研究課題/領域番号 |
23K22697
|
補助金の研究課題番号 |
22H01426 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小松崎 俊彦 金沢大学, フロンティア工学系, 教授 (80293372)
|
研究分担者 |
砂田 哲 金沢大学, 機械工学系, 教授 (10463704)
寺島 修 富山県立大学, 工学部, 准教授 (50570751)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
12,350千円 (直接経費: 9,500千円、間接経費: 2,850千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
|
キーワード | メタ構造 / セミアクティブ制御 / 振動制御 / 可変剛性 / 磁気粘弾性エラストマ / バンドギャップ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では,構造内を伝播する振動エネルギの透過特性に特異性を持たせることで,特定の振動数帯域で共振状態を生じさせないメタストラクチャ(メタ構造)を,任意の周波数帯域で実現する方法を提案する.まずは物性の固定されたパッシブなメタ構造と,振動が生じない不感帯域との関係性を理論的に明らかにして,外力作用下において実現すべき振動絶縁状態に対するメタ構造の設計方法を確立する.さらに,メタ構造のばね要素に印加磁場に応じて弾性率を可変にできる磁気粘弾性エラストマを適用して,パッシブ構成の限界を超えてセミアクティブに広帯域の振動絶縁が可能なメタ構造を実現する.
|
研究実績の概要 |
令和5年度は,弾性率固定のパッシブなばね,印加磁場に応じて弾性率を可変にできる磁気粘弾性エラストマで作成されたセミアクティブ型のばね,および質量ブロックから構成される単位構造を周期的に複数個,直列に接続して構成した多自由度振動系について,弾性率の可変性を加味した振動応答を計算する理論モデル,及び原理検証装置を構築した.本構成は周期構造型に分類されるメタ構造であるが,固定ばねと可変ばねのばね定数比,および可変ばねの基礎剛性値に対する変化倍率の大きさによって変化する振動遮断帯域の幅,下限及び上限周波数値を理論的に明らかにした.また,有限個数の単位構造からなる周期構造の場合,単位構造を構成する低剛性及び高剛性のばね要素が境界を起点に質量体を挟んでどちら側に配置されるかの点と,単位構造を直列に接続する際の個数が,バンドギャップ帯域内に共振ピークが生じるかどうかを決めるパラメータであることを見出した.この事実を踏まえつつ,磁気粘弾性エラストマを可変ばねとして単位構造に組み込んだ実験模型を作成して,理論的に予想された現象を確認するための検証実験を実施した.多自由度振動系としての応答は得られたが,磁場の印加に伴う応答曲線の変化は小さく,振動遮断帯が明確に確認できない結果となった.本結果については,可変ばねの弾性率変化幅が予想よりも大幅に小さかったことが主な原因として考えられる.磁気粘弾性エラストマを含む磁気回路の性能改善を図る必要がある.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要欄で述べたように,理論的側面からはばね要素の弾性率を増減させることに伴う振動遮断帯域の上下限周波数値及び帯域幅の変化,さらには周期構造の個数,境界条件の影響等について多くのことを明らかにできたこと,また,原理検証装置の基本構造は製作済みであることについては予定通り進んでいると考えている.ただし,理論的に期待されたほどの性能が実験にて再現できていない点については,引き続き令和6年度も検証を続ける予定である.
|
今後の研究の推進方策 |
令和6年度は,理論的に予想された現象を確認するための実験模型において,可変ばねの弾性率変化幅が予想よりも大幅に小さかったことを主な原因として,振動遮断帯が明確に確認できない問題点の解決を図ることを第1の目標とする.さらに,周期構造型と並び,局所共振型として知られる構造に着目し,前年度と同様に可変ばねと固定ばねを組み合わせたセミアクティブ型のメタ構造に関する理論モデルと実験系を構築し,ばねの可変性に基づく振動遮断帯域の変化の特徴や,周期構造型との比較に基づく局所共振型構造の優位性等について考察を行うことを第2の目標に定める.局所共振型では,制振対象とするはりや板などの既存構造に適用しやすい利点があるため,主構造と局所共振型構造を連結し,励振入力に対する主構造の振動応答を低減可能かについて,新たな理論モデルと原理検証装置を構築し,検討を行う.3名の研究者間での役割分担については,研究代表者の小松崎(金沢大)は研究総括者として理論モデル考案,数値計算及び原理検証装置の製作と実験評価の全般に関わり,共同研究者の砂田(金沢大)は小松崎とともに理論モデルに基づく数値シミュレーションコード作成と計算実行を主に担当,寺島(富山県立大)は同じく小松崎との連携の元,磁気粘弾性エラストマの作製,局所共振型メタ構造の製作及び振動応答の実験計測を担当する.
|