研究課題/領域番号 |
23K22773
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補助金の研究課題番号 |
22H01503 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21030:計測工学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
飛龍 志津子 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (70449510)
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研究分担者 |
土屋 隆生 同志社大学, 理工学部, 教授 (20217334)
小林 耕太 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (40512736)
山田 恭史 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 助教 (80802561)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2022年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
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キーワード | 生物ソナー / 混信回避行動 |
研究開始時の研究の概要 |
“群れ”で飛行するコウモリは,周囲の仲間からの超音波やそのエコーが複雑に重畳する中,自身に必要な情報を適切に抽出している.通信やセンシング技術にも通じるその情報処理メカニズムは,生物が独自に生み出した混信回避の最適解と言えよう.そこで本研究は,コウモリの集団飛行を混信回避の生物モデルと捉え,混信を効率的に回避するロバストなセンシングの運用方法を明らかにすることを目的としている.コウモリの高度なセンシングに工学から生物学に至る視点で迫り,生物システムから学ぶ混信回避の戦術を明らかにしたい.
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研究実績の概要 |
本研究は,コウモリの集団飛行を混信回避の生物モデルと捉え,混信を効率的に回避するロバストなセンシングの運用方法を明らかにすることを目的としている. 本年度は,コウモリに搭載可能な音響ロガーの開発を終えることができた.単独飛行するコウモリに対して実施した実験(音圧と呈示頻度の異なるFM型パルスをラウドスピーカから呈示)を基礎とした音響混信回避モデルを基に,グループ飛行するコウモリの周波数調整行動の計測およびモデルによるシミュレーションを行った.具体的にはモーションキャプチャーシステムによって計測した飛行軌跡と音響ロガーで得たコウモリの超音波を用いて,混信回避モデルによる周波数変化をシミュレーションしたところ,実測との傾向の一致を確認することができた.これより,グループ飛行時の周波数調整行動は,各コウモリの飛行経路も大きく影響していることが示唆された.さらに,飛行によるドップラー効果が混信回避に寄与しているという仮説を検証するため,行動データとドップラーを加味した音響シミュレーションを組み合わせた分析を行った.具体的にはペアで飛行するコウモリが他個体から受け取るパルスの数値算出を行った.その結果,ドップラーにより自身と他個体間の音声の類似度がより低下する傾向を確認することができた. さらに上述の混信回避モデルを搭載したトイモデル型の自走ロボットの複数台走行を実施した.その結果,周波数調整行動を搭載すると,障害物環境での誤定位の低減やスムーズな走行の実現など,コウモリの混信回避モデルが実機を用いた複数台走行でも十分発揮されることが実験的に明らかにでき,論文執筆に向けた十分なデータが整うに至った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自走ロボットの複数台走行実験を行うに際し,ハードウェア,ソフトウェア面の課題を本年度,ほぼ解決することができた.その結果,コウモリで得られた行動機序を基にしたモデルを実機に搭載し,障害物環境下での複数台走行実験まで行うことができた.コウモリの周波数調整行動が工学的にも有用であることが実験より明らかにでき,自走ロボットによる工学検証に関して,論文執筆に向けた結果をほぼ得ることができた.
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今後の研究の推進方策 |
コウモリの行動データと混信回避モデルに関する論文の投稿,また自走ロボットの複数台走行実験の結果についても論文の投稿を行う.またコウモリ模倣超音波の送信機構を実装したドローンの単独飛行に関する結果についても,論文投稿・採択を目指す.野外において同所性異種間のコウモリに関する周波数調整行動に関しても,データをまとめて論文投稿を目指したい.
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