研究課題/領域番号 |
23K22707
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補助金の研究課題番号 |
22H01436 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田中 孝之 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (10282914)
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研究分担者 |
村井 昭彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究チーム長 (90637274)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2022年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
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キーワード | 人間拡張 / 人間機械システム / ウェアラブルデバイス / デジタルヒューマン |
研究開始時の研究の概要 |
運動戦略が最適化されていない未熟練者を対象者とし,また周期的な運動である走行動作と単発的な投球動作を対象動作として,人間拡張技術による運動戦略獲得の最適化を目指し,前述の学術的問いを解決するために,次の4つの課題に取り組む. ①身体・知覚機能を強化するウェアラブル運動拡張デバイスの開発 ②デジタルヒューマンを基盤とした力学的連鎖の実時間可視化 ③運動戦略の数理モデル化 ④運動戦略獲得のための介入プログラムの最適化
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研究実績の概要 |
人間機械システムにおいて,機械からの外力とヒトの内力の伝達過程(力学的連鎖)と運動への活用過程を明確化し,新たな運動戦略の獲得メカニズムを解明することを目的として,次の4つの課題に取り組み,それぞれ良好な成果を得た. (1) 運動戦略の数理モデル化:運動戦略,つまり力の使い方を調整するために,ヒトは体幹剛性を制御しているものと仮定して,運動戦略を体幹インピーダンス制御モデルとして数理モデル化した.人間拡張技術としてアシストスーツより加わった作用力と実際の運動の結果を比較し,ヒトのインピーダンス制御パラメータを同定した.力学的連鎖がインピーダンス制御パラメータの変化に及ぼす影響を調べ,運動パフォーマンスを向上する過程で運動戦略の獲得に与える影響を現象論的に明らかにした. (2) デジタルヒューマンを基盤とした力学的連鎖の実時間可視化:運動戦略の適切さを客観的に確認する環境構築のために,動作計測装置と筋活動計測装置の情報から,環境からの外力,運動拡張デバイスからの作用力,ヒトの筋発揮力の体内伝達,力学的連鎖を実時間で可視化するための最小限筋骨格モデルを開発した.力伝達効率,関節剛性など,運動戦略の獲得過程を理解しやすい提示情報の算出方法を開発した.高速計算に適した動力学計算手法,部分ラグランジュ法も開発した. (3) 筋骨格モデルに基づく運動戦略・パフォーマンス解析の展開:筋骨格モデルに基づく運動戦略がパフォーマンスに及ぼす影響の解析手法を走行や投球という運動解析だけでなく,荷揚げ作業や歩行リハビリの解析に展開した. (4) 運動拡張デバイスの介入効果解析:走行運動においてヒトと運動拡張デバイスの発揮力の位相が運動戦略の変化に影響を及ぼす要因であることを実験的に確認した. 以上の成果を学術論文3件,国際会議1件,国内講演会4件で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度予定していた(1) 運動戦略の数理モデル化および(2) デジタルヒューマンを基盤とした力学的連鎖の実時間可視化について良好な成果を得られた.加えて,筋骨格モデルに基づいて運動戦略の獲得過程を解析する手法を開発するだけでなく,(3) 筋骨格モデルに基づく運動戦略・パフォーマンス解析の展開として,当初予定していたスポーツの解析だけでなく,作業負担解析や歩行機能評価に応用することで,開発技術の適用範囲を拡大することができた.さらに,次年度予定していた運動介入プログラムの最適化に関わる知見として,(4) 運動拡張デバイスの介入効果に関する有益な知見を得ることができた.
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今後の研究の推進方策 |
運動パフォーマンスを最大化するヒトの運動制御パラメータを,個々の身体能力を反映した筋骨格動力学モデルのシミュレーションより導出したパラメータ,また熟練者のパラメータを目標値として,正しい運動戦略を最短で獲得できるよう,人間拡張技術による介入プログラムを最適化する.運動拡張デバイスであるアシストスーツによる運動介入のタイミングと作用力を最適化する方法と,圧覚刺激型センサデバイスを介してヒト自身が力を入れるタイミングを提示する方法とを,それぞれ構築する.圧覚刺激型センサデバイスによる知覚が困難な場合には,視覚刺激による介入手法を検討する.
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