研究課題/領域番号 |
23K22782
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補助金の研究課題番号 |
22H01512 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21040:制御およびシステム工学関連
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
瀬部 昇 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (90216549)
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研究分担者 |
佐藤 昌之 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (90358648)
水本 郁朗 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (30239256)
大竹 博 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (60377017)
畑田 和良 福岡大学, 工学部, 助教 (10709356)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2025年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | ロバスト制御 / ゲインスケジュールド制御 / 適応制御 / ファジイ制御 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,制御系の不確かさ,特にパラメータ変動に対して積極的に適合する制御器が求められている. 適応的に不確かさに適合した制御系を構成する制御理論としては,線形ロバスト制御理論を基礎にしたゲインスケジュールド制御と,システム同定と制御系設計を同時に行うという発想から発展した適応制御がある.前者は不確かさのモデルを精緻に与え高性能な制御器を設計するのに対し,後者は制御対象や不確かさの先見情報なしに自動で所望の制御系が構成することを目指している.両者は目的は同じであるが,その理論的な基礎は大きく異なる. 本研究課題では,大きく異なった二つの制御系設計理論を融合し,一つの制御系設計の分野として再構築する.
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研究実績の概要 |
本研究課題では『ゲインスケジュールド制御と適応制御両者の短所を補い合い,かつ両者の長所を併せ持つ 融合型制御 の構築』を目的とする. ロバスト制御からのアプローチとして,状態推定器を不確かさの推定に用いる方法がある.外乱オブザーバは制御器を高次元にするものの,不確かさを外乱と捉えて推定する.つまり,不確かさという把握できていないシステムのダイナミクスを推定し,推定結果を性能向上につなげている.これを適応制御とロバスト制御の融合への第一歩として捉え,外乱オブザーバのロバスト性に関する研究成果について学会発表を行った.また,適応制御との関連が強いと考えられるゲインスケジュールド制御については,状態推定器+状態フィードバックのような構造を持たない制御器に対して,制御性能を等価に保ったまま状態推定機構を埋め込むという研究課題に関して,国際会議にて,今後の重要な課題の一つであり,肯定的に解くことができる見通しがある例を提示した. 一方,適応制御からのアプローチとしてCMAC(Cerebellar Model Articulation Controller)法による適応制御がある.CMAC法の特徴は,制御ゲインを格納した複層マップを参照することである.これはゲインスケジューリングに近い考え方であり,さらにゲインを学習によって最適化している.このCMAC法について,既に適応制御の立場からの研究成果が得られており,2022年度において数件の学会発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題の研究代表者,研究分担者は,ロバスト制御,適応制御,ファジイ制御という異なった分野の研究者である.2022年度は,まず各研究者が各々の専門とする研究分野からどのようなアプローチでゲンスケジュールド制御と適応制御の融合という研究課題にアプローチするのか,その基礎的な方針についての意見交換を行った.具体的には,5月, 7月,9月, 12月, 3月の5回,意見交換のための打合せを行い,それぞれの立場からの研究の発展の方向性を深く議論することができた.この打合せにより,これまでにも共著論文を発表するなどの協力関係はあったが, さらに研究者間のネットワークを強化できた.これにより,今後の研究の進展が大いに期待できる. また,各分野からのアプローチにおいて,既に研究成果が得られているものもあり,学会発表などを行っている. また,本研究課題では,2024年度以降に研究成果の実機実験による実証も計画している.2022年度にはそのための機材(マルチコプター)を購入し,開発した制御アルゴリズムの組み込みなど,実証実験のための環境整備も行った.
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今後の研究の推進方策 |
ゲインスケジュールド制御手法から適応制御手法への歩み寄りとして,過去の入出力を活用した動作環境情報の推定機能をゲインスケジュールド制御に組み込んだ拡張型の制御手法の構築を引き続き検討する.また,外乱オブザーバ等の制御対象のモデル以外の「何か」を推定する手法については,更に掘り下げて成果を挙げることを目指す.いずれも従来の状態推定手法を拡張した推定機構を用いて適応的な制御系を構成することを目指しており,利点・欠点を理論的に明らかにすることで最終目標である融合型制御への理論的な基礎固めを行う. 適応制御手法からのゲインスケジュールド制御への歩み寄りとして,CMAC(Cerebellar Model Articulation Controller)法による適応制御手法の確立を2022年度に引き続き検討する.さらに,CMAC法による適応制御系の更なる一般的な構成法の確立を行った後,その結果を基礎として,ゲインスケジュールド制御へ歩み寄りを可能とする理論的解析を行う. 同様にして,ファジイ理論の取り込みも検討する.具体的には,適応的に構成される複層マップとゲインスケジュールド制御との接点を探り,適応機能の限定化さらには適応機能の時間限定化を行うことで,ゲインスケジュールド制御へ歩み寄る手法を模索する.
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