研究課題/領域番号 |
23K22700
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補助金の研究課題番号 |
22H01429 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
増田 容一 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (70849760)
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研究分担者 |
福原 洸 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (10827611)
郡司 芽久 東洋大学, 生命科学部, 助教 (80833839)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
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キーワード | ロボット / 解剖学 / ウマ / バイオメカニクス / 四脚動物 / 連動性 |
研究開始時の研究の概要 |
生きて走り回る動物の内部を,我々の目で見て,触れて,自由に計測できないことが,生物学における仮説検証のボトルネックになっている.申請者らは,生物学が本質的に抱えてきたこの難題を突破するため,ロボット工学を援用して新たな生物学の研究手法を開拓する.この挑戦的課題の達成を確信するに至ったカギこそが,動物の内部構造の再現と観察を可能とする「写実的ロボットモデリング」である.本研究では,解剖・計測・ロボット技術の三領域の専門家の協働により写実的ロボットモデルを洗練することで,ウマの運動理解や臨床など生物学の現場で活用可能な仮説検証ツールへと昇華する.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,申請者らが試作した解剖学的ロボットモデルをさらに洗練させることで,生物学の現場で活用可能なレベルの,新たな仮説検証ツールとして昇華することである. 本年度はウマ後肢の筋・腱構造を再現した解剖学的ロボットモデルの改良を行ったほか,ウォーク・トロット歩容など,ウマがみせる多様な運動を実現したほか,ウマにみられる典型的な運動の特徴が再現された.さらに,ロボット実験室内に設置した解剖スペースなどにおいて,ウマやシカの組織サンプルの収集および計測手法の改良を進めた. また,発展的な内容として,腱や,骨格,それらを結合する連続体組織からなる複雑な生体模倣ロボットを実装する際に必要となるロボット造形法の開拓を行った.ロボットの運動性を向上するべく,姿勢の維持や旋回運動の実現において重要となる足運び挙動の再現や,脚運動における四脚動物の肩甲骨の機能理解に取り組んだ.ネコの後脚の腱骨格構造を再現したロボットでは,ウマの腱骨格構造における体重支持現象および走行フォームの創発現象と同様の現象が確認されたため,より深い解析を進める予定である. さらに,当該研究分野の発展のため工学者向けの解剖法をオープンソース化して公開した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予想されなかった,ウマにみられる典型的な運動の特徴が再現されたほか,複雑な生体模倣ロボットを実装する際に必要となるロボット造形法の開拓などの成果が得られた.また発展的な内容として,姿勢の維持や旋回運動の実現において重要となる足運び挙動の再現や,脚運動における四脚動物の肩甲骨の機能理解に取り組んでおり,想定以上の成果が得られている.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は,申請者らが試作した解剖学的ロボットモデルをさらに洗練させることで,生物学の現場で活用可能なレベルの,新たな仮説検証ツールとして昇華することである. 2024年度は,昨年度に引き続きウマの歩行運動を再現する写実的運動モデルの構築および洗練を行う.具体的には,国内の研究者との連携のなかで,ウマの組織サンプルを収集・計測することで,モデルの生物学的妥当性を担保していく.得られた研究成果を国内外の学会およびジャーナルに投稿し,生物学や工学における有用性を問う. さらに構築した「写実的運動モデル」の生物学の現場における活用ニーズを探索する.特に,開発した運動モデルを現場で実際に活用しながらモデルの洗練を進めていく.具体的には,開発したモデルを現場に設置して,ケガをした競走馬のオーナーへの説明や,教育現場への活用を試みる.さらに,現場からみたモデルの改善点の提案や,新たなニーズの発掘を進める. 発展的な目標として,これまで得られた動物運動に関する知見をもとに走行ロボットの身体設計に活用する.ウマの構造へと迫るロボットモデルを開発する本研究は,必然的に新たなロボット設計手法の開拓へと繋がる.現代の4脚ロボットは中腰の姿勢で走行し,荷重をモータ出力で支えているためエネルギ効率が悪く,稼働時間が極めて短い.「関節の連動性」による体重支持のメカニズムを応用することで,走行ロボットの稼働時間やペイロードの向上,運動能力の向上を目指す.
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