研究課題/領域番号 |
23K22705
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補助金の研究課題番号 |
22H01434 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
戸井 武司 中央大学, 理工学部, 教授 (90286956)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | 音源探査 / 音像定位, / 振動と騒音の相関解析 / 低消費電力 / DAA(Detect and Avoid) / ドローン / 衝突回避 / 音像定位 |
研究開始時の研究の概要 |
ドローン等の小型無人機は,「空の産業革命」とも言われ,既に農業や空撮,測量,災害対応等の分野で活用されている.国内ではドクターヘリが運用され,有人航空機と,ドローン等の複数ルーターを具備する小型無人機が同一空域で飛行することが想定される. 既にニアミスの報告があり,衝突回避は,有人航空機のパイロットが回避行動を判断するには多くのストレスが生じ,小型無人機側が探知機能を具備することで自ら回避行動を行うことが求められる. 本研究では,ヘリコプター等の有人航空機が発生する騒音より,ドローンの正確な回避行動に求められる位置情報を検出する小型軽量かつ低消費電力の音源探知技術の研究開発を行うものである
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研究実績の概要 |
1)ドローンによる飛行中のヘリコプター騒音に関する音源探知特性の確立については,ヘリコプターの飛行騒音サンプルデータの解析に基づき,風速や暗騒音が存在するフィールドにおいて,ヘリコプター騒音に含まれるブレード回転に依存した回転次数成分を抽出し,ヘリコプターの飛行状態を推定し,衝突回避に資する情報を把握した.また,音源探知に利用するヘリコプタ動作音の特徴量としてブレードスラップ音に含まれる振幅変調音に着目し,ドローン動作音との相違として特定の低変調周波数帯がヘリコプターの離隔距離の推定に活用できることを見出し,探知アルゴリズムを構築した. 2)ドローンのマルチルータ自機騒音フィルタリング技術の開発については,研究室が具備する大型無響室および長野滑空場を利用し,ドローンの飛行状態を想定した機体稼働中の機体振動と騒音の相関解析や,風速や暗騒音などの影響を考慮した自機騒音の推定手法を確立した.また,ヘリコプターをチャータして千葉県浦安にてヘリコプター騒音を測定し,ドローンのマルチルータ自機騒音と合成した音源を使用して,本研究にて開発した特定の低変調周波数帯に着目した探知アルゴリズムより自機騒音の影響を排除することで,離隔距離が約2.5 kmの地点でヘリコプタの探知が可能であることを把握し,探知性能に求められる条件を満足することを実証した. 3)探知性能の基礎評価手法の開発については,最終年度の評価手法の策定に向け,ドローンの機体開発・関連するセンサ製造者等の関連事業者を含む有識者により構成する小型軽量かつ低消費電力の音源探知技術に関する検討委員会を設置した.計4回委員会を開催し,実用化に向けドローンに求められる探知性能に関する評価項目,満足すべき数値性能,これを評価する試験方法等を総合的に議論した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の研究実施計画にある下記の3項目が,それぞれおおむね順調に進展している. 1)ドローンによる飛行中のヘリコプター騒音に関する音源探知特性の確立 2)ドローンのマルチルータ自機騒音フィルタリング技術の開発 3)探知性能の基礎評価手法の開発
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今後の研究の推進方策 |
ドローンの機体開発・関連するセンサ製造者等の関連事業者を含む有識者にて構成された小型軽量かつ低消費電力の音源探知技術に関する検討委員会にて議論した実用化に向けたドローンに求められる探知性能に関する評価項目を考慮し,ドローンによる飛行中のヘリコプター騒音に関する音源探知の精度向上を目指す.今後は,ドローンの飛行空域である飛行高度150m以下において最も稼働実績が多いドクターヘリだけでなく,同空域内を飛行する頻度が高いドローンとの衝突回避も対象とする.ここで,音源探知の精度向上には,マイクロホンアレイの構成要素として,マイクロホンアレイの外径,マイクロホンの間隔,数,アレイ数等について実験計画法に基づき検討し,指向特性と雑音除去特性を算出することで,音源探知性能の向上を目指す. また,ドローンのマルチルータ自機騒音フィルタリング技術の開発として,ドローン自機騒音の発生メカニズムの解明や,ドローン本体の振動データを考慮して検討する.ここで,本研究にて開発した自機騒音に含まれる変調周波数成分の低減により,特定の変調周波数帯の精度向上によりヘリコプターの探知精度の向上を目指す.これらに基づき機体搭載が可能な小型軽量かつ低消費電力を実現するセンシングユニットの試作を検討する. さらに,探知性能の基礎評価手法の開発として,飛行するヘリコプターの音源探知性能に関する評価手法を開発し,研究プロセスで得られた技術知見・評価手法・検証結果等の取りまとめに加え実用性や効果測定の評価を行う. これらにより策定された提案手法が,実用化に向けた総合的な技術開発となっているかについて,ドローンの機体開発・関連するセンサ製造者等に対して技術説明会を開催し,研究成果について定量的に評価する.
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