研究課題/領域番号 |
23K22594
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補助金の研究課題番号 |
22H01323 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
齊藤 哲 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 准教授 (00528052)
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研究分担者 |
河野 義生 関西学院大学, 理学部, 教授 (20452683)
福山 繭子 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (40630687)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2026年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2025年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | ジルコン / メルト包有物 / セリウム分配 / 酸化還元状態 / 物理条件解析 |
研究開始時の研究の概要 |
ジルコンは地球の地殻岩石のみならず、月の地殻岩石、火星や小惑星帯由来の隕石中などの幅広い範囲の岩石試料中に産出する鉱物である。またジルコンは風化や変質に強く、生成時の初生的な化学組成情報を保持することから、地質学、岩石学、地球化学、年代学、惑星科学などの幅広い分野で活用されている。本研究では、新たにジルコン中のメルト包有物に着目し、ジルコンおよびジルコンと共存したメルトの組成解析およびメルトの構造解析を基に、ジルコン生成時のマグマの物理化学条件、特に酸化還元状態を決定する手法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、ジルコンに含まれるメルト包有物の組成分析、さらにメルトの構造解析を計画している。ジルコン中のメルト包有物は、ジルコン生成時のメルト組成を記録していると考えられるが、冷却時に結晶化した微細鉱物の集合体となっていることが多く、そのままではメルトの組成分析、構造解析が困難である。この問題を解決するために、本研究ではメルト包有物を高温高圧実験によりガラス化(均質化)させるが、本年度はこの均質化実験手法の確立を目指した。さらにガラス化させたメルト包有物の主要元素組成分析手法および評価方法について検討するとともに、得られたメルト包有物組成データから物理条件の解析を試みた。 多様なジルコン試料を得るために、領家帯・山陽帯・山陰帯・外帯・伊豆衝突帯において珪長質岩類の試料採集を行った。均質化実験では高圧実験中のセル内圧力モニタリングと実験の効率化とを目指したセルシステムの改良に取り組んだ。また均質化に最適な実験温度・圧力・実験時間について検討した。これら実験手法については来年度以降も引き続き改良を目指す。 ガラス化させたメルト包有物について、SEM-EDSを用いた主要元素組成分析の手法確立を目指し、ガラス分析に適したスタンダードおよび分析条件について検討した。またガラスの微小領域の組成分析時に問題となるNa欠損に加え、メルト包有物への微細結晶の混染といった検討すべき問題が明らかとなり、分析データの評価が必須であることがわかった。これらの問題については、得られた組成データに対して熱力学的相平衡計算プログラムを適用することによる評価を試みた。さらにメルト包有物の主要元素組成を用いて温度圧力条件解析を行った。これらの結果はジルコンのメルト包有物研究が新たな物理化学条件の解析手法として利用できる可能性を示しており、本研究課題の中でも重要な成果の1つとなるものと期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題で取り組むジルコン中のメルト包有物の組成分析・メルトの構造解析に向けた基礎となる、均質化実験手法および主要元素組成分析手法の確立に対して進展が得られた。さらにメルト包有物の組成データの評価方法と、物理条件を制約する方法について検討し、これらの進捗から今後の研究への見通しを得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究により、ジルコン中のメルト包有物研究がマグマの物理条件と化学組成の解析に有効な研究対象であることが実証できた。一方で、副成分鉱物であるジルコンは一般にとても小さく、メルト包有物は非常に微細であるため、化学組成分析をはじめとする解析は容易ではないこともわかった。また研究対象とする岩石試料によりジルコンの大きさや含有量も変化するため、メルト包有物研究に適した試料とそうでない試料があることもわかった。岩石試料中のジルコン含有量は、全岩化学組成分析で得られるZr濃度と相関があるが、肉眼観察から岩石試料に含まれるジルコンの寡多を判別するのは極めて難しい。このため、ジルコンのメルト包有物研究に適した試料を得るためには、採集する岩石試料も多様であるほうが望ましいと考えられ、そのため次年度以降も野外調査による試料採集をすすめるとともに、ジルコン分離作業といった試料の処理方法についても、さらなる改良を目指す。 また今年度はSEM-EDS分析によるメルト包有物の含水量推定を試み、予察的なデータが得られた。今後メルト包有物解析からマグマの物理条件や化学組成と合わせて含水量も制約できる可能性があり、次年度以降も高温高圧実験とSEM-EDS分析について手法の改良をすすめていく。今年度に獲得したジルコンメルト包有物の研究手法を多くの試料に適用することでデータを蓄積させるとともに、メルト包有物研究の次の段階として、セリウムを含めた微量元素組成分析を目指す。
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