研究課題/領域番号 |
23K22777
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補助金の研究課題番号 |
22H01507 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21030:計測工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
加藤 大 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ付 (80533190)
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研究分担者 |
山本 条太郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (20585088)
佐々木 章 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (30580162)
鈴木 祥夫 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (60321907)
小椋 俊彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 上級主任研究員 (70371028)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 11,700千円 (直接経費: 9,000千円、間接経費: 2,700千円)
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キーワード | 両連続マイクロエマルション / 電気化学 / ナノカーボン / 走査電子誘電率顕微鏡 / 蛍光相関分光法 / 両連続相マイクロエマルション / 液液固3相界面 / ナノカーボン電極 / 選択計測 / 抗酸化物質 |
研究開始時の研究の概要 |
水相と油相が界面活性剤により仕切られたマイクロエマルション構造のうち、2相が液滴にならず連続状態で3次元的に絡まった両連続相マイクロエマルション(BME)が知られている。我々はこれまでに電気化学反応の溶媒としてBMEを用い、使用する電極表面の親疎水性に応じて測定できる物質が変わることを明らかにした。本研究では、我々が開発してきた電極材料とBMEを組み合わせ形成される液液固3相界面の制御因子を明らかにし、様々な物質を選択計測する手法を創出する。これは電気化学計測法へ「選択性」を付与する基盤技術としてヘルスケア分野などの計測へ展開でき、健康長寿社会構築に大きく貢献する。
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研究実績の概要 |
本研究では、水相と油相の2相が液滴にならず連続状態である両連続相マイクロエマルション(BME)を用いた選択的な電気化学計測を実現することを目標とする。この実現に向けて、これまでに開発してきたナノカーボン薄膜電極とBMEを組み合わせ形成される液液固3相界面の制御因子を明らかにし、様々な抗酸化物質を選択計測する手法を創出する。本年度は、3相界面の制御因子として電極表面の親疎水性が3相界面へ与える影響を調べるため、ナノカーボン薄膜表面の親疎水性を制御する方法を検討した。表面親水化はUV/オゾン法と電気化学的酸化処理の2種類を検討し、疎水化処理はCF4ガスによる反応性イオンエッチング処理を用いた。XPS測定の結果、親水化ナノカーボン表面のC/O比は0.07~0.08(UV/オゾン法)、0.12(電気化学的酸化処理)程度であった。一方、疎水化ナノカーボン表面のF/C値は0.15程度であった。これらの電極とヘプタン系BMEを組み合わせた時の、脂溶性ビタミンEと水溶性ビタミンCの電気化学反応性を検討したところ、電気化学処理した親水化ナノカーボン電極ではビタミンCのみの応答が、疎水化ナノカーボン電極ではビタミンEのみの応答が確認できた。UV/オゾン法による親水化ナノカーボン電極ではビタミンEもわずかに応答を示したことから、選択性に優れた測定には、電気化学処理による親水化ナノカーボン電極が良いことがわかった。過去に我々が選択測定を達成した成果では、親水性電極として市販の金属酸化物電極を使用したが、本研究では親水性/疎水性電極ともにナノカーボン薄膜で構築することができた。 また、超解像度顕微鏡や走査電子誘電率顕微鏡により、BME構造の可視化に挑戦した。本年度は、観察をしやすくするために、独自合成した蛍光プローブやシリカナノ粒子をBME試料中に添加して観察を行った。両顕微鏡において、均一溶液とは明らかに異なる分散状態であることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、ナノカーボン薄膜表面の親疎水性を制御することによって、ビタミンEとビタミンCの選択測定が可能であることを見出し、当初の目標をほぼ達成できたものと考えている。さらに、現在BME構造の可視化についても検討を進めており、おおむね順調に進展しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、ナノカーボン電極と両連続相マイクロエマルション(BME)からなる液液固3相界面の制御によって、選択的な電気化学計測を実現することを目標とする。この実現に向けて、次年度以降は、3相界面の制御因子としてBMEの油相が3相界面へ与える影響を調べる。現在、油相として使用するトルエン、ヘプタンより親油性の強い油相溶媒からなるBMEの方が、脂溶性物質の油相での拡散速度を向上させる可能性について、電気化学反応性の観点から調査する。こうした検討のため、構成溶媒ごとに相図を作成しBME形成の範囲を把握する。様々な電極表面を有するナノカーボン電極とさまざまなBME溶媒の組み合わせで形成される3相界面での、対象物質の電気化学挙動を評価する。また、対象物質のバルクBME中での拡散をFCS法を駆使して調べる。最近確立した方法と同様に、FCS法で得られた拡散係数(バルク)と電気化学で得た拡散係数(3相界面)を比較し、3相界面の形成状態と制御因子(電極・BME)の相関性を調べる。また、BME構造の可視化についても引き続き検討を進める。
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