研究課題/領域番号 |
23K22780
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補助金の研究課題番号 |
22H01510 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21040:制御およびシステム工学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大塚 敏之 京都大学, 情報学研究科, 教授 (40272174)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2026年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | 制御工学 / 最適制御 / 非線形システム / 最適化 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、実時間での最適化計算によってフィードバック制御を行うモデル予測制御(MPC)が注目され多分野で応用されている。しかし、制御対象システムの数学モデルや評価関数、制約条件といった問題設定が非常に複雑な場合、実時間での最適化計算が実現できずMPCが実装できない。その困難を克服するためには、従来の最適化計算手法を発展させるだけでなく、根本的にMPCの計算を考え直す必要がある。本研究では、最適化問題を解く前の段階で問題の構造を活用した解法を選択したり問題の構造を変換するなど、最適化計算手法と問題設定の包括的な設計を行うことで、現在の常識を越えた複雑な制御問題にもMPCを実装可能にする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、最適化問題の構造を変換したり活用したりすることで複雑な制御問題にもモデル予測制御(MPC)を実装可能にすることである。令和4年度には、リンクが結合されたロボットのモデル構造を活用した計算効率化手法を開発し、環境との接触や衝突を含む四脚ロボットの全身動力学を省略せず考慮するMPCの実時間実装に成功した。実機実験では、18自由度12入力を持ち運動方程式を陽に書き下すことのできないほど複雑なシステムにおいて、接触に伴うモデルの切り替えや状態のジャンプ、摩擦力や関節トルク、関節角度の制約を考慮した非線形最適制御問題を2.5ms以下の計算時間で解きMPCを実現した。しかも、実機において避けることのできないモデル化誤差やセンサノイズ、状態推定誤差の下でも失敗しない最適化計算を実現した。さらに、ロボット特有の形式で記述されたモデルからMPCの実時間最適化プログラムを自動生成するツールも開発した。並行して、より一般的な不連続性を含むハイブリッドシステムの最適制御問題に対する汎用的な数値解法にも取り組み、計算効率化の有望な方法を見いだした。また、不確かさを含む確率システムのMPCに対して、未来の不確かさに応じた制御入力の修正も考慮した最適化手法を開発し、出力フィードバックへの拡張を行った。さらに、最適化問題に含まれる関数の性質を利用した数値解法の基礎検討や、ドローンの制御への応用にも取り組み、今後の発展が期待できる成果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
接触や衝突を含み非常に複雑な数学モデルで記述される四脚ロボットの全身動力学を省略せず用いてMPCの実時間実装に成功したことは大きな成果である。さらに、ハイブリッドシステムや確率システムの最適制御問題に対しても計算効率化の有望な方法を見いだし、適用範囲が当初の計画以上に広がっている。
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今後の研究の推進方策 |
一般的なハイブリッドシステムの最適制御問題に対する計算効率化をさらに推し進め、実際的な問題設定のMPCを実時間で実装できるようにする。また、確率システムのMPCに関しても、不確かさを観測データに基づき学習するなどの拡張に取り組む。さらに、並列計算や問題の変換を活用した計算効率化も検討する。そして、脚ロボットやドローンなど複雑で高速なダイナミクスを持つシステムへの実装を通じた検証を行う。
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