研究課題/領域番号 |
23K22749
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補助金の研究課題番号 |
22H01478 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
石山 敦士 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00130865)
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研究分担者 |
植田 浩史 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 准教授 (10367039)
野口 聡 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (30314735)
福井 聡 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70293199)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2023年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 電気機器 / 超伝導材料 / 加速器 / 量子ビーム / 癌 / 電気機器工学 |
研究開始時の研究の概要 |
超伝導コイルは、安心安全・持続可能な社会の実現に貢献する技術と言えるが、「常伝導転移事故に対する保護対応が必須」と「製作コストが高額」という2つの大きな障壁が応用拡大を阻んできた。そこで本研究では、「2つの障壁の克服」を可能とする方策として、1)高安定:コイル内に劣化や欠陥が発生しても継続運転が可能、2)無保護:継続運転が不可能な状態になっても、従来のような保護装置が不要、3)低コスト:劣化・欠陥のある線材の使用を許容しつつ高性能コイルの実現が可能、4)高性能:未踏ステージへの応用拡大が可能、という挑戦的・革新的コイル化技術の確立を目標とし、その実現可能性を解析と評価実験の両面から実証する。
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研究実績の概要 |
本研究は、標的α線核医学治療用のα線放出RI(放射性同位体)製造のための高温超伝導スケルトン・サイクロトロン(HTS-SC)用REBCOコイルシステムの開発を最終目標としている。そしてその実応用に向けて、「常伝導転移事故に対する確実な検出・保護が必須」と「製作コストが高額」という2つの大きな障壁を克服する技術の確立を目的に、①高安定:コイル内に劣化や欠陥が発生しても継続運転が可能、②無保護:継続運転が不可能な状態になっても、従来のような保護装置が不要、③低コスト:劣化・欠陥のある線材の使用を許容、④高性能:未踏ステージへの応用拡大が可能、を実現するためのコイル技術について研究開発を行う計画のもと、2023年度(2年目)は以下を実施した。 1) .HTS-SC実証用小型REBCOマルチコイルシステムの特性評価:2022年度に製作と測定系の構築を終えた実機の1/2スケールマルチコイルシステムについて、励磁特性評価として、コイル両端電圧、発生磁場の空間分布および時間安定度、電磁応力によるコイル変形の測定等を行うともに、これらを数値的に解析・評価するための計算手法・プログラムを新たに開発した。 2) 本研究で掲げた「高安定」と「無保護」に関する検討:無絶縁コイル巻線技術を適用したときの電磁的・熱的挙動について評価した。すなわち、HTS-SC用無絶縁REBCOマルチコイルシステム特有の通電特性を解析するための計算機プログラムを新たに開発し、一部のコイルが常伝導転移したときのコイルシステムの熱的・電磁的・機械的挙動を明らかにした。そして、これらの挙動を実験的に検証するためのコイルシステムの一部を製作した。また、無絶縁REBCOコイル用の新たな(外部保護抵抗を用いない)保護方式の可能性を数値的に検証するとともに、実運転を想定して層間の接触不良や線材接続の安定性に与える影響を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1. HTS-SC実証用小型REBCOマルチコイルシステム(実機の1/2スケールモデル)の特性評価:製作した小型コイルシステムについて、250A(定格540A)までの通電を繰り返し実施し、両端電圧、発生磁場、温度、ひずみの測定を行い、無絶縁REBCOコイル特有の励磁特性を観測した。実験と並行して、新たに開発した回路解析のみによる励磁特性評価用計算機プログラムを用いて、実証用小型REBCOマルチコイルシステムの挙動解析を実施し、計算機プログラムの妥当性を確認したのち、発生磁場の空間分布精度および時間安定度に影響を与える遮蔽電流磁場と無絶縁コイル巻線特有の励磁遅れの影響を明らかにするとともに、これらを低減する方策(通電電流波形の最適化)について検討した。 2. 「高安定」と「無保護」に関する検討:形状の異なるコイルから構成されるHTS-SC用無絶縁REBCOコイルシステムを対象として、一部のコイル内に常伝導転移(劣化)が発生したときの電磁的・熱的挙動を解析するための計算機プログラムを開発し、コイル間の磁気的な結合とそれに伴って誘導されるコイル内電流の変化、コイル内の発熱・温度変化を評価した。これらの結果を、試作モデルコイル(実証用小型REBCOコイルシステムを構成する大口径および小口径円形コイルと同形・同寸法のコイル)の実験により検証するため、年度内にコイル製作を終える予定であったが、購入したREBCO線材に複数個所のピンホールの存在が認められたため再納品することになったが、納品に半年以上を要し、年度内に予定のコイル製作を終了できなかった。その他、無絶縁REBCOコイルの保護法として、外部保護抵抗を用いない方法の可能性を数値解析に基づき検討した。さらにコイルの健全性の監視法として、コイル両端電圧とピックアップコイルを用いる方法について、数値解析に基づき特徴と可能性を評価した。
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今後の研究の推進方策 |
1. HTS-SC実証用小型REBCOマルチコイルシステム(実機の1/2スケールモデル)の特性評価:まず、無絶縁REBCOコイルシステム特有の遮蔽電流と励磁遅れの影響を低減する方策を探るため、通電電流波形としてOver-shoot法(目標電流より数%大きい電流を流し、その後、目標値まで減じる方法)などの効果を実験と数値解析により検証し、通電波形の最適化を図っていく。次に、定格電流(540A)まで徐々に最大通電電流値を上げながら、コイルの発生電圧、温度、ひずみを継続的に観測し、試作モデルコイルシステム固有の特性を明らかにするとともに、開発した解析・評価用計算機プログラムを併用しながら実規模システムの開発に向けた課題(電磁的、熱的、機械的特性に関する開発課題)とその解決法について検討していく。 2. 「高安定」・「無保護」・「低コスト」・「高性能」を実現する技術に関する検討:本研究のキーテクノロジーとした「無絶縁コイル巻線技術」と「YOROIコイル補強構造」の効果を検証するための口径の異なる無絶縁REBCOコイルの試作を早い段階で終え、これらを組み合わせたコイルシステムを用いて、熱擾乱(ヒータ使用)による常伝導転移を模擬した評価実験を行う。この際、予め欠陥のある線材(欠陥位置を事前に調査)を用いたコイルも使用する予定である。そして、劣化発生後の継続運転、欠陥のある線材の使用(歩留まりの向上による低コスト化)、無保護(劣化発生後にコイル両端を開放)の可能性を検証する。また、HTS-SC実証用小型REBCOマルチコイルシステムの実験データとして得られるひずみ測定と構造解析(応力・ひずみ・変形)の結果から、YOROIコイル補強構造の効果と改善点について検討していく。そしてこれらの成果から「高性能」(高安定・高電流密度・高磁場・高機械強度)を実現するためのコイル化技術基盤の構築を目指す。
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