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赤外線励起による溶剤の分子内振動の緩和と溶剤乾燥に効果的な赤外線吸収波長帯の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K22678
補助金の研究課題番号 22H01407 (2022-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2022-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分19020:熱工学関連
研究機関北海道大学

研究代表者

戸谷 剛  北海道大学, 工学研究院, 教授 (00301937)

研究分担者 小林 一道  北海道大学, 工学研究院, 准教授 (80453140)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
キーワード分子内振動の緩和 / 溶剤の赤外線吸収帯 / 溶剤乾燥 / 赤外線連続照射 / 気液界面
研究開始時の研究の概要

本研究では、溶剤が吸収する赤外線を溶剤に照射して分子内振動を連続的に励起し、分子内振動が分子間振動へ変化(緩和)する挙動を、赤外線を放射する波長制御エミッタと溶剤での検出光の反射をスペクトル解析するFT-IRを用いて明らかにする。さらに、波長制御エミッタを用いた溶剤の乾燥実験によって、溶剤の蒸発量を求め、溶剤乾燥に効果的な溶剤の赤外線吸収帯を溶剤(水、IPA、トルエン)ごとに解明する。また、得られた緩和挙動を組み込んだ平均場分子運動論解析と分子動力学解析によって得られる境界条件を用いるボルツマン方程式解析を行い、実験結果と比較し、分子内振動の緩和が溶剤乾燥に及ぼす効果を定量的に明らかにする。

研究実績の概要

2023年度は、下記の2項目を行った。(2023-1)溶剤(水)の蒸発に最も効果的な分子内振動(赤外線吸収波長帯)の解明実験、(2023-2)緩和挙動を組み込んだ平均場分子運動論解析・分子動力学解析法の開発と溶剤の蒸発量を計算する計算手法の確立
(2023-1)では、計画通り、波長制御エミッタから放射されたふく射をポンプ光として、プローブ光と同じ溶剤の下方から当て、溶剤の分子内振動を励起する実験系を構築した。この実験系でも、反射スペクトルを取得する溶剤表面を、熱伝導で加熱するよりも、波長制御エミッタで加熱した方が、溶剤の表面温度は同じにも関わらず、蒸発につながる分子間振動が促進される緩和挙動が確認された。 しかし、昨年度確認された反射スペクトルの差より小さく、観測しにくかったため、今年度は、実験系を昨年度の系に戻して、実験を行うことにした。波長3.03 μmに単色放射能のピークを持つ波長制御エミッタと波長6.10 μmに単色放射能のピークを持つ波長制御エミッタを用いた加熱実験を、単色放射能のピークが同じになるようにそれぞれ行った結果、蒸発につながる分子間振動の励起には有意な差が出ないことが確認された。
(2023-2)では、昨年度に引き続き平均場分子運動論を用いて温度の異なる二液膜問題について研究を行った。その結果、過去の分子動力学解析結果と同様の傾向で蒸発界面の速度分布関数が非等方性を持つことを確認した。この結果より、本解析の平均場分子運動論への有用性を確認することができた。また、凝縮界面についても,蒸発界面とは異なる傾向で速度分布関数が非等方性を持つことがわかった。さらに、本計算を大規模分子動力学解析で行うための予備調査も行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

(2023-1)では、当初計画していた溶剤のうち水については、最も効果的な分子内振動(赤外線吸収波長帯)の実験を行うことができたが、IPAでの蒸発に最も効果的な分子内振動(赤外線吸収波長帯)の実験まで進めなかった。また、当初計画していた(2023-3)波長制御エミッタを用いた溶剤の乾燥実験に進めていない。以上より、(3)やや遅れている、という評価としました。

今後の研究の推進方策

(2023-1)で、当初計画した方法で、反射スペクトルの差が小さく観測しにくい現象は、波長制御エミッタがプローブ光を遮らないように、波長制御エミッタを測定面から離す必要があり、形態係数が小さくなり、測定面への放射量が少ないことが原因であると推定された。そこで、波長制御エミッタのサイズを小さくして、測定面に近づけ形態係数を大きくし、測定面への放射量を増やす対策を行い、(2024-1)として、溶剤(水、IPA)の蒸発に最も効果的な分子内振動(赤外線吸収波長帯)の解明実験を、2024年度に継続して行う。また、2023年度実施できなかった(2023-3)についても、2024年度に実行し、蒸発に最も効果的な分子内振動(赤外線吸収波長帯)と乾燥速度への定量的な効果を、溶剤の赤外線吸収帯と同じ波長域で放射する放射制御エミッタを用いた乾燥実験を行い、蒸発量を赤外線吸収帯ごとに比較することで、溶剤(水とIPA)に対して、明らかにする。
(2023-2)に関しては順調に進んでおり、2024年度は、(2024-2)として、これまでの結果を踏まえて、蒸発分子の速度分布関数の非等方性について調査する予定である。この非等方性には、界面近傍の気体分子間衝突が重要な因子であることがわかりつつあるので、このことについてさらなる調査を行う。界面近傍の気体分子衝突頻度を変えるために、液体温度を変更したり、異分子気体を系内に混ぜて解析を行う予定である。さらに、現在の平均場分子運動論解析を多原子分子に拡張することで、多原子分子の内部運動の非平衡性が蒸発流束に及ぼす影響を確認する。

報告書

(2件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 産業財産権 (1件)

  • [学会発表] 凝縮界面から気相に向かう分子の速度分布異方性に対する液体温度の影響2023

    • 著者名/発表者名
      永川 拓朗,大橋 広太郎,小林 一道,藤井 宏之,渡部 正夫,戸谷 剛
    • 学会等名
      第37回数値流体力学シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 非平衡蒸発・凝縮現象の分子流体力学解析2023

    • 著者名/発表者名
      小林 一道
    • 学会等名
      第24回相変化界面研究会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Fabrication of an IR-emitter to excite intramolecular vibrations of water2023

    • 著者名/発表者名
      Yoshitaka Tanada, Satoru Odashima, Tsuyoshi Totani, Kazumichi Kobayashi, Yoshio Kondo
    • 学会等名
      36th International Microprocesses and Nanotechnology Conference (MNC 2023)
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 凝縮面での分子の速度分布関数の非等方性に関する平均場分子運動論解析2023

    • 著者名/発表者名
      永川拓郎,小林一道,藤井宏之,渡部正夫
    • 学会等名
      日本機械学会北海道学生会 第52回学生員卒業研究発表講演会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 連続励起された水の分子内振動から分子間振動への緩和2022

    • 著者名/発表者名
      棚田慶崇,戸谷 剛,小林一道,近藤良夫
    • 学会等名
      第59回日本伝熱シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [産業財産権] 波長制御エミッタ2024

    • 発明者名
      戸谷 剛,小田島 聡,近藤 良夫,山田 和成
    • 権利者名
      戸谷 剛,小田島 聡,近藤 良夫,山田 和成
    • 産業財産権種類
      特許
    • 出願年月日
      2024
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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