研究課題/領域番号 |
23K22611
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補助金の研究課題番号 |
22H01340 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17050:地球生命科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
奥村 大河 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (90867508)
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研究分担者 |
鈴木 道生 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (10647655)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | バイオミネラル / 微量元素 / 有機分子 / vital effect / 炭酸カルシウム |
研究開始時の研究の概要 |
生物が関与して形成される鉱物はバイオミネラルと呼ばれ、そこに含まれる微量元素の量は形成時の環境を反映する。そのためバイオミネラルは古環境学において重要な研究対象だが、微量元素含有量と環境因子との相関は経験的に推定されているため研究によってばらつきがある。ばらつきが生じる主要因とされる生物学的影響はvital effectと呼ばれるが、その詳細は明らかにされていない。そこで本研究ではバイオミネラル中の微量元素と有機分子を実空間で可視化し、vital effectの精緻化を目指す。これにより有機分子の機能や微量元素の取り込み機構に関する理解が深まり、バイオミネラルの形成メカニズム解明に寄与する。
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研究実績の概要 |
炭酸カルシウムで構成されたバイオミネラルでは微量元素の含有量が形成時の環境を反映するため、古環境復元における環境指標として利用される。しかし、微量元素含有量と環境因子との相関は経験的な実測データに基づいているため、先行研究によってばらつきがある。ばらつきが生じる主要因とされる生物学的影響はvital effectと呼ばれるが、その詳細については明らかにされていない。そこで本研究ではバイオミネラル中の微量元素や有機分子の結晶構造との関連を調べ、vital effectの精緻化を目指した。 本年度はまずin vitroでの炭酸カルシウム結晶合成実験を行い、微量元素と結晶構造の関係を調べた。特に海水生のバイオミネラルで多く含有されるNaに注目し、Na含有量を制御した結晶を合成した。合成した結晶の格子定数をX線回折装置で調べると、アラゴナイトではNa含有量が増えるほどa軸とc軸は伸長するのに対し、b軸はほとんど変化しなかった。また、この異方性は加熱によって緩和された。バイオミネラルでも同様な挙動が見られたため、実環境においてもNa含有による異方的な変化が生じていることが示唆された。バイオミネラルにおけるNaの存在状態をより詳細に調べるため、クロアワビの真珠層を構成するアラゴナイトについて3次元アトムプローブによる測定を行った。その結果、NaとCOHの分布に相関が見られたため、一部のNaは結晶内に存在する有機分子と結合している可能性がある。今後は他の微量元素についても同様に調べる予定である。 次に、バイオミネラルに含まれる有機分子の局所的な違いを走査型透過X線顕微鏡で調べた。カルサイトとアラゴナイトの両者を形成する軟体動物貝殻において、結晶多形の転換部位において構成する有機分子が変化する傾向が確認された。今後はさらに有機分子の種類を明確にし、特徴的な結晶構造を誘起する有機分子を特定する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitroでNaを含有したアラゴナイトを合成したが、Naは比較的原子番号の小さい元素であるため、その存在サイトを走査透過電子顕微鏡で観察することは困難であった。そこで米国アラバマ大学の研究者に3次元アトムプローブによる測定を依頼し、当該装置による微量元素可視化の見通しを得た。
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今後の研究の推進方策 |
Na以外の微量元素を含有させた炭酸カルシウム結晶もin vitroで合成し、その結晶構造との関係性を調べる。特に3次元アトムプローブによる測定の見通しを得たため、含有された微量元素の分布を可視化し、電子顕微鏡と組み合わせて局所構造との関連を詳細に探る。 また、走査型透過X線顕微鏡を用いてバイオミネラルに含まれる有機分子の種類と局在を調べ、どのような有機分子が特徴的な構造と関連しているかを明らかにする。
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