稿することができたので、評価は「やや当初の計画以上に進展」とした。 4.地震波干渉法:1年間の3成分連続波形記録を使用して広帯域地震観測点12点について全ての観測点ペアで各9成分の相互相関処理を一通り実施することができた。表面波の同定もできているので、「やや当初の計画以上に進展」の評価とした。 以上
|
今後の研究の推進方策 |
令和4年度の進捗状況を踏まえて、令和5年度は1~4の実施ユニットについて以下のように各ユニットの研究を遂行する。さらに、次年度から「5.モデルの統合と検証」も開始し、島弧構造モデルと海洋プレート構造モデルの統合・整合化の方法についても検討する。 1.FAMT解析:主に中部から南部の東側にかけての地域を対象に、自然地震の波形記録を用いて暫定3次元構造モデルに基づくFAMT解析を実施する。波形記録は、防災科学技術研究所、気象庁などの公開されている強震動観測点の記録のほか、地震予知総合研究振興会の広帯域地震観測点の記録も使用する。 2.全波形トモグラフィー:まず、全波形トモグラフィーに使用する初期モデルのフィリピン海プレートのモデルの改善を図り、全波形トモグラフィーの準備的な計算を実施してフィージビリティーや問題点を検討する。 3.微動アレイデータの再解析: 引き続き過去に実施した微動アレイ探査による地盤調査データの再解析を実施し、やや短周期帯の表面波の位相速度を抽出して地盤モデルの修正を行う。 4.地震波干渉法:新たな期間のデータを追加して引き続き、南西諸島全域に渡る観測点ペアの微動波形の相互相関処理によるグリーン関数の抽出を行い、数値シミュレーションと比較することにより表面波を同定する。そして、観測点間のやや長周期帯の表面波の群速度を測定し、構造についての情報を抽出する。データには防災科学技術研究所のF-net観測点と地震予知総合研究振興会の観測点の広帯域波形記録を用いる。 以上
|