研究課題/領域番号 |
23K22742
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補助金の研究課題番号 |
22H01471 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中村 武恒 京都大学, 工学研究科, 特定教授 (30303861)
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研究分担者 |
Dong Tenghui 京都大学, 工学研究科, 特定研究員 (10912008)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2022年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
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キーワード | 高温超伝導モータ / かご形誘導モータ / 同期回転 / 超伝導/常伝導ハイブリッド導体 / 非超伝導駆動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、研究代表者らが先駆的研究を展開している10 kW級高温超伝導誘導同期モータを対象として、高温超伝導体が超伝導性を失う高温度(例えばマイナス183℃程度以上)においても低出力にて連続駆動可能な全高温超伝導化(固定子巻線ならびに回転子巻線の両者を高温超伝導化)技術を確立する。本研究によって、極めて高効率で既存モータに対して1桁を遥かに超える高出力密度を実現出来るだけでなく、冷却系が故障した際にもフェールセーフ運転可能な全高温超伝導モータに関する基盤技術を完成することができる。
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研究実績の概要 |
2022年度は、以下の研究を実施した。 (i) 高温超伝導回転子の試設計と特性検討:まず、研究代表者が提案している線電流&自己組織化設計法を用いて、高温超伝導誘導同期モータの試設計を行い、トルクリップルの低減に成功した。 (ii) 高温超伝導回転子の設計と解析的特性検討:項目(i)の結果をベースにした2次元電磁界解析プログラムを開発し、回転子中における高温超伝導ロータバーの非線形電流輸送特性に起因する遮蔽電流の振る舞いを明らかにした。その結果をもとに、高温超伝導かご形巻線の具体的構造を検討した。さらに、上記高温超伝導かご形巻線に追加する常伝導かご形巻線の検討も行った。その際に、既試作の50 kW級機の室温運転を行い、成功した試験データを参考にして、高温超伝導ロータバーと常伝導ロータバーの間の電気的接触法を検討した。 (iii) 高温超伝導固定子の設計と特性検討:全ての巻線を高温超伝導化する全高温超伝導誘導同期モータに関する過去のデータを詳細に分析し、三相平衡電圧入力する固定子巻線に高温超伝導導体を用いる場合には、三相不平衡電流に伴って焼損のリスクがあることを示した。従って、全高温超伝導誘導同期モータを駆動する際には、電流制御型インバータの使用が必須である。その前提の上で、銅安定化層を有する希土類系高温超伝導テープ(77 Kにおける臨界電流: 150 A程度)の室温直流通電試験を実施したところ、16 A超まで焼損無く流せることを確認した。なお、上記16 A通電時のテープ表面温度は90℃であった。 (iv) その他:本研究成果を展開できる可能性のあるフォールトトレランスを有する新構造モータとして、ハルバッハ永久磁石と高温超伝導磁石による新構造デュアルローター同期機を提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2022年度は、以下の理由により当初の計画以上に進展していると判断される。 まず、既試作の50 kW級機について、運転方法を工夫することで5.5 kWの室温運転に成功した。高温超伝導回転機として、負荷を負った状態で室温運転に成功した成果は世界初であると考えられ、京都大学からプレス発表すると共に、日刊工業新聞他で報道された。 また、高温超伝導導体の非線形電流輸送特性に起因するロータバー内部の複雑な遮蔽電流特性解析は当初予定していなかったが、これに成功した。同成果をもとに、最適な高温超伝導ロータバーの構造決定に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、以下の計画で研究を実施する。 (i) 高温超伝導固定子の設計と特性検討:前年度の検討をさらに詳細に進め、高温超伝導固定子を設計する。まずは、固定子巻線用高温超伝導導体の開発を行う。当該導体には交流の強制電流を通電することから、まず10 kW出力時の電流ピーク値が臨界電流以下になるように設計する。次に、室温において定格出力の20% (2 kW)以上を出力する電流を連続印加できる超伝導/常伝導ハイブリッド導体構造を開発する。その際、特に高温超伝導導体と常伝導導体間の接触面の施工法について実験的に精査する。その後、3次元電磁界解析を用いて高温超伝導固定子を設計する。 (ii) 全高温超伝導モータの詳細設計と試作:10 kW級全高温超伝導モータの詳細設計を完了する。そして、予め回転数1800 rpmまでの回転数において、超伝導状態および常伝導状態における回転特性を電磁界解析に基づいて明らかにする。次に、上記設計結果をもとに実機試作を行う。なお、ハイブリッド導体の巻線作業は基本的に京都大学で実施するが、固定子ならびに回転子コア・ブラケット・シャフトの製作、およびモータバランスは外注する。
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