研究課題/領域番号 |
23K22756
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補助金の研究課題番号 |
22H01485 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
石井 望 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (50232236)
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研究分担者 |
高橋 応明 千葉大学, フロンティア医工学センター, 准教授 (70267342)
陳 強 東北大学, 工学研究科, 教授 (30261580)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2022年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
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キーワード | 疑似スケールモデル / 海中電波利用 / 室内実験系 / 位置推定システム / アンテナ対向実験 |
研究開始時の研究の概要 |
微弱信号で通信できるデバイスが実現され、国内外で海中電波利用を再び検討する機運が高まっている。海中電波利用システムは規模が大きく、試作・実験に要する費用、時間が研究開発におけるバリアとなる。このバリアを取り除き、海中電波利用の研究開発を加速化させるのが、市販の水槽に海水塩度が同じ食塩水を注入して実現できる疑似スケールモデル実験系である。本申請課題では、浅い海での海中電波利用のために、大きな振幅レベル変動により生じる不平衡電流の影響およびアイソレーションの問題を解決し、ラテラル波伝搬を含めた大気・海水2層疑似スケールモデル実験系を構築する。
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研究実績の概要 |
ラテラル波効果を含めた大気・海中2層問題に対応させた疑似スケールモデル実験系を実現するため、2023年度は、3機関で以下の(A)~(D)の課題を分担して実施した。 (A)疑似スケールモデルの検証:ラテラル波効果に対応した大気・海中2層問題疑似スケールモデルが、波源近傍という条件の下で妥当であることを水槽実験により定量的に確認した。 (B)疑似スケールモデル実験系の改修:MHz帯で疑似スケールモデル実験系を実現する上で解決すべき、不平衡電流の影響について、2つの実験系改修により取り組んだ。2023年度は、(B-4) 光・電気変換アンテナの利用について検討を行い、これまで不平衡電流の影響により定量化できなかった電磁界分布を明らかにした。 (C)疑似スケールモデルによる海中位置推定システムの検証:疑似スケールモデルの実証実験として、研究分担者の高橋が中心となって研究開発を進めている海中位置推定システムへの適用を取り扱う。海面上に 20 m おきに設置された 9 個の受信アンテナの受信信号振幅により海中の送信アンテナの位置を推定する問題を、研究室に設置可能な疑似スケールモデル実験系にて疑似的に実現した。2023年度は、2022年度に引き続き、(C-1) 水槽を利用した3D伝送特性測定および関連する数値シミュレーションの結果に対する位置推定アルゴリズムの適用につき検討を行った。 (D)疑似スケールモデルによる海中アンテナ対向実験:疑似スケールモデル実験系を利用して、海中にダイポールアンテナおよびループアンテナを対向させて設置したときの距離特性を測定し、既知の電界近似式あるいはFDTD法による数値シミュレーションとの比較を行う。2023年度は (D-1)ダイポールアンテナ対向実験を行い、導電媒質条件を満足する際に疑似スケールモデルが適用可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(A) 今年度は海水よりも導電率が小さい汽水に対して数値シミュレーションおよび水槽実験を実施した。昨年度見出した導電率調整による疑似スケールモデル拡張の可能性を確認した。 (B) 光・電気変換アンテナの利用により不平衡電流の抑制が可能となり、これまで実験的に確認できなかった周波数での疑似スケールモデルの妥当性を検証できるようになった。 (C) 疑似スケールモデル実験により得られた電磁界プロファイルを利用する際に生じる問題点を明らかにし、位置推定アルゴリズムを改修している。最終年度に向け、3D伝送特性測定結果による位置推定アルゴリズム検証の準備は完了した。 (D) 今年度は、ダイポールアンテナ対向実験のみならず、ループアンテナ対応実験についても着手している。
以上のように、申請時の計画よりもはやめに研究は進捗している。昨年度得られた知見(疑似スケールモデルに導電率倍率を追加)により、対象として海水だけでなく汽水も含めることが可能となり、海中だけは得られなかったであろう知見が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
申請時の計画通りに研究を進めていくのと同時に、疑似スケールモデルの可能性について数値シミュレーションおよび実験を通して確認していく。
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