研究課題/領域番号 |
23K22791
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補助金の研究課題番号 |
22H01521 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
井上 翼 静岡大学, 工学部, 教授 (90324334)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
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キーワード | カーボンナノチューブ / 複合材料 / 熱伝導材料 / 電子輸送特性 / 熱伝導物性 / 電解メッキ / 電気伝導特性 / 熱伝導特性 |
研究開始時の研究の概要 |
配向カーボンナノチューブ(CNT)と銅の均質緻密複合材料を創製し、電気伝導および熱伝導メカニズムを解明する。両材料とも電気伝導率、熱伝導率ともに高い材料であるが、その伝導メカニズムは大きく異なるため、それらの複合材料における電子輸送と熱輸送現象を理解することは、学術的および応用的観点から重要であり大変興味深い。研究代表者が独自に見出した高濃度CNT/銅複合材料作製方法でCNT濃度を変化させた試料を作製し、詳細構造評価と電気伝導・熱伝導特性評価を行う。電気・熱伝導メカニズムを明らかとした後に、半導体素子向けの層間熱伝導材料(TIM)を試作し、動作性能を所得する。
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研究実績の概要 |
均質で緻密なカーボンナノチューブ(CNT)/銅複合材料を作製するため、まず基板上への超高密度な垂直配向CNTフォレスト合成を実施した。鉄触媒薄膜を非平衡状態で高速に加熱、還元する方法により小径で高密度な触媒ナノ粒子形成を達成した。そして、この還元プロセスと同時にCNT成長を開始して、触媒熱凝集を抑制した高密度CNTフォレスト形成を実現した。これまでに報告されているCNTフォレストと比較しても、重量密度で勝る高密度化であった。 このCNTフォレストに銅電解メッキの析出点となる銅ナノ粒子をガス中蒸発法により形成した。高密度CNTフォレストはCNT間距離が小さいため、フォレストの内部まで均質なナノ粒子形成を得ることが困難であり、温度、圧力などのパラメータを探索して良好な均質ナノ粒子形成を得た。 銅ナノ担持CNTフォレストに電解メッキにより銅をCNT間に析出させて、CNT/銅複合材料を作製した。試料断面を観察したところ、内部に銅が析出していない空言が多く存在することが分かった。 銅析出過程の理解を深めるため、より構造がシンプルな一方向配列CNTシートを作製し、銅との複合材料を作製した。銅イオンの移動距離が少ないため、空隙の少ない比較的良好な複合材料が得られた。その電気抵抗の温度依存性を測定したところ、銅のそれより小さい値が得られた。CNT/銅界面でフォノン散乱が低減していることが予想される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
装置トラブル等の理由により、緻密CNTフォレストの合成と銅ナノ粒子均質担持技術開発に時間を要した。さらに、CNTフォレスト及びシート材料への銅析出プロセスにおいて、均質析出条件の探索に時間を要したこともあり、総合的な進捗に当初計画からやや遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
CNT/銅複合材料の詳細な構造解析を進めて、得意な電気特性が発現するメカニズムを考察する。また、CNTフォレスト及びCNT/銅複合材料の熱抵抗を過渡熱応答法により測定し、熱伝導特性を評価する。さらに、CNTを層間熱伝導材料に応用するためには、表面部と外部との界面熱抵抗が大きくなることも問題であるため、界面熱抵抗を低減する表面処理に関する研究を進める。
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