研究課題/領域番号 |
23K22668
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補助金の研究課題番号 |
22H01397 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
青野 光 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (10623712)
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研究分担者 |
野々村 拓 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60547967)
安藤 規泰 前橋工科大学, 工学部, 准教授 (70436591)
安養寺 正之 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (70611680)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
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キーワード | 羽ばたき飛行 / 高高度飛行 / 高高度飛行環境 / 昆虫 / 羽ばたきロボット / 羽ばたき運動 / 空気力学 / 飛翔生物 / 昆虫羽ばたき飛行 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は高地での昆虫の飛行に注目をしています。高地では空気が薄くなるため、一般的には飛行中の空気力も減少しますが、昆虫は高地でも飛行しています。つまり、昆虫は自重を支えるための追加の揚力生成機構が存在する可能性が示唆されます。そこで本研究では、その飛行機構を理解するために不可欠な翼の運動や翼面形状の変化、そしてその流れ場を詳細に調査し、揚力の発生原理を解明します。また、その揚力の発生原理を飛行ロボットに応用し、減圧環境下での揚力補償の実証とそのメカニズムを解明します。これらの成果は、希薄な大気中での揚力の発生や高高度に生息する生物の生存戦略など、工学と生理学の両面での応用が期待されます。
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研究実績の概要 |
本年度は、本研究の目的の一つである高高度飛行時の昆虫の揚力補償機構の現象理解に不可欠な、翼の運動と翼面形状の時系列変化の計測を実施した。代表者の所属機関の近隣で捕獲した野生の昆虫と、分担者が育てているエビガラスズメ蛾を用いて計測を行い、チャンバー内を減圧して高高度飛行環境を模擬した。2台の高速度カメラを用いた撮影範囲は限られていましたが、約0.6大気圧下で飛行する昆虫の撮影に成功し、初期解析の結果から昆虫の翼の羽ばたき振幅の増加を確認した。
並行して、研究代表者らが開発中の羽ばたきロボットと東北大学流体科学研究所所有の火星大気風洞のバッファータンクを利用した高高度模擬環境下での翼面運動の計測および離昇実験を実施した。この実験では、目標とする大気圧の3分の1の条件下で、羽ばたき飛行ロボットが自重を支えるための翼面の運動データの取得および離昇に成功した。さらに、羽ばたきロボットが減圧下で揚力を増加させるためには、振幅を増加させつつ、地上の昆虫と同様の翼面回転角の時系列変化および力学的相似則を満たすことが重要であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね研究計画通りに進めることができ、外部発表もできたため、「(2)おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)密度変化に起因する羽ばたき運動計測データの取得: デシケーター内部の気圧を、最大飛行高度である10000mに相当する約3分の1の気圧まで減圧できる。この特性を利用し、デシケーター内の大気密度をさまざまに変えた条件下で昆虫の翼の羽ばたき運動を計測し、データベースを構築する。また、標準大気圧下での運動計測結果を基準として、減圧が翼の動きに与える影響を明らかにする。さらに、ロボットの胴体を固定した状態で空気力と運動を同時に計測し、同様の条件下で比較検討を行う。なお、自由飛行中の昆虫の羽ばたき一周期を十分に計測出来ていない点が課題になっているのでその点についてはソフトとハードの両面からアプローチし改善する。 (2) 大型風洞での減圧計測および流れの可視化: デシケーターで行ったロボット実験の計測結果の妥当性を確認し、異なる気流条件下でも計測を行うため、名古屋大学の火星風洞で実験を行う。また、数値解析の妥当性を確認し現象理解を深めるため、大気圧下でロボットの翼周りの流れの可視化計測も実施する。 (3) 数値解析: 羽ばたき運動中の前縁剥離渦の生成など、非定常流体現象を詳細に解明するため、昆虫とロボットの翼の計算格子を用いた数値シミュレーションを実施する。得られた結果を解析し、実験データとの比較を通じてシミュレーションの妥当性を確認する。 (4)外部発表: (1)から(3)までの結果について、外部に向けて発表を行う。
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