研究課題/領域番号 |
23K22585
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補助金の研究課題番号 |
22H01314 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17030:地球人間圏科学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
益田 晴恵 大阪公立大学, 都市科学・防災研究センター, 客員教授 (70183944)
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研究分担者 |
山川 茜 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康領域, 主任研究員 (00720286)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
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キーワード | フィリピン海プレート / スラブ脱水 / 非火山性温泉 / 自然由来水銀汚染 / 活断層 / 水銀の地質学的循環 / 水銀同位体比 / 中央構造線 / フィリッピン海プレート / プレートテクトニクス / 地質由来元素汚染 / 土壌・地下水汚染 / プレート収束帯 |
研究開始時の研究の概要 |
近畿中南部から四国にかけて、地殻深部または沈み込む海洋プレートに起源を持つ流体に伴う水銀の放出があるとの作業仮説を検証することを目的として、土壌中水銀の濃度と安定同位体比を分析する。これまでに分析した600試料以上の試料のうち、高温泉湧出地域と水銀・硫化鉱物鉱床出現地域に500ppb(背景値は100~150ppb)を超える水銀濃度がしばしば検出される。また、深部低周波地震・微動の震源域と重なる部分で、水銀濃度が高い傾向がある。今後、水銀安定同位体比から水銀の起源を特定し、現在の非火山性熱水活動である深部流体と水銀放出の関係を明らかにする。
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研究実績の概要 |
初年度は、新たに導入した水銀濃度分析装置を用いた定量分析のルーチン化と土壌試料採取を行った。これまでに大阪平野周辺部と紀伊半島を中心に採取した約300試料の分析を終了しており、次の結果を得ている。 1)本計画の予備調査で大阪平野の南方に位置する和泉山地を中心に採取した約150試料の土壌を再分析し、さらに北へ調査範囲を広げた。合計209試料の平均水銀濃度は132 ppbであった。山地と大阪平野・奈良盆地・和歌山平野の境界を走る活断層直近でしばしば200 ppbを超える水銀が検出され、最高濃度は大阪平野最南端付近で得られた3680 ppbであった。 2)主に中央構造線より南の紀伊半島で、約200点の土壌試料を採取した。主として紀伊半島中央部の中央構造線から潮岬周辺に至る南北での2側線を中心として、すでに分析済みの85試料の平均水銀濃度は243 ppbであった。中央構造線に沿った地域で300 ppbを超える高濃度の水銀を検出する明らかな傾向があり、最高濃度は1870 ppbであった。また、白浜温泉では、温泉街から少し離れた地点で1000 ppbを超える濃度を検出した。 紀伊半島と四国西部で本年度に採取した未分析試料が約200点あり、順次分析を継続中である。また、本研究でこれまでに得られた成果は、2023年4月にウィーンで開催されたヨーロッパ地球科学連合大会で発表した。水銀の挙動を考察するための地下水・温泉水や深海底堆積物に関する複数の論文が、査読のある国際と国内の学会誌に公開された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標であった土壌試料採取と水銀濃度分析は概ね順調に進んでおり、ほぼ予定通りの進捗状況であると言える。すでに得られた結果からは水銀濃度分布が活断層や深部低周波地震・イベントなどと関連している可能性も示唆されている。
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今後の研究の推進方策 |
「沈み込むスラブに起源を持つ深部流体の上昇によって水銀が地表にもたらされている」との作業仮説を示唆する結果が得られており、今後も計画当初に予定した検証を継続できると判断している。 大阪平野北部から京都盆地南部および紀伊半島の東側での試料採取が不十分であることから、この地域での調査をできるだけ早い時期に行う。その後、四国東半部の地域での試料採取を進める。土壌試料採取と水銀濃度分析は本年度内に終了し、近畿地方南部から四国にかけての土壌中水銀濃度分布図を完成させるペースで進める。年度後半では、土壌中水銀の化学態分析を行う。これにより、水銀が気体として移動していることを確認する。また、水銀安定同位体比の分析準備に入る。年度内には、前処理法を確立し、予備分析まで進める。 得られた成果は、8月の水岩石相互作用国際シンポジウム(仙台)と12月のアメリカ地球物理学連合大会(サンフランシスコ)で発表を予定している。
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