研究課題/領域番号 |
23K22669
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補助金の研究課題番号 |
22H01398 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
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研究機関 | 京都大学 (2023-2024) 名古屋大学 (2022) |
研究代表者 |
長田 孝二 京都大学, 工学研究科, 教授 (50274501)
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研究分担者 |
渡邉 智昭 京都大学, 工学研究科, 准教授 (70772292)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2025年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
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キーワード | 乱流 / 風洞実験 / 数値計算 |
研究開始時の研究の概要 |
高レイノルズ数、高マッハ数における定常/非定常乱流に対する粘性散逸率のスケーリング則を明らかにする。高レイノルズ数乱流生成手法として用いられる動的格子乱流の直接数値計算(DNS)を実施する。非定常乱流としては高速の周期乱れを導入できるルーバー装置を新規に製作し、乱流乱れと周期外乱の時間スケールが近い場合の散逸率を調べる。高マッハ数乱流に関しては、実験では複数の超音速噴流群を対向させた平均流のない圧縮性準一様等方性乱流の生成装置の開発と乱流場計測、数値解析においては圧縮性格子乱流の局所スケーリング則の評価を行う。
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研究実績の概要 |
1) 高レイノルズ数・高マッハ数乱流実験:2 m×2 mの吹き出し部を有する風洞の前面に格子幅250 mm, 125 mm, 50 mmの乱流格子(いずれも閉塞率36%)を設置し、格子レイノルズ数が最大で1.7×10**5の高レイノルズ数格子乱流を生成させた。熱線流速計を用いて乱流エネルギーと粘性散逸率の下流方向分布を調べた。また、複数の超音速噴流の干渉により生成される高マッハ数乱流場の特性を熱線流速計と粒子画像流速計(PIV:本研究経費にてPIV専用カメラと専用ソフトウェアを購入)を用いて調査した。さらに、シュリーレン装置とハイスピードカメラ(いずれも本研究費にて購入)を用いて流動場の可視化を行った。可視化のみならずシュリーレン画像を用いた乱流場の定量的評価法について検討を行った。 2) 動的格子乱流:静的モードについて熱線流速計から得られた長時間時系列データから積分時間程度の短時間平均での乱流レイノルズ数と粘性散逸率を評価し、それらのスケーリング則を明らかにした。その結果、長時間平均した粘性散逸率が平衡スケーリングに従う場合であっても、短時間平均した粘性散逸率は非平衡スケーリング則に従うことを明らかにした。結果はJournal of Fluid Mechanicsに掲載された。また、動的格子乱流の直接数値計算コードの開発に着手した。 3) 非定常格子乱流実験:主流が正弦状に変化する非定常格子乱流実験の条件について検討を行い、予備実験を実施した。 4) 高マッハ数乱流の非平衡性を調査するため、超音速噴流干渉の直接数値計算コードを開発し計算を行った。基本的な乱流特性を評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画実施通りに研究を行い、それぞれ一定の成果を得ることができた。特に、格子乱流場において長時間平均した粘性散逸率が平衡スケーリングに従う場合であっても、短時間平均した粘性散逸率は非平衡スケーリング則に従うことを初めて明らかにし、この結果は当該分野のトップジャーナルであるJournal of Fluid Mechanicsに掲載された。さらに、共同研究によって一様等方性乱流場中の乱流エネルギーの粘性散逸率に及ぼす諸因子を明らかにした。 以上より、本課題は当初の計画通りおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
1)粘性散逸スケーリング則の検証:初年度の研究により、一様等方性乱流場中の乱流エネルギーの粘性散逸率に及ぼす諸因子を明らかにした。これらを格子乱流のような準一様等方性乱流場や乱流混合層など非一様乱流場で評価し、粘性散逸スケーリング則との関連を調査する。 2)動的格子乱流の直接数値計算(DNS):動的格子乱流のDNSを実施し、生成される乱流の基本特性を明らかにする。動的格子によって生成される乱流の大スケール構造に着目し、実験結果との定性的な比較を試みる。DNSによって動的格子乱流の特性が再現されていることを確認した後、実験では評価が困難な三次元空間スペクトルやエネルギーフラックス、積分不変量などの統計量を評価し、乱流の減衰率との関連を調べる。 3)定常/非定常格子乱流:主流が時間的に変化しない定常格子乱流については、格子近傍の非平衡領域における局所統計量の評価(手法については初年度の研究にて確立済)を行い、局所粘性散逸率の局所乱流レイノルズ数に対するスケーリング則を明らかにする。非定常格子乱流に関しては、初年度に引き続き、主流が正弦状に変化する非定常格子乱流の実験を行う。乱流生成には格子幅250mmの乱流格子を用い、風洞吹き出し部に設置された10枚のルーバーの周波数と振幅を変化させて格子下流に生成される乱流の特性を明らかにする。熱線流速計により得られる時系列を平均成分、周期成分、変動成分に分解し、乱流エネルギーと粘性散逸率の関係(スケーリング則など)を調べる。 4)高マッハ数乱流の非平衡性を調査するため、初年度に開発した数値計算コードを用いて超音速噴流干渉の直接数値計算を行う。また、複数の超音速噴流の干渉により生成される高マッハ数乱流場の特性を熱線流速計と粒子画像流速計(PIV:本研究経費にてPIV専用カメラと専用ソフトウェアを購入済)を用いて調査する。
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