研究課題/領域番号 |
23K22722
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補助金の研究課題番号 |
22H01451 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
中谷 真太朗 鳥取大学, 工学研究科, 講師 (10781700)
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研究分担者 |
荒木 望 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (10453151)
西田 信一郎 鳥取大学, 工学研究科, 特任教授 (50358529)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
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キーワード | ニューロリハビリテーション / ブレインマシンインタフェース / 運動主体感 / 瞳孔計測 / 直列弾性アクチュエータ / 対光反射 / 瞳インタフェース / 直列弾性機構 |
研究開始時の研究の概要 |
脳卒中などの脳血管障害や脊髄損傷によって生じた運動麻痺に対して,患者の運動意図と同期して患部を動かすことで運動機能の回復を目指したシステム開発が進んでいる.患者の運動意図と麻痺肢の動作が一致したとき患者にself-agency(運動主体感:自らの患部が自らの意思で動いたという感覚)が生じることで回復効果が向上する可能性がある.本研究では,瞳計測による運動意図の迅速で正確な推定の実現およびロボットによる外骨格運動と視覚フィードバック情報の分離による運動意図を適切に反映した感覚フィードバックの実現という2つのアイデアを組み合わせ,システム利用者の運動主体感を増すために必要なシステムを構築する.
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研究実績の概要 |
A. 瞳孔インタフェースにおいて,光刺激のターゲットを効率的に設計する手法を提案した 点滅するパターンを選択的に注視している状態を瞳孔径の変化から読み取るためのインタフェース開発を進めた.光刺激を受けたか否かという2値データの並びを情報伝達のために利用する場合,どのような基準で光刺激のパターンを提示するべきかについて検討した.設計に用いる評価関数は,実際のシステムにおける識別の難易度が高いペアを予測できることを示した.本手法を用いたインタフェースの情報伝達効率は従来のものと比べても比較的高く,30 bits/min を越えられる可能性がある.瞳インタフェースの実用化の可能性を示したという点で今後の発展が期待できる. B. VRゴーグルを利用し,自分の腕よりもより大きく(小さく)CGの腕が動く環境を構築した 本研究では,VRゴーグルにより視覚フィードバック情報を上書きし,実際の運動を強調する形で患者に提示することを想定している.ただし,実際の動きとの違いが極端に大きくなる場合には違和感が大きくなるため,違和感を少なく保ちつつ自分の運動と錯覚させることが望ましい.健常人において違和感が生じる範囲を調査するため,CGの腕の動きに対して遅れ時間の追加や強調度合い(ゲイン)の変更を行った際の応答について調査した. C. 運動アシストを目的としたロボットにインピーダンス制御を実装した 昨年度設計を行なったロボットの開発を進めた.ギアヘッドと駆動軸の間に設置した弾性要素によるトルク計測性能の影響を受けるものの,ある程度任意のインピーダンスを実現できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最終目的は,運動リハビリテーション時の運動主体感の向上を促すようなシステムの開発である.本年度は瞳孔インタフェースに関して,①光刺激を2値信号として考え,周波数ではなく時系列信号のパターンマッチングにより分類する手法の開発.②左右の瞳に異なる明るさの光を提示した際の瞳孔径変化モデルの構築.③任意のタイミングで注視対象を切り替えた際,正確で素早い検出を行う手法の研究.④運動関連の瞳孔径変化の検出.を行うことを予定していた.また,⑤運動時の体にCGモデルを重ねた実験系を製作し,自らの想定と視覚フィードバックの間にずれが生じた状況を自由に作ることができる環境の構築.⑥実際の動きとCGモデルの動きを変化させた際に生じると期待される違和感についての調査について研究を行うことを予定していた. ①光刺激を2値信号として考え,周波数ではなく時系列信号のパターンマッチングにより分類する手法の開発については,予定通り成果をまとめることができた.②左右の瞳に異なる明るさを入射した場合の瞳孔応答については,モデルの構築に手間取ったものの主要な実験は終えている.③の注視対象の切り替えの検出法については,当初の想定とは異なるものの光刺激を2値信号として捉える特別な条件下での識別アルゴリズムを提案した.④運動の強度に関連した瞳孔系の変化については実験的な観測を行ない,今後被験者数を増やした実験を進める予定である.⑤のVRゴーグルを用いた環境構築については予定通り進展した.⑥実際の動きとCGモデルの動きが異なる場合に生じる違和感については,実験データの取得を終えて現在解析を進めており,予定通り進捗している.
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今後の研究の推進方策 |
瞳孔インタフェースに関しては,①現在提案している,左右の瞳に異なる明るさの光刺激を入力した際のモデルについて引き続き論文の執筆を進める.加えて,②VRゴーグルを用いて実際の腕の運動距離と視覚的に感じられる腕の運動距離を変化させた際の瞳孔径の変化について調査を進める.一方で,③外骨格型ロボットの2自由度での運用にはいくつかの困難が伴うことが明らかになったため,当面は1自由度での実験を進めることにする.加えて,④インピーダンス制御実装後のロボットの軌道設計や人間を対象とした実験についてはいくつかの課題が存在している.そこで国際共同研究を通じて課題の絞り込みや解決法の検討を進める.
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