研究課題/領域番号 |
23K22632
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補助金の研究課題番号 |
22H01361 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
琵琶 志朗 京都大学, 工学研究科, 教授 (90273466)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
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キーワード | 機械材料・材料力学 / 超音波 / 非破壊評価 / 閉口欠陥 / ラム波 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、界面非線形性による超音波(特に平板を伝わるラム波)の周波数ミキシング(異なる周波数の超音波を入射した際の和・差周波数成分の発生)に着目した閉口欠陥の非破壊評価に関する学術的基盤の確立に向けて、接触界面におけるバルク波の周波数ミキシングおよび平板の突合せ接触部や疲労き裂におけるラム波の周波数ミキシングに関する実験的検討および界面非線形性のモデル化に基づく理論・数値解析を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では閉口欠陥の界面非線形性によるラム波の周波数ミキシングについて実験および理論・数値解析により明らかにし、閉口欠陥の非破壊評価につなげることを目的としている。今年度は主に、ラム波の計測にアレイ探触子を用いる場合に予想される基本的問題について理論的に検討を行った。ラム波は分散性を有するため伝搬速度は周波数によって変化し、また、位相速度と群速度が異なる。フェーズドアレイ技術では多数の素子から伝搬速度に応じた遅延を付けて波を励起することにより波を特定の方向に伝搬(ステアリング)あるいは特定の位置に集束(フォーカシング)させるとともに、同様の原理で特定の方向または位置からの波を取得する。しかしながら、分散性を有するラム波の場合、各素子で送信または受信される有限の周波数帯域を有する波束が特定の方向、位置に対して想定通りに強め合うかどうかは自明ではない。そこで、弾性平板の動的グリーン関数を用いて各素子から励起される弾性波を数値的に重畳することにより、アレイ探触子によるラム波のステアリングとフォーカシングについて理論的に解析した。その結果、分散性のない最低次数のSH板波では想定通りのステアリング・フォーカシング効果が得られるのに対して、顕著な分散性を有するA0モードラム波では、異なる周波数成分が異なる方向で強め合ったり、異なる素子から送信される波束が互いにずれたりする結果、ステアリング・フォーカシング効果が若干低下することを明らかにした。 このほか、過去の研究で作成したスペクトル要素法による三次元弾性波伝搬解析コードを改良して、閉口欠陥を非線形スプリング界面としてモデル化し、ラム波周波数ミキシングの数値解析を行うための準備を進めた。また、別の装置で超音波を送信した場合の受信波形をアレイ探触子で収録する方法を検討するなど、周波数ミキシング計測の高度化のための準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度の実験的検討により、閉口欠陥(疲労き裂)に二方向からラム波を入射して交差させた場合に発生する和・差周波数成分のラム波としての伝搬モードの同定や、ラム波交差位置を走査したときの和周波数成分のパワー最大値を用いた閉口欠陥の画像化を行うことができた。今年度、この成果を国際会議で発表し、オンライン形式ではあったが海外の研究者と質疑討論を行うことができた。また、前年度の実験的検討で想定以上の成果が得られたことから、今年度以降の計画ではラム波周波数ミキシングの数値解析による検討、およびアレイ探触子によるラム波送受信と閉口欠陥の画像化に関する検討を挙げていた。このうち、ラム波周波数ミキシングの数値解析に関しては、過去の研究で閉口欠陥を線形スプリング界面としてモデル化してラム波透過特性の周波数依存性や伝搬モードによる違いを解析するのに用いたスペクトル要素法による平板の三次元弾性波伝搬解析コードを改良し、閉口欠陥を非線形スプリング界面としてモデル化して周波数ミキシングの解析を行うための準備を進めた。この解析は次年度に引き続いて取り組む予定である。また、アレイ探触子によるラム波送受信と閉口欠陥の画像化に関しては、基礎的な課題としてアレイ探触子を用いたラム波のステアリングおよびフォーカシングにおける分散性の影響を理論的に解析し、ラム波フェーズドアレイを欠陥の画像化に応用するうえで有用な知見を得ることができた。以上の状況を考慮して、本研究課題はおおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、今年度の取り組みを継続して、閉口欠陥を非線形スプリング界面としてモデル化し、二方向から異なる周波数のラム波が入射した場合の非線形散乱挙動をスペクトル要素法に基づく三次元弾性波伝搬解析コードを用いて解析することにより、周波数ミキシング挙動に及ぼす入射条件や界面パラメータの影響を調べる。また、実験的検討として、閉口欠陥(疲労き裂)や開口欠陥(スリットなど)を導入した平板試験片を用いて、欠陥に二方向からラム波を入射した場合の散乱波形に含まれるミキシング成分を用いた画像化を行うことにより、閉口欠陥の効果的な画像化法を検討する。さらに、周波数ミキシング計測におけるアレイ探触子の適用可能性についても基礎的検討を行う。
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