研究課題/領域番号 |
23K22680
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補助金の研究課題番号 |
22H01409 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
白樫 了 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (80292754)
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研究分担者 |
松浦 弘明 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (50847994)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
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キーワード | 常温乾燥保有 / リポソーム薬剤 / 乾燥保護物質 / 常温乾燥保存 |
研究開始時の研究の概要 |
バイオ薬剤のモダリティの一つとして,リポソーム薬剤が注目されている.リポソームやその内包物である薬効成分は,液体状態では流通・保存に耐える長期安定性の確保が難しく,安定した固形薬剤を効率よく製造する方法も限られている. 本研究では,乾燥保護物質を添加した液膜状のリポソーム薬剤分散液を急速乾燥によりガラス化させ,常温で製剤・流通・長時間保存できる簡便な手法の開発を目指す.さらに,保護物質の過飽和水溶液中の物性値を測定して,乾燥による試料内の残存水分分布や溶質結晶の核生成頻度を予測できる乾燥プロセスの設計手法を開発する.
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研究実績の概要 |
本研究では,バイオ薬剤のモダリティの一つとして重要な形態である,薬効成分となるタンパク質や核酸等の高分子を内包したリポソームの常温高品位保存の手法の開発を目的としている.即ち,耐乾燥保護物質が添加された水溶液にリポソームを分散・薄液膜化することで,常温真空乾燥により薄膜分散液全体をガラス化させる手法の設計・開発を行う.さらに,乾燥・復水したリポソームの形態や内包した薬効成分の活性の劣化・安定性を調べ,本手法の有効性を評価する. 当該年度では,疑似薬効成分を内包しない直径200nm程度のリン脂質(L-α-ホスファチジルコリン;L-α-PC)を原料としたリポソームを作成し,保護物質であるトレハロースやε-PLL(ポリリジン)をリポソーム内外に含有させた場合の真空乾燥後の保護効果を,乾燥前後の粒子径分布と粒子数を測定することで評価した. その結果,純水のみを内包するリポソームは,乾燥後は乾燥前の粒子数や粒度分布状態を維持できなかったが,ポリリジンやトレハロースを内包した場合は,再水和に内包物と同じ水溶液を用いた場合は,乾燥後でも乾燥前と同様の粒子数や粒度分布状態を維持できることがわかった.特にポリリジンを内包したリポソームは,乾燥前後で粒子数や粒度分布状態がほとんど変わらない結果が得られた.また,乾燥試料を赤外分光した結果,これらの保護物質を内包したリポソームの内包水溶液の溶質(保護物質)は,真空乾燥後に結晶化していないことが示唆され,ガラス化していると考えられる.従って,薬効成分を内包した際に同成分の構造が維持される可能性が高いと推測できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
真空乾燥において,リポソーム懸濁液の薄液膜試料を生成させる手法や,動的光散乱法で得られる散乱光強度とその時間変化分布から,粒子数分布(粒度分布ではなく)を算定する手法に手間取ったものの,予定していた内容について,ほぼ結果を得ることができた.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度以降は,下記の4点を行う. 1.疑似リポソーム薬剤を作成する.疑似薬効成分として,環境に敏感なタンパク質である乳酸脱水素酵素(LDH)をリポソームに内包する. 2.疑似リポソーム薬剤内のみのLDHの酵素活性の測定方法を確立する. 3.トレハロースやε-PLLを添加した疑似リポソーム薬剤を薄膜真空乾燥し,その前後における疑似リポソーム薬剤内のLDHの酵素活性を測定することで,保護物質の薬剤保護効果を調べる. 4.3に加えて,疑似リポソームのリポソーム自体の乾燥前後の健全性を,粒子径分布と粒子数を測定することで評価する.
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