研究課題/領域番号 |
23K22618
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補助金の研究課題番号 |
22H01347 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17050:地球生命科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
星野 辰彦 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (30386619)
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研究分担者 |
伊藤 武彦 東京工業大学, 生命理工学院, 教授 (90501106)
梶谷 嶺 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (40756706)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | 海底下生命圏 / 堆積物 / 微生物群集 / ゲノム / 適応・進化 / 海底下堆積物 / 微生物 / 適応 / 16S rRNA / メタゲノム / DNA / 極限環境 / 微生物生態 / 進化 / 16S RNA / 微生物群集構造 / 海洋堆積物 |
研究開始時の研究の概要 |
地球の表面の7割は海底堆積物(泥)でおおわれています。その堆積物に生息する微生物の数は地球全体のおよそ4割にものぼることが知られていますが、海底下の堆積物は地上の栄養が豊かな環境とは大きく異なり、細胞の分裂に100年以上も必要な過酷な環境です。このような環境で、そこに生きる微生物がどのように適応し生き残っているのかについては不明な点が多く残されており、これまでに知られているメカニズムと大きく異なっていることが予想されます。本研究では、海底下300mまで連続して採取した堆積物から抽出されたDNAを分析することで、それらの未知の適応・進化メカニズムの解明を目指して研究を実施しています。
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研究実績の概要 |
本研究では、2006年に下北半島沖において地球深部探査船「ちきゅう」による掘削航海で採取され冷凍保存されている堆積物試料(海底下表層―海底下320m付近)より抽出されたDNAの分析を行なっている。具体的には、16S rRNA遺伝子のアンプリコンシーケンスならびにメタゲノムシーケンスを行い、得られたDNAを解析することで微生物群集形成メカニズムおよび個々の微生物の適応メカニズム解明を目指し解析を進めている。本年度は、R4年度に構築したメタゲノム解析パイプラインを使用し、メタゲノムライブラリからのmetagenome assembled genomes(MAGs)の生成を行なった。その結果、243のHigh Quality (HQ)MAGsおよび1409のMedium Quality (MQ)MAGsを獲得した。そのうち世界中の有機物リッチな堆積物に特異的に存在していることが知られているAtribacterota門JS1綱に属するHQ MAGは25個であった。これらのMAGの系統解析を実施したところ、ゲノムデータベース上に登録されているJS1綱とは異なるクラスターを形成する海底下堆積物に独自に適応した微生物種であることが示唆された。200m以深の堆積物においてはサイズがデータベース上のものと比較して小さいMAGが観察され、海底下の過酷な環境に数十万年を超える時間スケールで閉じ込められた結果、ゲノムサイズの減少が引き起こされたことが示されている。今後さらに異なる深度間から得られたHQ MAGの比較ゲノム解析を進め、海底下環境におけるゲノム進化プロセスをあきらかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
R4年度に16S rRNA遺伝子配列に基づく群集構造解析、さらにはそれらのデータを使用した微生物群集形成めけニズムの解析を完了したことで当初の計画通りに研究が進展している。R5年度においては、R4年度に構築した分析パイプラインでメタゲノムライブラリの解析が順調に進展し、全体を通して当初の研究目的の達成まであと一歩のところまで来ている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、当初の予定以上に順調に進捗しており、研究を遂行する上での問題点は存在しない。 既に、DNA配列などの一次データはほぼ全て揃っていることから、今後はバイオインフォマティクスにより注力し、異なる深度間の比較ゲノム解析を実施、海底下に存在する新たな進化・適応メカニズムの解明を目指す。
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