研究課題/領域番号 |
23K22718
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補助金の研究課題番号 |
22H01447 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
石塚 裕己 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (40784418)
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研究分担者 |
平木 剛史 クラスター株式会社(メタバース研究所), メタバース研究所, シニアリサーチサイエンティスト (40831326)
佐々木 大輔 香川大学, 創造工学部, 教授 (50372686)
PUNPONGSANON PARINYA (プンポンサノン パリンヤ) 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (90812222)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | ソフトロボティクス / 自己修復性材料 / 触覚センサ / ソフトアクチュエータ / ソフトロボット / 自己修復ポリマー / 光造形 / アクチュエータ / センサ / フォトクロミックインク / 触覚 / 機能性材料 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,三次元マスクレスフォトリソグラフィ技術を活用したソフト触覚センサやソフトアクチュエータの作製技術を確立するとともに,ソフトロボットの高度なセンシング機能の実現を目指す.具体的には,柔軟な光硬化性ポリマーの光造形手法を確立,可動用のソフトアクチュエータと,触覚センサアレイとを集積し,ソフトロボットハンドを作製する.そして,このソフトロボットハンドによって取得された情報処理するための,ヒトを模した知覚情報処理モデルを構築する.最終的には,ヒトを模倣したソフトロボットハンドを実現し,触感認識のようなヒトの持つ高度な触知覚機構がソフトロボットにおいても実現可能かを明らかにする.
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研究実績の概要 |
2022年度は,ソフトロボットハンドの開発と関連技術の確立に向けて,以下の2つの研究項目を行った.1つ目は,自己修復性を持つ柔軟なポリマー材料を光造形方式の3Dプリンタで造形し,ロボットハンドの作成を目指す技術開発の確立である.研究チームの代表者である石塚と分担者である佐々木がこの研究を担当した.まず,ポリマー材料を所望の形状に造形するための最適な造形条件を調査した.具体的には,露光時間や造形速度などの条件を調整し,造形物の形状や状態を確認した.加えて,材料の引っ張り強さや自己修復後の引っ張り強さを測定し,自己修復ポリマーの特性を包括的に明らかにした.さらには,緑色の顔料を混ぜることで造形精度を向上させることも発見した.これらの知見を活かし,自己修復ポリマーの光造形による空気圧アクチュエータを開発した.この成果は,SICE SI 2022で発表し,それを発展させて論文誌に投稿する予定である.自己修復ポリマーの研究に関しては,材料特性の調整や試作の面で製造元の企業と連携する体制を構築できた.2つ目は光造形技術の開発である.分担者のPunpongsanonと平木は、光造形方式のレジンに光によって色が変わるフォトクロミックインクを混ぜることで,光造形した物体の色を変化させることができる技術を確立した.この技術によって造形が可能であることを確認するとともに,基礎特性を調査した.現在,この技術を自己修復ポリマーに適用することも検討している.この成果は,SIGGRAPH ASIA 2022で公表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に光造形方式によって自己修復ポリマーを任意の形状に造形する方法を確立することができた.これによってセンサやアクチュエータの開発が可能になり,次年度以降の研究を円滑に進められるはずである.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は2022年度に開発した造形技術を用いてセンサやアクチュエータの開発を進めていく予定である.まず,ロボットハンドを駆動するためにはアクチュエータが不可欠であり,その開発を行う.計画当初は光造形を駆使して,ロボットハンドを一括で作製することを検討していた.しかし,人間の指の構造を考えると,硬い部位や柔らかい部位が混在している.つまり,複数の材料を組み合わせてロボットハンドを作ることが望ましいのではと考えるようになった.現在使用している自己修復ポリマーは硬さが異なる材料が存在しており,更にはそれらを自在に自己修復性によって自由に繋ぎ合わせることができる.この特性を活かして,骨のような硬いポリマーの上に皮膚のように柔らかいポリマーを結合させることによって,ロボットハンドを実現する.そして,内部に空気圧アクチュエータも入れることで稼働できるようにする.それと並行して,触覚センサの開発も進める.光造形よって自己修復ポリマー内に流路構造を形成するような方法を確立する.そして,この流路内に液体金属やイオン液体を充填することによって,ひずみゲージ方式の触覚センサを実現する.特性評価のための実験系を構築した後に,この触覚センサの感度,ダイナミックレンジ,繰り返し応答のような特性を評価していく予定である.昨年度にフォトクロミックインクを光造形に活用する手法を開発することができており,これを自己修復ポリマーと組み合わせることでロボティクスの分野だけでなくヒューマンコンピュータインタラクションの分野での当該技術の活用も進める予定である.
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