研究課題/領域番号 |
23K22659
|
補助金の研究課題番号 |
22H01388 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18040:機械要素およびトライボロジー関連
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
上坂 裕之 岐阜大学, 工学部, 教授 (90362318)
|
研究分担者 |
近藤 博基 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (50345930)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
|
キーワード | 細穴内面プラズマ加工 / スマートプロセス / ダイヤモンドライクカーボン / 機械学習 / プラズマ計測 / 原料ガス枯渇 / インパルス放電 |
研究開始時の研究の概要 |
細穴内面のプラズマ表面加工を対象として,①ガス枯渇による不均一分布を回避するためのパルスプラズマのON時間とOFF時間が,高速度カメラによる発光観察に基づいて自動決定されること,②膜質最適化のために選定される他の実験パラメータは,機械学習による予測モデルを使うことで効率的に決定されること,を実証する.また,そのようなアルゴリズムを備えたスマートな細穴内面プラズマ表面加工装置を具現化する.
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は,細穴内面のプラズマ表面加工を対象として,①ガス枯渇による不均一分布を回避するためのパルスプラズマのON時間とOFF時間は,従来提唱してきた発光撮影像に基づく制御によって自動決定されること,②膜質最適化のために調整される他の制御パラメータは,機械学習による予測モデルを使って効率的に決定しうること,を実証することである.さらに,それらの自動実行アルゴリズムを備えたスマートな細穴内面プラズマ表面加工装置の具現化を目的とする. 本提案内容の有用性や意義は,特定のプラズマ生成方法(DC放電,RF放電,マイクロ波放電)や特定の加工膜種(DLC, CNx, TiNなど)によらない一般性を有する.そこで本研究では,細穴内面の表面加工のために必要な高密度プラズマ生成法のうち,最も一般的なホローカソード放電(HCD; Hollow Cathode Dischage)を用いることとし,加工膜種としてはDLC膜を選択した.下記の内容を1年目に実施した.
(研究代表者)HCD方式を採用した細穴内面プラズマ表面加工装置を設計・制作し,メタンガスを主原料ガスとするDLC成膜を行えるように立ち上げた.ただし,HCD放電時の電流がインパルス状に増大し,駆動電源のアーク検知機能によって短時間で遮断されるという不安定な挙動が生じた.このような放電状態では,所望のON時間よりも短い時間でプラズマが消されてしまうため,ガス枯渇時間に応じたプラズマON時間の設定ができず,研究目的が達成できない.この対策として,電源と負荷(HCD電極)との間に10Ω程度の制限抵抗を挿入することでインパルス化が避けられようにした. (研究分担者)同じメタンガスを用いて平行平板でのプラズマCVDによるDLC成膜を行い,発光スペクトルと成膜結果(膜の硬度、水素含有量)を教師データとする機械学習による予測モデルを構築した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述の通り,HCD放電時の電流がインパルス状に増大し,駆動電源のアーク検知機能によって短時間で遮断されるという予想外の問題に直面し,その対策に時間を使ってしまった.このため当初予定していた以下の内容が未達である.
<当初の実施予定内容> プラズマ生成のパルス駆動パラメータであるプラズマON時間,OFF時間は,我々がこれまでに提唱してきた手法(プラズマ発光の高速度カメラ計測)に基づいて,自動決定可能であることを実証する.
ただし,すでにそのようなインパルス化を防ぐ方法を見出しており,2年目に未達分をリカバーできると判断した.またその問題解決過程で,インパルス化したHCD放電をうまく制御すると,細穴内面DLC成膜に使うことができるということが,スピンオフ的に見出された.我々は,そのようにして予想外に得られた知見を,新しい有用な成膜手法として提案・確立できると考えている.プラズマ成膜の研究では,常に新しい手法・原理の発見が求められていることを考えると,未達分を補って余りある+αの成果を得たといえる.
|
今後の研究の推進方策 |
上述の通り,HCD放電のパルス駆動時の電流がインパルス状に増大し,パルス電源のアーク検知機能によって短時間で遮断されるという予想外の問題に直面し,その対策に時間を使ってしまった.このことを踏まえて,二年目の推進内容を以下の通り計画した.
2年目: (研究代表者)HCD方式を採用した細穴内面プラズマ表面加工装置(前年度製作済み)を使用し,メタンガスを主原料ガスとするDLC成膜を行う.ただし前年度に発見されたインパルス放電と、通常の方形パルス放電とを意図的にどちらかになるように制御できていないので,その制御指針を確立する.それぞれの放電状態下のプラズマを理解するとともに,成膜結果が良好な方の放電状態を対象として計測・学習の対象とする.そのうえで,プラズマ生成のパルス駆動パラメータであるプラズマON時間,OFF時間を,我々がこれまでに提唱してきた手法(プラズマ発光の高速度カメラ計測)に基づいて,自動決定可能であることを実証する. (研究分担者)同様にメタンガスを用いて平行平板でのプラズマCVDによるDLC成膜を行い,成膜条件から成膜結果(膜の光学特性)を予測するモデルを機械学習により構築する .
|