研究課題/領域番号 |
23K22612
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補助金の研究課題番号 |
22H01341 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17050:地球生命科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平沢 達矢 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (60585793)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2025年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
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キーワード | 進化 / 脊椎動物 / 筋骨格系 / 進化発生学 / 化石 / 古生物学 / 形態進化 |
研究開始時の研究の概要 |
脊椎動物初期進化に注目し、舌と対鰭というともに体から突出して動く器官(新規運動器官)の獲得機序を解明する。そのため、両器官の発生を詳細に解析するとともに、古生代化石骨格の比較形態解析を展開、体のどの部分がどのように変化したことでそれぞれの新規運動器官が獲得されたのかを調べる。従来の進化発生学研究には不足している両生類のデータがこれらの問題を解く鍵であり、組織・細胞形態の観察や遺伝子発現解析に加えて、発生環境擾乱や遺伝子機能阻害を行う実験系を確立する。最終的には比較発生学的解析と古生物学的解析から示された獲得機序についてこの実験系による検証を試み、劇的な形態進化を可能とした条件の理解に迫る。
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研究実績の概要 |
本研究では、脊椎動物初期進化で生じた劇的な形態変化のうち、「舌」と「対鰭」という、ともに体から突出して動く器官(新規運動器官)の獲得機序を解明することを目指している。 本年度は、まず、ニホンヒキガエルにおける舌の発生過程の精密観察を進めた。内部に骨格筋を含む舌は四肢動物系統の進化的新規形質であり、魚類の口腔内にある突出部(原舌)とは発生由来も異なる。現生両生類では幼生は原舌を持ち、変態時に舌が形成されて原舌と置き換わることが120年前に記載されているが、これまでその発生過程の詳細は謎に包まれていた。本研究により、舌は、変態後期に、口腔底に発生する舌骨舌隆起(第2咽頭弓由来:従来の予想に反する)と1 対のオトガイ舌隆起(第1咽頭弓由来)が癒合することにより形成されることが明らかになった。さらに、口咽頭膜の痕跡を追跡することができ、これらの舌隆起はともに咽頭内胚葉由来の上皮で覆われていることが分かった。これらの発見は四肢動物の舌の祖先状態に関して見直しをせまるものであり、舌が第1咽頭弓レベルと第2咽頭弓レベルにまたがる咽頭内胚葉領域で最初に成立した可能性が新たに見出された。 また、口腔底と舌の進化過程を解明するため、ロンドン自然史博物館を訪問し、古生代四肢動物型類の化石標本の下顎骨格を調査した。そこで得た形態データと文献調査により収集したデータをもとに、骨要素の関節関係の進化について解剖学的ネットワーク解析を行ったところ、その進化はクラウン四肢動物の共通祖先付近で大きく変化したことがわかった。この変化は、舌の進化と関連している可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
舌や対鰭(胸鰭、前肢)の発生の精密組織観察や、化石記録における四肢動物型類の下顎骨格の調査は想定通り進めることができている。現生両生類のうち無尾類(ニホンヒキガエル)における舌の発生についての研究成果は論文にまとめ国際誌に投稿予定である。
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今後の研究の推進方策 |
無尾類(ニホンヒキガエル)に続き、有尾類(イベリアトゲイモリ)における発生学研究を本格的に進める。昨年度オーストラリアハイギョの胚サンプルを得ることに成功したので、胸鰭と口腔底の発生の精密観察を行う。2024年度は本課題後半にさしかかることもあり、発生学研究からこれまでに得られた新知見と化石記録を組み合わせて進化過程の解明を進めていくフェーズに入る。2024年度前半に、中国における化石標本調査とカナダで開催される国際会議(第17回国際初期脊椎動物シンポジウム ISELV)での研究成果発表はその布石である。また、これまでに得られた成果のいくつかは論文にまとめられる段階に近づいているので、論文準備にも力を注いでいく。
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