研究課題/領域番号 |
23K22587
|
補助金の研究課題番号 |
22H01316 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17030:地球人間圏科学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
松岡 大祐 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(地球情報科学技術センター), グループリーダー (80543230)
|
研究分担者 |
筆保 弘徳 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (00435843)
杉山 大祐 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(地球情報科学技術センター), 准研究主任 (00816184)
中野 満寿男 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(環境変動予測研究センター), 副主任研究員 (40713954)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
|
キーワード | 熱帯低気圧 / 急発達 / 豪雨 / 深層学習 / 生成モデル / オープンデータ / オードエンコーダ / 機械学習 / 人工知能 / 画像認識 / 異種データ融合 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、観測事例数の少なさをシミュレーションによって補うため、シミュレーションデータを観測データ特有の特徴に変換する技術を開発する。実際の観測データと、観測データ風に変換されたシミュレーションデータとを同時に用いることで、観測事例の少ない極端大気現象等の検出または予測における精度向上を実現する外挿的な機械学習モデルを構築する。提案手法を用いることで、発生初期の台風のタマゴの検出や、超大型台風の強度推定、急発達予測の精度向上を目指す。また、シミュレーションデータおよび観測データ間の相互変換技術の開発を通して、両者の表現能力およびその差異を定量化し、シミュレーションモデルの高度化へとつなげる。
|
研究実績の概要 |
シミュレーションデータと観測データ間のスタイル変換を行うために必要となる機械学習用データの作成、および両データにおける特徴的パターンの分析を行った。前者においては、30年分のシミュレーションデータ(水平解像度14kmの全球非静力学モデルNICAM)に対して熱帯低気圧のトラッキングアルゴリズムを適用し、熱帯低気圧の中心を含む1000km四方の矩形領域のデータ(外向き長波放射量、東西風、南北風、温度、海面校正気圧等)の切り出しを行った。また、衛星観測データ(水平解像度7kmのGridSat)に対しては、熱帯低気圧のベストトラックデータを用い、同じく熱帯低気圧を中心に含む1000km四方の矩形領域のデータ(赤外)を切り出した。さらに、各パッチデータに対して、台風発生からの経過時間、中心最大気圧および最大風速等の値をラベル付けし、データリポジトリより公開を行った。 後者については、畳み込みニューラルネットワークを用いた教師なし学習の一種である畳み込みオートエンコーダを用いることで、シミュレーションデータおよび観測データそれぞれに含まれる空間的特徴パターンの抽出を試みた。特に、入力および出力の真値として同一の雲画像(外向き長波放射量または赤外)を与え、エンコードすることで圧縮された情報を用いて、デコードを用いた復元を行った。このとき、畳み込みフィルタの出力を可視化することにより、シミュレーションおよび観測データそれぞれにおいて、熱帯低気圧の雲を構成するエッジや濃淡等の低次特徴のパターンの把握を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シミュレーションデータおよび観測データそれぞれに対して機械学習用データの切り出しが完了した上、特にシミュレーションデータに対してはデータリポジトリでのデータ公開(doi付与)し、データ論文として取りまとめたことで、アウトプットという点では順調に進展していると言える。また、両データに対する特徴的な空間パターンの分析によって、翌年度以降に予定しているスタイル変換学習の準備が整ったと言える。 一方で、抽出された特徴的空間パターンの統計的な比較や、当初予定していたWRF(シミュレーション)およびひまわり8号(衛星観測データ)の活用には至らなかったが、計画上の大きな問題はないと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度に行った特徴的空間パターンの分析結果に基づいて、シミュレーションデータの熱帯低気圧(外向き長波放射量)から衛星観測データの熱帯低気圧(赤外)へのスタイル変換学習を行う。スタイル変換には、CycleGANと呼ばれるアーキテクチャを利用し、スタイル変換前後のデータを定量的(ヒストグラムおよび累積度数分布、雲のサイズ等)に比較する他、GradCAM等の可視化手法を用いることで、空間的なパターンの異なる領域をヒートマップ表示する。 また、シミュレーションデータおよび衛星観測データにおいて見られる熱帯低気圧のパターン分析を行う。特に、衛星観測においてのみ見られるパターン、シミュレーションにおいてのみ見られるパターン、さらに両者において共通して見られるパターンを明らかにする。
|