研究課題/領域番号 |
23K22766
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補助金の研究課題番号 |
22H01496 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21030:計測工学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大橋 雄二 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 特任准教授 (50396462)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2022年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
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キーワード | 弾性表面波・バルク波フィルタ / 異種単結晶貼り合わせ基板構造 / 作製プロセス評価 / 超音波計測 / 異種単結晶基板貼り合わせ構造 / 次世代無線通信 / 超音波マイクロスペクトロスコピー / 弾性表面波デバイス / バルク波デバイス / 接合評価 / 基板接合 / 弾性波デバイス / 漏洩弾性表面波速度 |
研究開始時の研究の概要 |
次世代通信(6G)における高速大容量低遅延通信に対応するため、6GHzを超える高周波数帯の弾性表面波(SAW)・バルク波(BAW)フィルタが求められている。異種単結晶基板貼り合わせ構造(HAL構造)等の考案により、その実現可能性の光明が見えてきたが、その作製プロセスの難易度が高くボトルネックとなっている。そこで本研究では、それら構造の作製プロセスを見える化する超音波評価技術を開発し、SAW・BAWフィルタ実現に貢献する。
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研究実績の概要 |
本年度は、異種単結晶基板貼り合わせ(HAL)構造基板作製プロセスの評価を行うための基盤技術となる超音波マイクロスペクトロスコピー(UMS)技術の改良、拡張を行なった。漏洩弾性表面波(LSAW)の伝搬特性を計測するLFB超音波プローブにおいて、現状の200MHz帯よりもより高周波対応の500MHz帯の超音波プローブの作製を実施した。サファイアのロッドから片端面を円筒開口、もう一方の端面を平面とするLFBレンズを作製し、その平坦面側に金属接合により圧電結晶基板を接合してトランスジューサを形成し、LFB超音波プローブを構築した。これにより超音波の励振可能周波数領域が100-700MHzまで拡張することができた。また、LSAWは横波を主成分とする表面波であるが、基板厚み方向のバルク波の伝搬特性のように異なる伝搬モード、伝搬方向での評価が行えるように、厚い基板に薄い基板が接合されているような構造に対して薄い基板の音響特性を測定する技術を構築した。異なる方位の基板を接合したサンプルの断面電子顕微鏡観察を行ったところ、切断面がアズカットの状態では結晶方位が異なることで固さの違いと接合強度の違いにより粒界の形から接合境界が認識できることがわかった。接合強度は、水分子を介した接合から熱処理をすることでより強固な結合に変わるが、基板表面粗さと平坦度が不十分であったことから切断等の加工を行うことで、接合が破断してしまうケースが見られた。この接合強度の強い・弱いに対して、LSAW速度・減衰の分散特性による評価法、バルク波音速・減衰の分散特性による評価法の基盤を構築することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
従来よりも中心周波数の高い0.5GHz対応のLFB超音波プローブの作製ができた。また、基板接合の要件として、基板表面状態の粗さ精度や基板平坦度の指針を得ることができた。さらに数種類の接合基板サンプルを作製でき、接合後の評価を行う準備ができた。これらより、本年度の課題の重要部分についてクリアすることができたと考え、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、HAL構造基板作製プロセスの接合前の基板表面状態、接合後の接合状態について、化学的・構造的評価と弾性的特性への影響について検討する。弾性特性の評価には、これまでの独自開発技術である超音波マイクロスペクトロスコピー(UMS)技術を拡張・改良しながら、異なる伝搬方向や伝搬モードの計測、高帯域分散特性計測を通じて残留応力等の影響の抽出も試み、研磨後の接合状態の評価法を構築する。
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