研究課題/領域番号 |
23K22699
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補助金の研究課題番号 |
22H01428 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
高木 賢太郎 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60392007)
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研究分担者 |
入澤 寿平 岐阜大学, 工学部, 准教授 (30737333)
安積 欣志 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 教授 (10184136)
奥崎 秀典 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60273033)
新竹 純 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (10821746)
西田 豪 日本大学, 工学部, 准教授 (80435669)
比留田 稔樹 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20963979)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | 高分子アクチュエータ / 高分子センサ / 人工筋肉 / ソフトロボティクス |
研究開始時の研究の概要 |
2種類以上の高分子アクチュエータを組み合わせ複合化の可能性を検討する.複合化の候補としてまず釣糸人工筋アクチュエータと誘電エラストマを用いる.続いて,その特性を計測し,評価方法の確立を目指すとともに,物理モデルを明らかにする.さらに,ソフトロボティクス応用に向けた検証用テストベッドとして1リンクアームを作製し,提案する複合化アクチュエータ素子の有効性を実ロボットシステムで検証する.そして,物理モデルベースのフィードバック制御系を設計し,実験により検証する.
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研究実績の概要 |
本研究は釣糸人工筋に誘電エラストマなどの刺激応答性高分子材料を組み合わせて複合化し,互いの利点を活かし欠点を補い合うことで,複合化高分子アクチュエータ素子として劇的な性能向上を狙うものである.ここでは,(1)アクチュエータ材料の開発,作製法と特性評価,(2)複合化と数理モデル,(3)人工筋のテストベットとなるためのアーム機構の製作,の3点に分けて実績を述べる. (1)はじめに,コアとなる釣糸人工筋の作製と特性評価について,作製条件の検証を行い,昨年度に引き続き変形量を最大化するための作製条件の知見を得,国内学会にて公表した.またコイル形状のTCPFだけでなく幾何学的に基礎的な直線形状であり計測が容易なTPFに着目し,TPFの特性評価と物理モデル化を進め,TPFの物理モデル構築の目処を立てることができたため,国内学会にて公表した.また釣糸人工筋と複合する予定の誘電エラストマに関して,電場だけでなく熱に応答する新たな方法を提案することができたため,国内学会にて公表した. (2)続いて複合化と数理モデルについて,釣糸人工筋と誘電エラストマアクチュエータの直列複合化を行い,周波数特性を計測し,複合化の効果について有効性を確認できたため,国内学会にて公表した.また誘電エラストマだけでなくイオン導電性高分子センサの数理モデルについても研究を進め,厳密解の導出と解析について,複数の国際会議にて公表した. (3)最後に,さまざまな人工筋のテストベットとなるためのアーム機構の製作に関しては,(1)と(2)の内容に注力したために基礎検討にとどまっているため,2024年度に行う予定である. なお上記の内容に加えて,複合化に際して必要となる誘電エラストマの作製方法,ならびに,複合化されたアクチュエータの制御や数理モデリングに将来的に応用可能な内容についても検討を行い,国内外の学会にて公表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
釣糸人工筋単体について,作製条件,特性評価,モデル化について順調に研究が進んでおり順調と言える.また誘電エラストマ単体については新しい駆動方法が提案できたため,今後に期待ができる.釣糸人工筋と誘電エラストマとの複合化についても,初期的な方法として直列接続したアクチュエータについて特性評価の一部までできている.しかし,より材料レベルでの複合化が望ましく,材料の見直しも含めて今後の検討が必要である.他の高分子アクチュエータ材料(イオン導電性高分子,刺激応答性高分子)については数理モデルに関する研究が進んでおり,基本的な成果が今後も期待できる.なお,アーム実機の機構部分については,引き続き機構やサイズを検討するとともに人工筋の取り付け方に関する検討を今後行っていく必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
まず,コアとなる釣糸人工筋の作製と特性評価については,作製条件の検証を引き続き行う予定である.また前年度において,引張試験計測装置に取り付ける加熱装置の設計製作を行ったが,取り付け位置の微調整が必要であることが分かったため,加熱装置の位置決め可能な治具の設計製作を行う.TPFの物理モデル構築の目処が立ってきたため,実験によってモデル検証を行う予定である.誘電エラストマについては,前年度,電場だけでなく熱に応答する新たな方法を新たに提案したが,現状では耐久性に問題があるため,材料と作製法の改善について検討を行う. 続いて,釣糸人工筋アクチュエータをベースとした誘電エラストマの複合化を引き続き進めるが,複合化において,現状の方法は単に2つの素子をつなぎ合わせているだけであるため,より実用的で効率的な接続方法と材料レベルでの複合化について検討を行う.また,イオン導電性高分子センサの複合化に向けて,イオン導電性高分子センサの物理モデルに基づく設計を目指している.これまで,電圧発生の物理モデルの周波数領域での厳密解導出に成功している.本年度は,変形に対する電流発生のモデルの厳密解の導出を行い,さらに電圧発生のモデルと電流発生のモデルそれぞれのモデル検証を行い妥当性を検証するとともに,成果を学術論文として今年度中に投稿する. 最後に,さまざまな人工筋のテストベットとなるためのアーム機構の製作に関して述べる.前年度は材料開発に重点を置き,アーム機構の検討があまりできなかったため,サイズや慣性モーメントが可変となるように機構部分の設計・サイズ,人工筋の取り付け方に関する検討を引き続き行う.
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