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圧力・温度・位置・変形量同時計測に基づく非定常空気力学現象の解明と高効率制御

研究課題

研究課題/領域番号 23K22667
補助金の研究課題番号 22H01396 (2022-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2022-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分19010:流体工学関連
研究機関東京農工大学

研究代表者

亀田 正治  東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70262243)

研究分担者 中北 和之  国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主幹研究開発員 (50358595)
菅原 瑛明  国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主任研究開発員 (00884800)
小島 良実  国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 研究開発員 (90886152)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 10,660千円 (直接経費: 8,200千円、間接経費: 2,460千円)
キーワード流体工学 / 航空宇宙工学 / 計測工学
研究開始時の研究の概要

航空機の翼周り流れに対する先進流体計測法の開発と,その計測法に依る非定常空力現象の解明を行う.まず,翼の位置・変形状態と同時に,翼表面の圧力・温度分布を測定する「ランダムドット感圧塗料・感温塗料」を開発する.次に,この手法を,遷音速フラッタ(衝撃波による翼の振動)とヘリコプタロータブレードの風洞実験に適用し,翼表面の空気力分布や流れの乱流遷移・はく離をとらえる.これにより,従来は,風洞模型に働く平均的な空気力での比較検討にとどまっていたCFD解析の定量性評価や,解析手法の改良を進める.最後に,離着陸時の空力騒音発生を模擬した風洞実験にもこの計測法を適用し,騒音抑制法の評価手法として役立てる.

研究実績の概要

翼周り流れを対象とした圧力・温度・位置・変形量同時計測法を確立し,弾性変形,移動をともなう翼における非定常空気力学現象の解明,航空機離着陸時に問題となる翼騒音を抑制する高効率制御法の検討を進めた.
第1に,「ランダムドットPSP/TSP」による圧力・温度・位置・変形量同時計測法を構築し,研究遂行の基盤となる技術を確立した.現有のレーザダイオード,高速度カメラの配置やカメラレンズの選択の最適化を図り,風洞実験で要求される物体位置・変形量測定精度,被写界深度確保した.あわせて,ロータブレードにおける層流/乱流遷移計測のためのTSP用加熱面の製作法を定めた.
第2に,遷音速翼フラッタ,ヘリコプタロータブレードを対象に解析を進めた.遷音速フラッタの先導実験によって得た試験結果を,動的モード分解(DMD)にて分析し,フラッタ発生限界近傍では圧力変動が誘起する変形モードが卓越することを明確にした.変形の時系列情報を入力とするCFD解析を実施し,フラッタ発生時に特徴的に見られる衝撃波構造をCFDで定量的に再現できることを示した.さらに,JAXA低速風洞を用いた実験を実施しヘリコプタブレードの変形状態・圧力場・温度場計測を実施した.最後に,位置,変形量のデータを用いて実際の回転時の翼の運動を入力とするCFD解析法の構築を進めた.
第3に,後縁騒音を対象に制御法を検討した.音響場を解像したCFDデータと最新のモード解析を行い,制御信号入力法を定め,パルスレーザによる擾乱を使った騒音抑制試験を実施した.JAXA低乱風洞を利用して,翼表面圧力変動のPSPによる測定と,マイクロフォンにより騒音測定を同時に実施し,騒音に直結する表面圧力変動の抑制を確認した.この現象を対象とするCFD解析を実施し,制御メカニズムに関する知見を得た.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画で掲げた3つのサブテーマ,(a) ランダムドットPSP/TSPによる複合計測・データ解析法の構築,(b) 移動,変形が支配要因となる物体周りの非定常空力現象の解明,(c) 流れ場情報のモード解析に基づく非定常空力現象制御法の開発のうち,サブテーマ(a), (c)は,実施計画通りの進捗が得られ,3報の雑誌論文(Imai et al. Exp. Fluids 2022; Ogura et al. Actuators 2023; Kojima et al. J. Fluid Mech. 2023)を出版し,多数の学会にて成果発表も実施できた.
一方,(b)は,本課題で初めて実施したもので,実験・計測装置のセットアップは順調に進み,実験自体は予定通り,変形状態計測,圧力場,温度場計測を実施することができた.また,変形状態を入力とするCFD解析法の構築も順調に進み,学会にて成果報告も行った.しかし,その後の実験データ解析にて,風洞の基準座標を取得するキャリブレーションの実施,およびブレードの回転状態を正確にモニタするための計測装置の改修が必要であることが判明した.また,計測に用いた感温塗料の時間応答性不足のため,現象によって生じる非定常な温度場変化をとらえるには至らなかった.最後に,圧力場計測は,風洞のマシンタイムの制約で,試行にとどまった.

今後の研究の推進方策

研究計画で掲げた3つのサブテーマ,(a) ランダムドットPSP/TSPによる複合計測・データ解析法の構築,(b) 移動,変形が支配要因となる物体周りの非定常空力現象の解明,(c) 流れ場情報のモード解析に基づく非定常空力現象制御法の開発それぞれについての推進方策を記す.
(a)は,ロータブレード計測実験で生じた問題の改善を図る.具体的には,風洞の基準位置のキャリブレーションの実施,ロータの回転状態取得のためのロータリーエンコーダの設置,温度場計測に必要なロータ面加熱のための通電装置の改良を進める.
(b)は,遷音速フラッタの実験データに対するモード解析法として,変形状態と圧力場を複合的に解析する手法を検討し,両者の相関を一層明らかにすることを目指す.また,ロータブレード試験において,ブレードの位置・変形状態の計測精度向上,温度場計測システムの改良の効果の検証,圧力場計測の本格的な実施を進める.
(c)は,PSPによる微小圧力変動場の非定常データの解析を進める.PSP計測では挑戦的となる,微小変動圧力の時間分解計測のために,新たに,精密なフェーズロック計測システムを構築する.また,PSP計測のこれまでの計測限界である10 Pa以下の振幅を持つ圧力場の構造抽出を行えるモード解析手法の検討を進める.さらに,CFDによる現象の定量的再現を目指し,データ同化手法の導入による,CFD解析条件の最適化を試行する.

報告書

(1件)
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件)

  • [国際共同研究] University of California, Los Angles(米国)

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [雑誌論文] Reduction in Airfoil Trailing-Edge Noise Using a Pulsed Laser as an Actuator2023

    • 著者名/発表者名
      Ogura Keita、Kojima Yoimi、Imai Masato、Konishi Kohei、Nakakita Kazuyuki、Kameda Masaharu
    • 雑誌名

      Actuators

      巻: 12 号: 1 ページ: 45-45

    • DOI

      10.3390/act12010045

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] On the origin of quadrupole sound from a two-dimensional aerofoil trailing edge2023

    • 著者名/発表者名
      Kojima Yoimi、Skene Calum S.、Yeh Chi-An、Taira Kunihiko、Kameda Masaharu
    • 雑誌名

      Journal of Fluid Mechanics

      巻: 958

    • DOI

      10.1017/jfm.2023.37

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Random-dot pressure-sensitive paint for time-resolved measurement of deformation and surface pressure of transonic wing flutter2022

    • 著者名/発表者名
      Imai Masato、Nakakita Kazuyuki、Kameda Masaharu
    • 雑誌名

      Experiments in Fluids

      巻: 63 号: 11 ページ: 174-174

    • DOI

      10.1007/s00348-022-03527-1

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Unsteady PSP data analysis of airfoil surface pressure distribution associated with trailing edge noise2022

    • 著者名/発表者名
      Imai, M., Nakakita, K. and Kameda, M
    • 学会等名
      8th German-Japanese Joint online Seminar Molecular Imaging Technology for Interdisciplinary Research
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Improvement of simultaneous measurement technique of pressure and deformation in transonic flutter by PSP with random dot pattern2022

    • 著者名/発表者名
      Ueno, T., Imai, M., Nakakita, K. and Kameda, M.
    • 学会等名
      8th German-Japanese Joint online Seminar Molecular Imaging Technology for Interdisciplinary Research
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] ランダムドットPSPを用いた遷音速フラッタの圧力・変形量同時測定法の改良2022

    • 著者名/発表者名
      上野 泰河, 今井 雅人, 中北 和之, 亀田 正治
    • 学会等名
      第54回流体力学講演会/第40回航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 高速前進飛行における二重反転ロータの振動低減手法の検討2022

    • 著者名/発表者名
      弓野 拓海, 菅原 瑛明, 田辺 安忠, 亀田 正治
    • 学会等名
      第54回流体力学講演会/第40回航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] パルスレーザーを用いた翼後縁ノイズの低減2022

    • 著者名/発表者名
      小椋 圭大, 小島 良実, 今井 雅人, 小西 晃平, 亀田 正治
    • 学会等名
      第36回数値流体力学シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 変形量計測データを用いた変形翼周り流れ数値解析手法の開発2022

    • 著者名/発表者名
      小西 晃平, 今井 雅人, 小島 良実, 亀田 正治
    • 学会等名
      第36回数値流体力学シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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