研究課題/領域番号 |
23K22786
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補助金の研究課題番号 |
22H01516 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
秩父 重英 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (80266907)
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研究分担者 |
嶋 紘平 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (40805173)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
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キーワード | 窒化ホウ素(BN) / 六方晶 / ポリタイプ / 閃亜鉛鉱構造 / 窒化ホウ素 / グラファイト相BN |
研究開始時の研究の概要 |
窒化ホウ素(BN)には、間接遷移型バンド構造でありながら室温で210~230 nmの高効率発光を呈する六方晶(h)BNの他に準安定ながらp,n型伝導を呈すと報告されている閃亜鉛鉱構造(c)BNがあり、各々深紫外(DUV)光源、高温動作トランジスタ等を実現できる可能性がある。近年、hBNの多形としてグラファイト型積層構造のbBNが存在することが明らかとなり我々はエピタキシャル薄膜において初めてbBNを発見した。本研究では、プラズマ等を用いない純粋な高温VPE法によってhBN、bBN薄膜を成長させ光物性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
窒化ホウ素(BN)には、間接遷移型バンド構造でありながら室温で210~230nmの高効率発光を呈する六方晶(h)BNや、機械強度が強くp, n型の導電性や接合形成が報告されている閃亜鉛鉱構造(c)BNなどがあり、各々深紫外(DUV)光源、高温動作トランジスタ等を実現できる可能性がある。しかしながら、異相・多形が多く半導体光エレクトロニクスグレードの高純度エピタキシャル成長が困難である。R4年度の成果は以下のとおりである。 ①半導体光エレ品質のhBNエピ膜を成長させるため、既存の有機金属気相エピタキシャル成長(MOVPE)装置の改造を行った。目的は基板温度を従前の最高1200 ℃程度から1400-1500 ℃で使用できるように改造を行うことであり、付随して反応室全体の再構築を行った。年度末の段階で部品がすべて揃った。 ②BN薄膜の構造・電気的評価:世界情勢を鑑み、自前の装置による試料作製が間に合わない見込みであったため、他機関が結晶成長させた化学気相堆積(CVD)hBN薄膜を用いて異形や相純度に関する評価技術と知識を習得した。 ③BN薄膜の光学的特性評価:②と同じCVD hBN薄膜を用い、静的カソードルミネッセンス(CL)、時間分解CL、時間空間分解CL測定系を、波長200-230nmで高感度が得られるように修正した。 ④CVDによるBN薄膜の評価を通じ、間接遷移型のcBNの発光効率よりも、hBNの積層を少し変調しグラファイト積層構造にしたGraphitic BN(又はBernal BN、略してbBN)や単一hBN層(monolayer BN)の研究を進めた方が高効率発光が得られ、応用展開も開けると判断した(CVD膜でのbBN相の発見は世界初であり、当該論文はAPL誌のFeatured Articleに選ばれた)。R5年度以降はhBNとbBNの研究に集中する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①結晶成長装置に関して:既存のMOVPE装置の基板温度を、従前の最高1200 ℃程度から1400-1500 ℃で使用できるように設計された高周波電源、整合器等を設置した。また、付随した反応室全体の再構築も終了しており年度末の段階で部品がすべて揃った。R5年度に結晶成長を開始できる。 ②BN薄膜の構造・電気的評価:CVD hBN薄膜を用い、異形や相純度に関する評価技術と知識を習得した。R5年度の研究に不可欠な知識を習得できたことは財産と言える。 ③BN薄膜の光学的特性評価:②と同じCVD hBN薄膜を用い、静的CL、時間分解CL、時間空間分解CL測定系を、波長200-230nmで高感度が得られるように修正した。予定通りである。 ④CVDによるBN薄膜の評価を通じて知見を得、研究の方向を、hBN、その積層を少し変調しグラファイト積層構造にしたbBN、monolayer BNの研究に集中する方向性が明らかになった。学術的には、CVD膜でのbBN相の発見は世界初であり、当該論文はAPL誌のFeatured Articleに選ばれた。R5年度以降はhBNとbBNの研究に集中する。
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今後の研究の推進方策 |
①結晶成長装置に関して:まずは成長温度とアンモニア、ホウ素原料の流量依存性を調べる基礎的なところから開始する。 ②BN薄膜の構造・電気的評価:CVD hBN薄膜同様に、MOVPE膜の評価を開始する。 ③BN薄膜の光学的特性評価:静的CL、時間分解CL、時間空間分解CL測定系は既に使用できる状態である。当初予定通り実施する。 ④hBNとbBNの意図的な打ち分けができないか検討を行う。bBNに関しては、日本では我々がトップを切って開始し、Priorotyも高いので役立つデータを出したいと考えている。
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