研究課題/領域番号 |
23K22640
|
補助金の研究課題番号 |
22H01369 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
|
研究機関 | 一般財団法人電力中央研究所 |
研究代表者 |
熊谷 知久 一般財団法人電力中央研究所, エネルギートランスフォーメーション研究本部, 上席研究員 (30456149)
|
研究分担者 |
辻 裕一 東京電機大学, 工学部, 教授 (10163841)
波多 英寛 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 助教 (30381007)
立山 耕平 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (70837096)
酒井 信介 横浜国立大学, 総合学術高等研究院, 客員教授 (80134469)
山田 浩之 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 准教授 (80582907)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
|
キーワード | 貫通 / 衝撃 / 確率論 / 材料特性 / ひずみ速度 |
研究開始時の研究の概要 |
貫通現象は飛翔体が非衝突材を突き抜ける現象である。貫通は衝撃下の現象のため、被貫通材の変形・破壊特性の変形速度依存性の考慮が重要であるが、従来の評価式では考慮されていない。そこで、本研究では、貫通評価式の精度向上を目指し、被貫通材の変形・破壊特性の変形速度依存を陽に考慮した、鋼板貫通現象の定式化と解の導出を行う。そして、被貫通材や飛来物の特性のばらつきをを考慮する手法の構築を行う。これらにより、限界設計による合理性の高い設計・保守の確立を目指す。
|
研究実績の概要 |
研究実績の概要は下記の通り。 ①【エネルギー論に基づいた貫通評価式の検討】鋼板に飛翔体が衝突すると弾塑性応力波が伝播し、変形が生じる。この鋼板の変形により消費されるエネルギーから飛翔体速度が減少する機構を想定し、貫通現象を表す式の検討を行った。貫通試験を模擬した動的陽解法による有限要素解析を実施したところ、弾塑性波が到達した範囲では被貫通板が変形し、その外側では未変形部が見られた。想定していた変形機構に基づく事象が生じる様子が見られたため、この変形機構を採用した貫通評価式を用いる方針とした。 ②【確率論的貫通評価手法の検討】限界状態設計法において破壊評価に貫通評価式を用いると、材料強度や貫通条件がばらつきを持つときに貫通現象の確率論的評価が可能となることがわかった。 ③【貫通試験装置の改良と文献調査】今回用いる貫通試験装置でこれまで経験のない厚い被貫通鋼板(6mm~)での貫通試験を行えるようにするため、試験装置の出力を増強し、サボの取り付け方に工夫をすることで厚さ6mm以上の被貫通板に対する貫通試験が可能となることを確認した。動的陽解法による有限要素解析により、今回用いる貫通試験装置の固定部による限界貫通速度に影響がない直径を系統的に調べ、固定部の影響がなくなる直径を明らかにし、これを試験で用いる飛翔体の直径とした。また、貫通評価式開発に用いるため、被貫通板取付部の後方に磁気を利用した飛翔体速度計測装置を取り付け、飛翔体の貫通後の残余速度を計測できるようにした。加えて、貫通試験に関する文献を調査し、限界貫通速度データを入手した。 ④【テイラー衝撃試験の改良】評価対象材料の小型飛翔体同士を衝突させ、摩擦の影響をなくすことができるテイラー衝撃試験の手法を検討し、向かい合った射出管からタイミングを合わせて小型飛翔体を射出し、小型飛翔体同士を正対衝突させることができるようになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
進捗状況は下記の通り予定実施事項を実施し、貫通評価式開発のための基礎検討が終了したため、おおむね順調に進んでいると判断した。 ①貫通評価式の開発では、貫通試験の動的陽解法を用いた有限要素解析を行い、貫通評価式に用いるモデルの妥当性を検討した。 ②確率論的貫通評価手法では、当初予定していた検討を行った上でさらに確率論的貫通評価手法の理論構築まで達成している。 ③貫通試験に関しては、予定通り貫通試験装置の改良により厚板試験が可能となり、また、文献調査により限界貫通速度データを入手することができた。 ④テイラー衝撃試験の改良では、小型飛翔体同士を衝突させる改良手法による試験が可能となった。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は下記の計画の通り研究を実施し、貫通評価式を開発するための要素を揃える予定である。 ①貫通評価式の開発については、2022年度に検討したモデルに基づき、エネルギー論に基づいた貫通現象を表す式を試作する。 ②2022年度に構築した限界状態法による貫通現象の確率論的評価する理論に基づき、この理論に基づくソフトウェアを作成する。 ③2022年度に厚板材が貫通できるよう改良した貫通試験装置を用いて、貫通試験を実施し、限界貫通速度・貫通後の飛翔体の残余速度を得る。 ④貫通試験に使用した鋼板と同一の材料について、引張試験、引張型スプリット・ホプキンソン棒試験を行い、その変形特性・破壊特性を取得する。また、本年度装置を開発した改良テイラー衝撃試験を実施する。
|