研究課題/領域番号 |
23K22621
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補助金の研究課題番号 |
22H01350 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
燈明 泰成 東北大学, 工学研究科, 教授 (50374955)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2022年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | 金属ウイスカ / グラファイトウイスカ / 接合 / 高強度 / 長尺化 / 直流電流 / 交流電流 / 結晶粒 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、マイクロ・ナノ細線を高強度に接合する手法を開拓すると共に、これにより金属・グラファイトウイスカの長尺化を実現することを目的とする。優れた物理的諸特性を有する各種ウイスカを実用材料として活用するには長尺化が欠かせない。これを実現する手段の一つに接合が挙げられる。本研究では、車両鋼板の抵抗スポット溶接で得た知見を活用し、新たに交流電流を用い、細線同士の接触部における温度脈動を利用して、結晶粒が成長困難な僅か0.1秒以下の極短時間で接合を完了する高強度接合法を創出する。さらに創出した手法により金属ウイスカやグラファイトウイスカを高強度に接合して長尺化を実現する。
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研究実績の概要 |
1. 電源が選択可能な接合実験システムの構築 現有の走査型電子顕微鏡内に、XYステージとZステージ、高精度マニピュレータを独立に配置したサンプルホルダを試作して設置した。電子顕微鏡のフィードスルーを介して直流電流と交流電流を導入し、接合に用いる電源を選択可能にした。実際に基板上に作製したAlウイスカをマニピュレータにより操作・把持すると共に通電することで、構築した実験システムの有用性を確認した。 2. 直流電流を用いた金属細線の接合と熱エネルギーの算出 融点や電気抵抗率の異なるPt、Cu、Fe、Al細線同士の接合実験を行った。細線の直径範囲は0.5~50umであり、Fe、Al細線は原子拡散現象を利用して作製した。様々な通電区間長さにおいて直流電流を用いた接合実験を行い、電極間電圧の時間変化より接合時の熱エネルギー量を算出した。接合した直径20umのPt細線について引張試験を実施し、引張強度と接合に要した熱エネルギー量との間に相関があることを確認した。また接合した直径25umのCu細線の接合部近傍の結晶組織を詳細に観察することで、接合部から60um以内の領域で結晶粒が大きく成長していることを確認した。 3. 交流電流を用いた金属細線の接合実現 直径20umのPt細線を対象として交流電流を用いた接合実験を行った。直流電流を用いて接合に成功した電流値を最大振幅とする1Hzの交流電流を細線に10秒間付与することにより、細線同士の接合にはじめて成功した。この時の入力熱量は直流電流を用いた場合のそれと比較しておよそ1/3であった。また電流の最大振幅のみならず、周波数や電流波形を変えることでも細線接触部の溶融挙動が変化することを確認した。 加えて原子拡散現象を利用して作製したCu細線の電流-電圧特性を計測すると共に、当該特性の変化から水中のエタノールが検知できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記載の通り、申請時に計画した研究を遂行し、走査型電子顕微鏡内に独自の実験システムを構築すると共に、当該システムを利用して交流電流を用いた金属細線の接合にはじめて成功した。更に接合した細線の引張試験を実施し、引張強度と接合時の熱エネルギー量との間に相関があることを見出すなど、進展は順調である。
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今後の研究の推進方策 |
交流電流を用いた金属細線の接合実験を更に進め、接合条件を記述する。また直流電流と交流電流を用いて様々な条件で接合した細線の引張試験を行い、高強度な接合が実現できた接合条件を特定する。更に製造条件の制御により原子拡散現象を利用してより長いAlウイスカと、熱電機能の創出のためにFeウイスカを作製する。
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